ヘンリー・キッシンジャー元国務長官は『スペクティター』誌に寄稿し、「世界大戦を回避する方法」と題し、「ロシアを解体しようとする西側の野望が核を誘発する」と警告した。
「和平交渉ではウクライナとNATOを結びつけるべきだ。中立という選択肢はもはや意味がない」とし、ロシアを「無力」にする戦略は制御不能となり、予測不可能なスパイラルにつながる可能性がある」、「ロシアに権力の空白が生じると、地球的規模での新たな脅威に晒されるだろう」。つまりロシアを核の選択に追い込む危険性を示唆している。
キッシンジャーは21年5月の論文で、ウクライナがクリミアを承認する意思があると提案し、「その見返りに、ロシア軍は2月24日の侵攻の前に彼らの戦線に後退する」とした。そのうえで「ウクライナをNATOに加えることは賢明なアメリカの政策ではなかった」とロシア寄りの発言を繰り返した。
一年半後、立場を一転させ、「ウクライナと NATO を結び付けるべきである」とした。 何故ならフィンランドとスウェーデンがNATOに加盟したため、今後、NATOが中立の立場というスタンスは意味を持たなくなったと認識するからだ。
キッシンジャーは、「和平交渉の目標は、ウクライナの自由を確認すること。中央ヨーロッパと東ヨーロッパのための新しい国際構造を定義することの2つ」であるとした。
そのうえで「最終的にロシアはそのような秩序の中で場所を見つけるべきだ」と提案している。
現在の米国で、このような立場に与する議会人、メディア、政治学者は少数である。
https://www.spectator.co.uk/article/the-push-for-peace/
(↑)キッシンジャー最新論文。「ウクライナの和平交渉を急げ、さもなければ核兵器が飛び交う第三次世界大戦は避けられない」。(『スペクティター』、12月17日号)
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