認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

保健師さんが核になるアルツハイマー型認知症の地域予防活動(その2)(A-71)

2012-12-21 | アルツハイマー型認知症の予防活動

○ 脳の働きからみた「生活習慣」の改善を目指す、新しい「地域活動」の創成  

第二の人生に入っている60歳以上の年齢の「お年寄り」達を対象にして、「二段階方式」の手技に基づく「神経心理機能テスト」で、脳の神経心理機能をチェックしてみると;脳全体の司令塔の役割をしている「前頭葉」の働きだけが異常なレベルに加速度的に衰えてきている人達がたくさんいることが分かります。「前頭葉」の本来的な性質であり、内在的な性質の発現として、お年寄りであれば誰でもが抱えている「正常な老化」のカーブを大きく逸脱して、「異常な老化」のカーブを描きつつ、前頭葉の機能レベルが加速度的に衰えていっている人達が、日本中どこにでもたくさんいるのです。「アルツハイマー型認知症」の症状の発現の仕方というのは、「脳血管性認知症」の場合と違って、ある日突然認知症の症状が発現するのではないのです。(ここを「クリック」してください)。

ここで、(コーヒー・ブレイク) 「アルツハイマー型認知症」の専門家達は、認知症を発現しているかいないかを判定するに際して、米国精神医学会の診断規定である「DSM-4」に依拠して診断するために、回復が困難な末期段階の「重度認知症」(大ボケ)の段階でしか見つけられないでいるだけなのです。私たちが開発した「二段階方式」のように、脳の司令塔の「前頭葉」の働き具合(機能レベル)に着目して、神経心理機能テストを活用して診断すれば、見過ごされている早期の段階(回復が容易な「小ボケ」及び回復が未だ可能な「中ボケ」)を見つけることができるのです。その結果、「アルツハイマー型認知症」は、突然「重度認知症」(大ボケ)の段階の症状が発現するのではなくて、「小ボケ」、「中ボケ」、「大ボケ」という三つの段階に区分されること及び発現してくる「症状」は原因である「脳の機能レベル」に応じて次第に「重症化」していくことも分かるのです。(ここを「クリック」してください)。

脳の司令塔の「前頭葉」(前頭前野のことを言うものとする。以下、同じ)が異常な老化のカーブを描いて衰えていっているお年寄り達に共通しているのは、毎日の脳の使い方、第二の人生での「生活習慣」なのです。これといった生き甲斐もなく、熱中している趣味や遊びもなく、親しく付き合う仲間もなく、散歩やスポーツで体を動かす機会もなく、意欲が湧いて「集中力や注意の分配力」を発揮する「目的」となるような「テーマ」もなく、ただぼんやりと日々暮らしているだけの「生活習慣」が浮かび上がってくるのです。言い換えると、生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標もないという、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続されている「お年寄り」達だけを対象として、脳の司令塔の「前頭葉」の働きだけが、加速度的に老化していっていることが分かるのです。(ここを「クリック」してください)。

ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続している生活状況の下で、脳が加速度的な衰え方のカーブに入って行き、「前頭葉」の働きが「正常に機能」している領域を超えて「異常な機能レベル」に入った領域(「小ボケ」の始まり)の中で更に衰えていき、社会生活に支障がでてきている下限の境界点(ここまでが、「小ボケ」の段階)に達したとき以降になって初めて、「前頭葉」と協働する脳の後半領域の機能(左脳及び右脳)の働きが加速度的な衰えを示し始めるのです(ここからが、「中ボケ」以降の段階)。このことを逆説的な表現を借りて言えば、「前頭葉」がちゃんと働いている(正常な機能のレベルにある)限りは、脳の後半領域の機能もちゃんと働いている、「脳全体」がちゃんと働いている(つまり、認知症の現行の定義から見れば、「認知症を発病していない」)ということになるのです。

そもそも 「認知症」という病気は、脳全体がちゃんと働かなくなって、社会生活や家庭生活や身の回りの処置に支障がでてくる病気のことを言うと定義されているので、「前頭葉」の機能が正常なレベルにある限り(言い換えると、「脳全体」がちゃんと機能している限り)、「物忘れ」などの症状(記憶の障害)が認められていても、「アルツハイマー型認知症」は発病していないということになるのです。しかしながら、「アルツハイマー型認知症」を回復可能な早期の段階で見つける上で、最も重要且つ適切な指標は、「記憶の障害」ではなくて「前頭葉の機能レベル」なのだということに認知症の専門家達が早く気付いてほしいのです。世界的に権威があるとされ指針として活用されている米国精神医学会の診断基準である「DSM-4」は、「記憶の障害」を第一の要件とし、且つ、失語、失行、失認等の「大ボケ」の後期にならないと発現することがない「重度の症状」を第二の要件と定めているという重大な欠陥を有するため、回復可能な早期の段階(回復が容易な「小ボケ」及び回復が未だ可能な「中ボケ」)を見つけることができなくて、回復が困難な段階(「大ボケ」)しか見つけることが出来ないのです。この基準に依拠して診断する限り、「アルツハイマー型認知症」というタイプのボケは、せっかく見つけても「治せないし、原因も分からない」ということになってしまうのです。

再度、(コーヒー・ブレイク) 軽度認知症(「小ボケ」)の段階は、脳の後半領域の左脳も右脳も未だ正常な機能レベルにあって、司令塔の「前頭葉」の機能だけが異常なレベルに衰えていると私たちは定義しています。認知症の現行の定義からすると、私たちが言う「軽度認知症」(「小ボケ」)の段階は脳全体が異常なレベルにあることにならないので、認知症を発病していることにならないのではないかと考えた人は、なかなか鋭い人と先ずは褒めておきましょう。ところが、脳の機能面から考えると、脳の後半領域の機能である、左脳も右脳も運動の脳も、意識的な行為の世界では必ず司令塔の「前頭葉」のコントロールのもとに働いているのです。したがって、その機能レベル(状態)のアウトプットは、「前頭葉」の機能障害を伴ったアウトプットになってしまうのです(御者である「前頭葉」の機能が異常なレベルにあって、左脳、右脳、運動の脳という「三頭の馬」を制御しているので、アウトプットとしての行為や行動は、「前頭葉」の機能障害が反映されたものになってしまうのです)。

したがって、「前頭葉」の機能だけが異常なレベルにあって「左脳、右脳及び運動の脳」は未だ正常な機能レベルにあるこの段階で、脳全体の機能レベルのアウトプットとしての「社会生活に支障が出てきている症状」を必ず確認することができるのです。つまり、「脳全体の機能」が異常なレベルにあることとする定義自体に誤りがあるのであって、「前頭葉の機能」が異常なレベルにあるとする定義が正しいのです。定義自体を変えてやらないと、早期の段階、回復が容易な「軽度認知症」(小ボケ)の段階及び回復が未だ可能な「中等度認知症」(中ボケ)の段階を見落としてしまうことになるのです。近年、「軽度認知障害」という概念が提案されていますが、相変わらず「記憶」を中心とした「症状」からのアプローチとなっていて、「前頭葉」の機能障害という視点を欠いているために、対象領域があいまいすぎて使い物にならないのです。

 「前頭葉」は、意欲、注意の集中力、注意の分配力、自発性、発想、計画性、工夫、機転、洞察力、推理、創造力、好奇心、感動、抑制力、忍耐力といった、私達が「社会生活」を送る上でなくてはならない極めて高度な機能を集積しています(上述した「軽度認知症」小ボケは、この「前頭葉」の機能が異常なレベルにあるために、列記したような高度な機能の障害が小ボケの「症状」として現れてくるというメカニズムなのです。認知症の専門家や医師達は、このことに気づく必要があるのです)。その「前頭葉」には、「20歳を過ぎると年をとるにつれて100歳に向かって緩やかに一直線に衰えていく特徴を有する」老化曲線(「正常な老化の曲線」)があります。(ここを「クリック」してください)。

 この「前頭葉」の老化の曲線は、脳の後半領域の働きである左脳、右脳及び運動の脳からいろいろな情報(但し、質と量が十分なものであることが必要)が送られてくることで、緩やかなカーブを描き続けます。十分な量と質の情報が「前頭葉」に送られてくるような「生活習慣」が継続されているとき、老化の曲線は緩やかなものとなり(「正常な老化の曲線」)、「身体が持つ限り脳も保てる」、言い換えると、認知症の大多数90%以上を占める「アルツハイマー型認知症」とは無縁の第二の人生への道が開けてくることになるのです。

他方で、量も極めて少なく質も劣る情報しか「前頭葉」に送られてこないような「生活習慣」、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続するとき、脳の老化の曲線は急速に低空飛行化してゆき、「老化を加速させる」ことになるのです(「異常な老化の曲線」)。然もその先には、「アルツハイマー型認知症」の発病(最初の段階である「小ボケ」)への道が待っていることになるのです。

 「前頭葉」の老化曲線の問題と第二の人生では左脳の出番(仕事や勉強がテーマ)が極端に少なくなるという問題とが重なっている状況下で、何かを「キッカケ」として、右脳も運動の脳も出番が極端に少ない生活が始まると、司令塔の「前頭葉」が働く機会が極端に少ない「生活習慣」の下で、老化を加速させていき、居眠りが始まるのです。司令塔の「前頭葉」が居眠りしている生活が継続していると、「アルツハイマー型認知症」発病への坂道を転がっていく危険が顕在化してくるのです。(ここを「クリック」してください)。

 

日本中で「高齢化」がどんどん進んでいく中で、独居老人や老夫婦のみの世帯が加速度的に増加してきている我が国の現状をふまえるとき、「お年寄りが、いつまでも元気なままでいられる」、「身体が持つ限り、脳もちゃんともたせる」、或いは、「年齢相応の社会生活が送られる」レベルに脳の機能レベルを保つための施策、「地域予防活動」の展開による「予防」と早期診断による「回復」とをシステム化して実践する施策が、全ての市町村で切実に求められているのです。

勿論、お年寄り本人自身がボケない為の最大限の努力、「前頭葉」を含む脳全体が生き生きと働くような「生活習慣」の構築と実践とを日々継続することが大前提となります。家族がそれを側面から支える体制を築き、さらに行政が「地域全体」で支えるための啓蒙活動やシステムの構築や文化の創成やボランティアの組織化を行うことが「超高齢化社会」では不可欠となるのです。

こうした社会的要求にこたえられる効果的な施策として、エイジングライフ研究所が提案し、既に440を超える市町村で実践されている「二段階方式」に基づくボケ予防教室の展開を柱とした「地域予防活動」の創成が「先駆的なモデル」になると考えているのです。

 

○ 「右脳」の活性化で、「アルツハイマー型認知症」のない地域を 

「アルツハイマー型認知症」は、認知症全体の90%以上を占めています。(ここを「クリック」してください)。然も、脳の使い方と言う視点からの「生活習慣」が発病の原因であり、脳を活性化させる生活習慣を構築することで「予防」することが出来るのです。

私たちが開発した「二段階方式」の手技を活用して、北海道から九州まで、440を超える市町村での「地域予防活動」の実践に基づくデータを分析してみると、20歳の半ばを過ぎると、「前頭葉」の働きが加齢とともに衰えて行く性質があることが分かります(「前頭葉」機能の加齢に伴う「正常な老化」の性質)。特に、60代の半ばになると全盛期の二十代半ば頃の半分くらいに働きが衰えてきているのです。その先は、70歳、80歳90歳と、年を重ねるごとに「前頭葉」の働きが衰えて行くのです。従って、第二の人生を「身体がもつ限り、脳ももたせる」、言い換えると、「アルツハイマー型認知症」を発病しないためには、「前頭葉」の正常な老化のカーブが急激な低下のカーブをとることがないように、下支えしてやる「生活習慣」を構築し維持することが不可欠となるのです。

その下支えしてやる方法とは、「前頭葉」を含む脳全体をしっかり使って活性化させてやる生活を構築して、それを実践することなのです。「前頭葉」を生き生きと働かせるためには、「左脳」、「右脳」、「運動の脳」という、「前頭葉」の働きを支える「三頭の馬」を十分に使う生活が最も重要なのです。「三頭の馬」が意識的な「テーマ」を実行するために動き出す状況下では、置かれている状況を判断し、何をどのようにするのかを決定し指示する役割をしている御者である「前頭葉」の出番が必ず出てくるからです。

ところが、第二の人生を送っているお年寄りには、様々な制約があることを考慮する必要があります。脳を使うと言うと、皆さんは直ぐに、「仕事や勉強」をすることを考えるのではないでしょうか。そもそも「第二の人生」を送っているということは、一部の例外的な場合を除き、「仕事」はしていないのが普通でしょう。「仕事や勉強」は、「左脳」が担うものです。第二の人生を送っているということは、「左脳の出番」が極端に少ない生活を送っているということになるのです。第二の人生を送っている高齢者にとっては、「左脳は、前頭葉を支える重要な役割をもはや担うことはできない」ということなのです。

だからと言って、そもそも老齢のため足腰が弱ってきているので、「運動の脳」も、主役にはなれません。「毎日、5000歩の散歩」を欠かさないことが習慣化できれば、それだけで合格点といえるでしょう。「5000歩の散歩」といっても、ただ一人で黙々と歩くだけでは能がありません。老夫婦で仲良く一緒に歩いたり、仲のよい友達と歩いたり、時には景色のいいところに出かけていって散歩したりと、工夫してみることも大事です。会話が弾んだり、景色に感動したりする機会があると、運動の脳だけでなく、左脳も右脳も活性化され、「前頭葉」に送られる情報の質と量も増えるので、「前頭葉」が働く機会が増えて活性化することになるのです。

○ 第二の人生でもっとも頼りになるのは、右脳を使う生活なのです。

 保健師さんが主役となって展開する「脳の健康を目的」とした新しい活動である「地域予防活動」は、「脳の働き」という物差しをもち、「右脳」を活性化させる「集団活動」の場を創成するもの」でなければなりません。

 お年寄りが、できるだけ家の外に出ていって、出来るだけ多くの人達と交わり、コミュニケーションしながら、趣味や遊びや人付き合いといった共通の「テーマ」に添った活動を行うこと、換言すれば、「社会生活」を送ることがボケ防止(「アルツハイマー型認知症」の予防)に不可欠の条件となるのです。「前頭葉」は、社会生活を送るための脳なのですから。「左脳」が主体となる仕事や勉強とは基本的に縁がなくなる(薄くなる)第二の人生では、「前頭葉」を支えるもっとも頼りになる柱は、「右脳」なのです。「右脳」の出番は、趣味や遊びや人付き合いの場なのです。時間が経つのが速くて、喜びや感動を経験するのも、右脳の出番のときなのです。

 「アルツハイマー型認知症」は、生活習慣が原因の病気なのです。「ボケるかボケないか、言い換えると(早々とボケるか、身体が持つ限り脳も最後まで正常な機能のレベルを保てるか)」、それは、あなたの毎日の脳の使い方(「生活習慣」)が、その明暗を分けるのです。

すべての「意識的な行為」(目的々な行為)は、「前頭葉」がコントロールしているのです。左脳も右脳も運動の脳も、御者である「前頭葉」が制御し動かしているのです。「アルツハイマー型認知症」というタイプのボケは、社会生活を送るのになくてはならない働きをしていて、脳全体の司令塔の役割を持っている「前頭葉」が居眠りし始めることから始まるのです。

ボケない(アルツハイマー型認知症を発病しない)ためには、「前頭葉」が司令塔の役割を放棄して居眠りし始めないよう注意しなければなりません。そのためには、「前頭葉」が働く機械を失って居眠りし始めないように、脳の後半部の左脳、右脳及び運動の脳から常にたくさんの量と質の情報を「前頭葉」に送り続けてやる「生活習慣」を構築し実践することが必要不可欠となるのです。繰り返しになりますが、このとき最も頼りになるのが「右脳」なのです。保健師さんを中心とした新しいボケ予防(「アルツハイマー型認知症」の発病の予防)のための「地域予防活動」は、「脳の働きという物差し」を持ち、「右脳」を活性化させる「集団活動」の場を創生することであることを深く胸に刻んでおいて欲しいのです。(ここを「クリック」してください)。

 注)本著作物(このブログA-71に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

 エイジングライフ研究所のHPここを「クリック」してください)

  脳機能からみた認知症の初期の見わけ方(IEでないとうまく表示されません)

  http://blog.goo.ne.jp/quantum_pianist

 http://blog.goo.ne.jp/kuru0214/e/d4801838dd9872301e0d491cd8900f1a

       

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