国際派日本人の情報ファイル
■トランプ大統領アジア歴訪の後が……
北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)政権の命運は、この冬、最大の山場を迎えそうである。
最初に、アメリカのトランプ大統領の11月3日から13日までのアジア歴訪から紐解(ひもと)こう。左側が現地の到着日。右側はその後(場合により翌日)の予定を示している。
11月3日 ハワイ到着。オアフ島に司令部を置くアメリカ太平洋軍訪問、ブリーフィング後、真珠湾とアリゾナ記念館訪問。
11月5日 日本到着。安倍首相と日米首脳会談、北朝鮮拉致被害者家族と面会。
11月7日 韓国到着。文在寅(ムンジェイン)大統領と会談、国会で北朝鮮対策を演説。
11月8日 中国到着。習近平国家主席と会談。
11月10日 ベトナム到着。APEC(アジア太平洋経緯会協力会議)首脳会議に参加、チャン・ダイ・クアン主席と会談。
11月12日 フィリピン到着。=ASEAN(東南アジア諸国連合)関連会合に出席、ドゥテルテ大統領と会談。
11月13日 夜、帰国の途に。
11月14日 東アジア首脳会議(EAS)は欠席の見通し。(理由は、外遊が長いとトランプ大統領が不機嫌になる……とのこと)
■心強いアメリカ太平洋軍・ハリス司令官の存在
まず、3日にトランプ大統領が訪問するアメリカ太平洋軍は、米国が有する9つの統合軍の一つであり、アジア太平洋地域を管轄するため37万7800人の要員を有する最大規模の統合軍となっている。その統合軍のもとに、陸軍、海軍、空軍、海兵隊が指揮下に入り、統合軍の司令官は統合作戦を指揮する。
例えば、日本でなじみのあるアメリカ海軍の第7艦隊は、太平洋艦隊の指揮下にあり、太平洋艦隊は太平洋軍の指揮下にあるという構図である。統合軍の司令官を指揮できるのは、米国の大統領と国防長官の二人だけであり、その権限がいかに強いかが分かる。
その太平洋軍司令官は、ハリー・ハリス海軍大将で、2014(平成26)年9月に就任している。父は米海軍の軍人で母は横須賀基地に勤務していた事務職員で、1956(昭和31)年神奈川県横須賀市で生まれたハーフである。1958年に米国に帰国し、父と同じく海軍を志し海軍兵学校を卒業。アメリカ海軍史上初めてのアジア系(日系)の大将となり、日系アメリカ人として最高の階級に登りつめた。
このハリス司令官は、なかなかの人物である。米国のオバマ政権が中国に宥和外交をしていた頃、中国が南シナ海に基地をつくるために埋め立て工事を進めていた際に、「この数カ月間、しゅんせつ船とブルドーザーで『砂の万里の長城』を築いている」(2015年3月31日)とアジアの危機に警鐘を鳴らしていた。
こうした対中強硬姿勢を示すハリス米太平洋軍司令官に対して、中国の習近平指導部はトランプ米政権に対し、核・ミサイル開発を進める北朝鮮への圧力を強める見返りとして、更迭するよう求めていたことを米中関係筋が明らかにした。(2017年5月6日、共同配信、産経新聞報道)
トランプ政権は、その更迭要求を当然の如く拒否したが、中国にとってハリス司令官がいかに「目の上のたんこぶ」であったかが分かる。
ハリス司令官はその生い立ちもあり、日米同盟の絆を深めることに尽力しており、その存在は心強い。来年5月頃には新たな役割をはたすとの観測もある。トランプ大統領がアジア歴訪直前に、アメリカ太平洋軍を訪問し激励する意味は大きい。(続く)
(文責=育鵬社編集部M)
https://nikkan-spa.jp/plus/1425391
■トランプ大統領アジア歴訪の後が……
北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)政権の命運は、この冬、最大の山場を迎えそうである。
最初に、アメリカのトランプ大統領の11月3日から13日までのアジア歴訪から紐解(ひもと)こう。左側が現地の到着日。右側はその後(場合により翌日)の予定を示している。
11月3日 ハワイ到着。オアフ島に司令部を置くアメリカ太平洋軍訪問、ブリーフィング後、真珠湾とアリゾナ記念館訪問。
11月5日 日本到着。安倍首相と日米首脳会談、北朝鮮拉致被害者家族と面会。
11月7日 韓国到着。文在寅(ムンジェイン)大統領と会談、国会で北朝鮮対策を演説。
11月8日 中国到着。習近平国家主席と会談。
11月10日 ベトナム到着。APEC(アジア太平洋経緯会協力会議)首脳会議に参加、チャン・ダイ・クアン主席と会談。
11月12日 フィリピン到着。=ASEAN(東南アジア諸国連合)関連会合に出席、ドゥテルテ大統領と会談。
11月13日 夜、帰国の途に。
11月14日 東アジア首脳会議(EAS)は欠席の見通し。(理由は、外遊が長いとトランプ大統領が不機嫌になる……とのこと)
■心強いアメリカ太平洋軍・ハリス司令官の存在
まず、3日にトランプ大統領が訪問するアメリカ太平洋軍は、米国が有する9つの統合軍の一つであり、アジア太平洋地域を管轄するため37万7800人の要員を有する最大規模の統合軍となっている。その統合軍のもとに、陸軍、海軍、空軍、海兵隊が指揮下に入り、統合軍の司令官は統合作戦を指揮する。
例えば、日本でなじみのあるアメリカ海軍の第7艦隊は、太平洋艦隊の指揮下にあり、太平洋艦隊は太平洋軍の指揮下にあるという構図である。統合軍の司令官を指揮できるのは、米国の大統領と国防長官の二人だけであり、その権限がいかに強いかが分かる。
その太平洋軍司令官は、ハリー・ハリス海軍大将で、2014(平成26)年9月に就任している。父は米海軍の軍人で母は横須賀基地に勤務していた事務職員で、1956(昭和31)年神奈川県横須賀市で生まれたハーフである。1958年に米国に帰国し、父と同じく海軍を志し海軍兵学校を卒業。アメリカ海軍史上初めてのアジア系(日系)の大将となり、日系アメリカ人として最高の階級に登りつめた。
このハリス司令官は、なかなかの人物である。米国のオバマ政権が中国に宥和外交をしていた頃、中国が南シナ海に基地をつくるために埋め立て工事を進めていた際に、「この数カ月間、しゅんせつ船とブルドーザーで『砂の万里の長城』を築いている」(2015年3月31日)とアジアの危機に警鐘を鳴らしていた。
こうした対中強硬姿勢を示すハリス米太平洋軍司令官に対して、中国の習近平指導部はトランプ米政権に対し、核・ミサイル開発を進める北朝鮮への圧力を強める見返りとして、更迭するよう求めていたことを米中関係筋が明らかにした。(2017年5月6日、共同配信、産経新聞報道)
トランプ政権は、その更迭要求を当然の如く拒否したが、中国にとってハリス司令官がいかに「目の上のたんこぶ」であったかが分かる。
ハリス司令官はその生い立ちもあり、日米同盟の絆を深めることに尽力しており、その存在は心強い。来年5月頃には新たな役割をはたすとの観測もある。トランプ大統領がアジア歴訪直前に、アメリカ太平洋軍を訪問し激励する意味は大きい。(続く)
(文責=育鵬社編集部M)
https://nikkan-spa.jp/plus/1425391
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