東アジア歴史文化研究会

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日本の右肩下がり、デフレの30年は何が原因だったのか プラザ合意、半導体協定、そしてバブル崩壊(宮崎正弘国際情勢解題)

2021-12-30 | 日本の政治・経済

日本経済は三十年におよぶ停滞。右肩下がりは若者の夢を奪い、士気の希薄な日本からは世界を導く新技術は発明されなかった。VHSヴィデオも、SONYのウォークマンも、遠い昔の成功物語となった。デジカメは一時的流行があったが、往時の十分の一以下のシェアとなったスマホ撮影となり、これも米、中、韓、台湾が優勢である。

スマホなど新しい技術によるビジネスは米国が寡占し、GAFAは猛烈な勢いで伸びた。そしてAI開発でも日本は周回遅れである。

なぜ日本は置いてきぼりを食らったのか。

第一に1985年のプラザ合意である。

不意の為替レートの変更は日本国内の零細中小企業の輸出競争力を失わせ、瞬間風速の竜巻が多くの犠牲をだしたように、弱電分野の多くが倒産し、あるいは海外へ工場を移転した。日本の空洞化が始まった。政治責任は大きい。

第二は1986年の「日米半導体協定」である。

アメリカに経済ナショナリズムの嵐が吹き荒れ、議会前ではSONY、東芝製品をハンマーで壊す議員らのパフォオーマンス。ついで88年にFSX国産化が白紙還元となって、とりわけ半導体で世界一を突っ走っていた日本勢に急ブレーキが掛かった。

次世代の半導体技術は韓国、台湾へ移転した。台湾が技術的にもインテルを抜いて、TSMCは世界一となった。

そのTSMCが熊本に工場を新設すると聞いて、日本政府が3000億円を補助するとは、しかも熊本でつくられるのは旧世代の汎用品でしかないのである。

第三に為替による国内空洞化は、日本経済を金融にシフトさせ、行き場を失ったカネは株と不動産へ急傾斜する。「財テク」とか「ビッグバン」とか喧しく言われたが、強い円を国家戦略で用いることはなく、徒らに米欧豪の不動産投資が行われ、日銀の総量規制によってバブルは破滅した。以後、二十年どころか三十年に亘って、日本経済はデフレ、GDP成長はへなへなとへしおられた。

現在の日本経済の危機は異様な「円安」である。

円安は嘗ては輸出競争力を高めた。現在は世界的サプライチェーンで、部品工場は海外にあり、日本の大手企業の多くが海外生産ゆえ、円安はプラスにならない。円安で設けたのはFX投機組だけだろう。

円安は輸入原油、ガス、食料、原材料価格を押し上げる。そのうえ円安は、海外から観光客が「日本が安い」とばかりに大量にやってきた。いまも台湾、香港、中国では「安い間に円を購入し、コロナ以後の日本旅行に備えよう」とネットの囁きが聞こえる。


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