認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

保健師さんが核になるアルツハイマー型認知症の地域予防活動(その1)(A-70)

2012-12-11 | アルツハイマー型認知症の予防活動

○  20年も30年もある「第二の人生」をどう生きるか 

人生60年といわれていた一昔前の時代と違って、世界に先駆けて「超高齢化社会」に突入した現在の日本では、誰でも80歳~90歳まで生きるのが当たり前となっています。

 会社や役所勤めの人のように定年がある場合がもっとも典型的なのですが、60~65歳前後の年齢で、「第二の人生」に入るのが通常のケースでしょう。その場合、「第二の人生」が20年も30年もある訳ですから、第一の人生がどうだったかだけでなくて、「第二の人生」がどうなるかがとても重要な意味を持ってくることになります。第一の人生がどんなに立派でも、第二の人生ではやばやとボケてしまったのでは、自分らしい人生を全うしたことにはならないでしょう。

その上、「アルツハイマー型認知症」という病気は、「脳がもたないのに、身体がもつ」のが特徴なのです。軽度認知症(小ボケ)に始まり、中等度認知症(中ボケ)の段階を経て末期段階の重度認知症(大ボケ)の期間が何年も続くのです。第二の人生がとても長い超高齢社会を考えれば、身体がもつ限り脳もちゃんともたせて、ボケないで第二の人生を完走することが、個人のレベルではもちろん、家庭のレベルでも、市町村のレベルでも、国のレベルでも強く求められてくるのです。

 

○ 「アルツハイマー型認知症」の予防活動は、保健師さんが中核 

認知症の大多数90%以上を占めるのは、「アルツハイマー型認知症」と呼ばれるタイプの認知症です。その正体は、「毎日の生活習慣である脳の使い方」が原因の病気、ナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続が発病を惹き起す廃用症候群に属する単なる「生活習慣病」なのです。

 これまで、認知症の専門家たちから、「原因もわからないし、治す方法もない」と言われてきた、「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症は、毎日の脳の使い方・生活習慣の改善で、「予防」する (脳の機能が異常なレベルに衰えるのを予防する) こともできるし、「治す」ことも(脳の機能を正常なレベルに回復させる)できるのです。

 とはいえ、食事をしたり、風呂に入ったり、服を着たり脱いだりといった、「セルフケア」にも支障がでてくるまでに脳の働きを衰えさせてしまった、大ボケの段階(回復が困難な末期段階)になって見つけていたのでは、もう手遅れ。治すことは期待できないのです。「アルツハイマー型認知症」を治すには、小ボケ(回復が容易)、中ボケ(回復が可能)までの「早期の段階」で見つけることが不可欠の条件となるのです。

 

 ところで、「アルツハイマー型認知症の正体が生活習慣病である」ということには、二つの重要な側面があります。

 1つは、「予防したり治したりする方法は、投薬や手術や治療などの医行為を必要としない」ということです。換言すれば、「アルツハイマー型認知症」こそ、「予防活動」の最も重要な対象となるテーマなのです。医師ではなくて保健師さんが、その担い手となるのです。もう1つ、「投薬や手術や治療といった医行為ではなく、生活改善指導だけが、予防と治療の対策となる」ということなのです。

 生活習慣病である「アルツハイマー型認知症」の発病を「予防」したり、回復が可能な早期の段階(「小ボケ」及び「中ボケ」)を診断するには、「前頭葉」を含む脳の機能レベルを判定することが不可欠となるのです。「前頭葉」を含む脳の機能レベルは、私たちが開発した「二段階方式」に代表される神経心理機能テスト(診療報酬が極めて安価)で容易に且つ的確に判定することができるのですが、CTやMRI(診療報酬が極めて高額)では判定することができないのです。そのため、CTやMRIを使用せずに、神経心理機能テストだけで早期診断することを医療機関に期待することは困難なのです。「CTもMRIも活用できないうえに、投薬の必要もないのでは」、正確に言うと、「神経心理機能テストの活用と生活改善の指導だけでは」、必要な額の収益をあげることが期待できないため、医療機関にその中核的な役割を期待することはできないということなのです。収益はあげられなくても、費用が減るメリットがある、市町村でしか対応できないのです。

 日本は世界に先駆けて「超高齢化社会」に突入していますが、この先、高齢化が更に進んでいく中で、なにもしないでこのまま手をこまねいていると、高齢者の大半は、「身体がもちながら、脳がもたない結果として、行き着くところはボケ老人」という悲惨な将来像が、はっきりと見えてくるのです。(ここを「クリック」してください)。世間では、末期段階の重度認知症(大ボケ)の段階にならないと「アルツハイマー型認知症」の発病とは認めないのですが、実体としては、「軽度認知症」(小ボケ)に始まり、「中等度認知症」(中ボケ)の段階を経て、最後に「重度認知症」(大ボケ)の段階があるのです。しかも、私たちが集積してきたデータによれば、「大ボケ」の予備軍である「小ボケ」の段階の人数と「中ボケ」の段階の人数とを合わせた数は、「大ボケ」の数の4倍にもなるのです。

 高齢者を多数抱える個々の市町村が実施の主体となり、行政活動の中の主要なテーマとして「アルツハイマー型認知症」の予防活動を位置づけ、取り組むことが必要なのです。国と地方の財政負担及び家族の精神的経済的な負担を考えると必要不可欠のことなのです。「アルツハイマー型認知症」の予防活動に取り組む専門の保健師さんを配置して、地域のいろいろな組織やボランティアを取り込み、継続的な「自主活動」として、「地域単位」で取り組むしか問題を解決する方法がないのです。

 

「アルツハイマー型認知症」を予防するための生活改善の指導は、脳を生き生きと使う生活習慣、「前頭葉」に十分で種々様々な情報が送られていって、「前頭葉」(前頭前野のことを言うものとする。以下、同じ)の機能がフルに働くような生活習慣、特に、第二の人生を送っている「高齢者」にとっては、「趣味や遊びや人付き合い」を楽しむ上で必要な「右脳を中心とした生活」の構築を指導することが重要となるのです。歩くことやスポーツなどの運動を楽しむのに必要な「運動の脳を使った生活」の構築も有効です。

 介護保険で期待されている、従来型の「身体介護サービス」提供の担い手ではなくて、「生き甲斐創造の手助け」となる新しいタイプのサービスを提供する担い手になっていただきたいのです。その場合、「脳の働き具合の定期的な検診」が不可欠となることを忘れないでください。(ここを「クリック」してください)

    

 注)本著作物(このブログA-70に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

エイジングライフ研究所のHPここを「クリック」してください)

脳機能からみた認知症の初期の見わけ方(IEでないとうまく表示されません)

   http://blog.goo.ne.jp/junsky                    http://blog.goo.ne.jp/kuru0214

http://blog.goo.ne.jp/isehakusandou


 

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