『韓国が広めた間違いを正してくれた』(高橋洋一)
『慰安婦の理論的実証的研究の金字塔』(福井義高)
発売前からアマゾンではベストセラ一位をつけている。
ハーバード大学教授のJ・マーク・ラムザイヤーは、左翼が誹謗中傷する標的とされ、物騒な脅迫が繰り返された。
かれらは攻撃するはるか前からアカデミーの世界で、地道な慰安婦制度の研究を続け、多くの論文、著作があるラムザイヤー教授に対して、過去の作品をろくすっぽ読みもしないで、或る政治勢力が激しく氏を攻撃し続けた。抗議、非難、恐喝の文言はほぼ同じで組織的だった。元凶は在米韓国人の極左グループだった。
セオリーにはセオリーで反駁するのが、論争の基本鉄則である。
そもそもラムザイヤー教授はハーバード大学で法と経済を教える碩学。データをしっかりと把握して論理性に一貫した組み立てで言論活動を展開している。
「かれら」はまともに議論したら自分たちがそもそも論理破綻していることを自覚しているから、論争には応じないで、ひたすら穢い言葉でキャンペーンを張るのである。この遣り方は世界中の左翼に共通する。この手合いは日本にもごろごろいる。学問的研究より政治優先だからである。
「慰安婦問題を論じる海外の学者のほとんどは『慰安婦=性奴隷説』を盲信している。性奴隷説ばかりの英語の文献に頼っているようだ。彼らは必ずと言っていいほど慰安婦問題を人権問題にすり替え、被害者話を検証もせずに鵜呑みにして反日感情を露わにする。そのくせ、彼らこそが最大の人権侵害の常習犯なのである」(「はじめに」から)。
『すり替え』は左翼の得意技である。かれらを説得するのは不可能に近い。なぜなら完全に脳幹が洗脳されているからだ。
さて慰安婦性奴隷説なるものは吉田清治という出鱈目な輩が口から出まかせに言い出した嘘を朝日新聞が無責任に垂れ流したことで始まった。
慰安婦も娼婦も年季奉公の契約で合理的な、法律的保護の元でビジネスに徹底していたのである。また収入は当時の労働者のレベルより遙かに良く、貯金も出来たし契約が終われば自由な身となった。休みの日には映画にも行けた。海外への出稼ぎ組は日本に休暇をとってかえることも出来た。
こんな性奴隷はいない。
売春はそもそも人類の歴史はじまって以来存在してきたし、女衒、斡旋業者がいて契約という近代的概念のもとで成立していた。ヤクザや悪質な斡旋業は韓国やシナのはなしである。
本書の後半「補遺」の箇所に「からゆきさん」のことがでてくる。
映画にもなったのは左翼作家・山崎朋子『サンダカン八番娼館 』(文春文庫)だ。実際に娼婦と暮らして、その生活や女性の生き方の逞しさを描いた。山崎女史の歴史解釈はすべて間違いだが、当時の「からゆきさん」たちの暮らしぶりがわかる。
サンダカンはボルネオ、現在のマレーシアの北ボルネオでコタキナバルから長距離バスがでている。評者(宮崎)も、五年ほど前にコタキナバルで三泊したことがあり、サンダカンにも足を伸ばそうと現地の旅行代理店に聞くと、「治安が悪い」と断られた。
「ただし、コタキナバル郊外に『からゆきさん』の御墓が存在しているので、行きますか?」と言うので車をチャーターして出かけた。
幹線道路沿いに、ちょっとした小丘があって、整備されたコンクリートの階段を登ると、囲みがしつらえてあった。ちゃんと祀られているのだ。
海外で、戦局が悪化して帰国できなかった悲劇の娼婦らを、こうして静かにお祀りしていることに、日本人の、そして現地マレーシア協力者らの慈悲深い、やさしい心情を思った。
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