認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

アルツハイマー型認知症を予防する脳の活性化方法 Q/A Room(Aー54)

2012-08-09 | 認知症に対する正しい知識のQ&A

Q:私達夫婦は、今年中に古希を迎えます。ここまで長生きしてくると、一番心配なのは、アルツハイマー型認知症になることです。脳がイキイキと働くような生活を毎日していれば、アルツハイマー型認知症にならないという話を友達から聞いたのですが、どんな方法が脳を活性化させるのでしょうか。簡単な方法があるなら、教えてください。

     

A: 私達は、意識的に何かの「テーマ」を実行する際の、「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。以下、同じ)を含む脳の働き具合とそのアウトプットとしての行為(症状)を「二段階方式」による神経心理機能テストを使って詳細に調べ分析してきました。通常の正常なレベルから、正常下限のレベル、「アルツハイマー型認知症」発病後の「小ボケ」のレベル、「中ボケ」のレベル、更には末期段階の「大ボケ」のレベルに至る「脳の機能レベル」の変化とそれにリンクした各レベルでの「症状」の程度及び態様の経過(変化)について、極めて多数のデータを蓄積してきました。(「小ボケ」から「中ボケ」、「中ボケ」から「大ボケ」へと症状が進行するその間、脳機能の衰え方は、常に加速度的に進むのが特徴であり、この点に注意することが重要です。

           

特に、末期段階の「大ボケ」のレベルでは、脳の機能が或る程度機能している「大ボケ」の初期のレベルから、加速度的に衰えを増していき、最終的には殆ど機能しなくなる「大ボケ」の末期までの間のとても幅広い症状を示すのです。その脳機能レベルのアウトプットとしての「症状」の程度差は、極めて幅広く、且つ深いのが特徴なのです。そのため、区分上は「回復が困難」という意味での同じ「大ボケ」のレベルでも、その中での症状の進行につれて、介護する上での負担がどんどん大きくなっていくのです)。

製薬会社は、「アルツハイマー型認知症」の症状の進行を遅らせる効果があるという宣伝文句でいろんな薬を開発し、販売していますが、私達がこれまでに蓄積してきた脳機能データの分析の結果(15000例に上るデータの解析)から言えば、ナイナイ尽くしの「単調な生活」を継続したままで居て、飲むだけで、「前頭葉」を含む脳の機能が改善してくる(或いは、脳機能の衰え方が改善される)ような「薬」など存在するはずがない(開発できるはずがない)と考えています。更には、テレビのコマーシャルに出てくるような、飲むだけで「前頭葉」の機能が活性化するようなサプリメントや食物もないと考えています。ここを「クリック」してください

     

 認知症の専門家たちは、長い年月にわたって「重度認知症」のレベルにあった患者の「解剖所見を基礎とした類推」によって、アミロイドベータやタウ蛋白によって情報を伝達する神経細胞が侵され、脱落・消失する為に「アルツハイマー型認知症」の症状(「記憶の障害」を基礎とした種々の症状)が出てくるものと主張していますが、これは重大な誤解なのです。「敵は、本能寺にありなのです!」。

        

私達の「アルツハイマー型認知症」の症例についての「脳の働き具合の変化」とそれにリンクした症状の変化に関するデータの分析結果から言うと、神経細胞が侵されて情報が伝達されなくなってくる為に認知症の症状が出てくる訳ではないのです。「前頭葉」の出番が極端に少ない「生活習慣」、ナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続により、の機能が廃用性の機能低下により加速度的に衰えて行く(使われる機会が極端に減少することで、脳の働き具合が加速度的に衰えて行く)ことによって、情報が次第に処理できなくなっていく(且つ、発信されなくなっていく)結果として、「アルツハイマー型認知症」の症状が出てくるだけのことなのです。(ここを「クリック」してください)

それ故、症状は、「前頭葉」を含む脳の機能レベルが衰えて行くにつれて、それに相応した程度及び態様の症状が出てくるだけのことなのです。「脳の機能レベル」とリンクさせた「症状」について、「小ボケ」、「中ボケ」、「大ボケ」の症状の段階的な差異を調べて行けば、直ぐに分かることなのです。「アルツハイマー型認知症」の専門家と称する人達は世の中に数多いのに、この程度のことが何故分からないのかと不思議でなりません。

                

認知症の専門家達から「原因不明で、治らない」と言われ続けてきた「アルツハイマー型認知症」は、脳の使い方という視点からの「生活習慣病」に過ぎないのです。「アルツハイマー型認知症」が「生活習慣病」であるということは、「アルツハイマー型認知症」を予防する(脳の働きを正常レベルに保つ)には、「普段の生活習慣」が決め手になると考えて下さい。決め手になる生活習慣とは、「前頭葉」の本柱(「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」)の出番が多い生活を自分なりに工夫構築して、「前頭葉」の働きを活発にしてやる日々の脳の使い方、「生き方」のことなのです。

脳全体の司令塔としての「前頭葉」の働きの中核的なそれは、自分の置かれている状況を判断し、状況に沿ったテーマを思いつき、テーマを実行する内容と手順を計画し、実行した場合の結果をシミュレーションし、シミュレーションに基づいて実行すべき内容や手順を選択し、選択した結果に基づいて脳の各部(左脳や右脳や運動の脳)に対し必要な指令を出すという一連の作業を行うことなのです。この一連の作業を一定レベル以上で実行するには、一定レベル以上の「認知機能」の発揮が要求されることになります。その認知機能の発揮レベルを支える基礎となるのが、「前頭葉の三本柱」と言うことなのです。

                  

ところで、「脳を使う」と言うと皆さんは直ぐに「左脳」を使う(仕事や勉強をする)イメージをお持ちだと思いますが、「アルツハイマー型認知症」を予防するための「脳を活性化」させるエース・ピッチャーは、実は「右脳」なのです。皆さんは、「時間が、あっという間に経ってしまう、楽しい体験」をお持ちでしょう。こんな時間こそ、脳全体が極めて活性化している、イキイキと働いている時間なのです。脳全体の司令塔の役割をしている「前頭葉」の働きを活発にするのに最も効果的な方法は、「右脳」をしっかり使う生活、趣味や遊びや人づきあいをしっかり「楽しむ生活」を送ることが不可欠になるのです。「趣味や遊びや人づきあい」などを楽しむことで、自分なりに目標や喜びや生き甲斐があり、意欲が湧いてくるような毎日を過ごすのです。

趣味や遊びや人づきあいといった「右脳」重視の生活が、「前頭葉」の出番を増やし働きを活性化させることになり、脳全体の機能が正常レベルに維持されることになるのです。趣味や遊びや人付き合いが苦手な人は、「運動の脳」を使うことが脳を活性化させる上で意外と効果的です。

      

「左脳」を使うテーマも勿論あっていいのですが、皆さんが思っている程の効果はありません。「第二の人生」を送っているということは、仕事はもうテーマにならないので、「勉強」ということになります。ところが、勉強が好きで好きで、食事をするのも忘れて、勉強に熱中した経験があるような人は、恐らく少数派だと思うのです。まして60歳を超えた「高齢者」であればなおさらのことだと思うのです。

世間では、小学校の低学年レベルの「平仮名で書かれた文章の音読」や「一桁の足し算と引き算程度の簡単な計算」(これらは、共に「左脳」を使うテーマなのです)をすることが、脳の活性化に役立つとして教育事業者などから提案されています。このような程度のものでも、その作業をしているときには、関係する脳がそれなりのレベルで働くのは当たり前のことなのです。必要とされる脳機能の程度は低くても、「前頭葉が絡む意識的な世界」であることに変わりがないからです。その時の脳の作用を「f-MRI」などを使って計測しても、それが「効果を証明することにはならない」のです。そのとき、そこに「意識的な世界」があり、関係する脳の機能が働いていると言うことを証明しているだけのことなのです。

これに特化した生活を何カ月か継続させた(趣味や遊びや人づき合いを楽しむ生活を排除しないと正しい評価が出来ない)お年寄りの「前頭葉」の機能レベルの変化(改善の有無)を神経心理機能テストで計測評価してみれば、効果があるのかないのかがはっきりとわかるはずです。私達は、このようなレベルの「左脳」刺激の方法では、大事な時間をかける割に大した効果が期待できないので、極力排除するよう指導しています。

           

第二の人生を過ごしている高齢者にとっては、やるのが楽しくて、時間があっという間に経って、またやりたくなるような「趣味」や「遊び」や「人づきあい」を積極的に楽しむ、「右脳」がらみの生活とその仕方を工夫することが、脳を活性化させるのに不可欠なのです。それを実感できているときは、「意欲」が湧き出ていて、「注意が集中」していて、「注意が分配」できているからです。言い換えると、そうした時間は、「前頭葉の三本柱の働きが、極めて活性化している」生き生きと働いている時間と言うことなのです。 

                 

私達が開発した「二段階方式」のシステムを導入している市町村では、「二段階方式」を活用して、認知症の「予防教室」に参加しているお年寄りたち全員の脳全体の機能レベル(前頭葉、左脳及び右脳)を定期的に検査し、所定の基準に基づき三段階に区分して評価(「改善」、「維持」及び「悪化」)しています。その評価の基礎データと評価結果とは、「二段階方式」の「管理ソフト」により、個人別及び地域単位別に集計され、「時系列管理」されます。極めて多数のデータの分析の結果から、上述した問題が確認されているのです。      

「 仕事」一筋(「左脳」一辺倒の生活習慣)の人生を送ってきていて、「右脳」がらみの生活習慣である「趣味」も「遊び」も「人づきあい」も苦手だったと言う人には、「運動の脳」からの刺激が取り組みやすい上に意外と効果的なのです。 一日一時間の速足での散歩が目標(5000歩が目安)です。その場合も、散歩をするのが楽しくなるような「一工夫」が大切です。散歩するのに安全な場所を選び、散歩してみたくなるような場所を探し、家族や友人仲間と談笑しながら一緒に歩くと効果が一層大きくなります。(脳を活性化させる「魔法の散歩」については、ここをクリックしてください)。

注)本著作物(このブログA-54に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

       エイジングライフ研究所のHP(ここをクリックしてください)

   

 

 

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