認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

アルツハイマー型認知症の原因と予防法(脳の使い方)Q/A総集編(A-60)

2012-09-20 | 認知症に対する正しい知識のQ&A

Q: 認知症の大多数を占める「アルツハイマー型認知症」を予防するには、脳をしっかりと使う「生活習慣」が大事だと知りました。ところが、私は幼いころから、音楽や体操は得意だったのですが、勉強(特に国語や算数)が苦手でした。古希を目前にしたそんな私が、脳をしっかり使う生活をするには、どんなことをどんな風にしたらいいのでしょうか。

      

 A:     することもないまま!

           余るばかりの私の時間

                身体も脳も、今日も居眠り

(撰者 大伴焼餅の講評) 脳の使い方の説明に入る前に、「脳の機能」について、ここで概観しておきたいと思います。脳の働きとそのメカニズムを知り、且つ理解した上で、自分なりのやり方を実践することが大切だからです。

 頭のてっぺんの所には、身体を動かす指令を出す「運動の脳」があります。脳卒中で、半身麻痺になる人がいます。「運動の脳」の左の部分が壊れると、右半身麻痺が起きます。右の部分が壊れると、左半身麻痺が起きます。「運動の脳」の左の部分が右半身を、右の部分が左半身を動かしているのです。脳の後ろの左側部分には、勉強や仕事などをする為の「左脳」があります。「左脳」は、言葉や計算や論理や場合分けなど「デジタルな情報」を処理しているのです。

 脳の後ろの右側部分には、趣味や遊びや人付きあいなどを楽しむ為の「右脳」があります。「右脳」は、色や形や音や空間や感情など「アナログな情報」を処理しているのです。

      

 額のところには、脳全体の司令塔の「前頭葉」(前頭前野のことを言うものとする。以下、同じ)があります。私たちが意識的に何かの「テーマ」を実行しようとするとき、どのようなテーマをどのように実行するか、「運動の脳」をどのような目的のためにどのように働かせるか(体を動かすテーマ)、「左脳」をどのような目的のためにどのように働かせるか(言葉や計算や論理や場合分けなどのテーマ)、「右脳」をどのような目的のためにどのように働かせるか(色や形や音や空間認識や感情などのテーマ)、全ては司令塔の「前頭葉」が周りの状況を判断して決定し、指令を出しているのです(運動の脳、左脳、右脳という三頭立ての馬車の「御者」の役割をしているのが「前頭葉」なのです)。

 具体的な場面で説明しましょう。 老人会でゲートボールを楽しむ時の周囲の状況や関係等を考慮した遊び方も、お茶を飲みながら友達と趣味や遊びや家庭の問題等の世間話に花を咲かせる時の話の展開の仕方も、友達を家にお呼びして得意の手料理でもてなす時の相手との関係に配慮したもてなし方も、家の周りに樹木を植えたり草花を咲かせたりして楽しむ時の景観や観る人の視点を考えた配置や植え方も、脳全体の司令塔の「前頭葉」が、関係する色々な条件や状況を判断して、テーマを発想し、内容を計画し、「何をどのようにするか」をケースワークした上で最終的に決定し、必要な指令を出して、実行させているのです。

      

 認知症の専門家とされる人達から、未だに、発病のメカニズムが不明であるとされている「アルツハイマー型認知症」の場合は、脳全体の司令塔の「前頭葉」を中心とした「脳の機能レベル(働き具合)の直接のアウトプット」それ自体が「症状」として発現してくることになるのです。それが、「アルツハイマー型認知症」の「症状」が発現してくるメカニズムなのです。年をとるにつれて、前頭葉の働きが衰えてくる(人間であれば誰でも、前頭葉を含む脳の諸機能に加齢に伴う老化のカーブ、言い換えると「正常な老化」のカーブが、存在するのです)とはいえ、前頭葉の機能が正常なレベルにある限り、認知症の症状が発現してくることはないのです。高齢者と呼ばれる年齢のお年寄りが、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続することによって、「前頭葉」を含む脳の「廃用性の加速度的な機能低下が起きてくる」ことにより、働きが異常なレベルに衰えてくる結果、様々な程度態様の認知症の「症状」(「小ボケ」、「中ボケ」、「大ボケ」の三段階の症状)が発現してくるのです(ここをクリックしてください)。解剖所見を基礎とした「仮説」である蛋白質犯人説が主張するような、アミロイド・ベータやタウ蛋白に侵された「神経細胞」の脱落に起因する症状が現れてきているわけではないのです。

 中でも、 「前頭葉の諸機能」の機能障害すなわち、色々な認知機能を発揮する上での基礎となる「三本柱」意欲、注意集中及び注意分配機能の障害並びに発想、創意、企画、構成、計画、観察、分析、理解、把握、考察、洞察、推理、予見、シミュレーション、抑制、忍耐、工夫、修正、機転、興味、創造、感動、判断及び決断等の機能の障害、更にそれらに加えて最終的な実行内容を選択する上で不可欠な機能である「評価の物差し」としての評価機能の障害という「各種の前頭葉機能の障害」のアウトプットによる「症状」が「アルツハイマー型認知症」の最初の段階で発現してくることに注目することが、「発病のメカニズム」を理解する上で極めて重要なのです。この最初の段階では、「前頭葉」の廃用性の加速度的な機能低下により、働き具合が異常なレベルに衰えた「前頭葉の諸機能の機能障害」に起因する症状が発現してくるだけであって、いわゆる「物忘れ」(正常な老化現象)を超えるレベルの記憶の障害」(異常な老化現象)に起因する症状は全く認められないのです。(ここを「クリック」してください)。

      

(kinukototadaoからの説明)  意識的に何かの「テーマ」を実行しようとするに際して必要不可欠の、「状況の判断」、「テーマの構想」、「内容の計画」、「構成の保持」、「シミュレーション」、「実行内容の選択」、「実行の決断」等の「前頭葉」の諸機能を十分に発揮するには、思考の過程中での或る一定レベルでの「認知度の維持による認知機能の発揮」が要求されることになります。「認知度」が低いと、上述した「前頭葉の諸機能」がちゃんと働けないからです。

 その各工程での情報の交信(受け取り、処理、発信)に要求される「認知度」は、「前頭葉」の働きの中で最も重要な機能である「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」という「三本柱」の機能が正常に働くことが不可欠の前提条件となります。この「三本柱」の機能に下支えされる形で、発想や計画や工夫や洞察などの高度な認知機能がちゃんと発揮されることになる(認知機能を発揮するうえで、「二重構造」/「層構造」となっていることに注意)のです。実は、「三本柱」のこの機能は、「記憶」の工程である「記銘」、「保持」及び「想起」の機能発揮度にも深く関わっていて、影響しているのです(30代の後半から、いわゆる「物忘れ」の症状が発現してくるのは、このメカニズムの為なのです)。(ここをクリックしてください)。

       

 そもそも、この「三本柱」の機能は、高齢者と呼ばれる年代の入り口の60代にもなると大幅に衰えてきて、70代ではピーク時の20代に比べて半分程度にまで衰えてきているのです。80代、90代と年をとるにつれて、更に低空飛行になっていきます。「意欲、注意集中力及び注意分配力」いう前頭葉の「三本柱」の機能には、加齢とともに働きが衰えていくという性質があるのです(「正常老化」)。(ここを「クリック」してください)。

 加齢とともに衰えつつある「前頭葉」の諸機能を、正常レベルに保ち続ける(「正常老化」のカーブを維持する)上で極めて重要なことがあります。それは、日々どのような「テーマ」の、どのような実行の仕方によって、「脳をしっかりと使う機会をどのように確保するのか」と言うことなのです。「薬」も、「サプリメント」も、「食事」も、全く関係ないのです。もしも効果があると言う人(機関や企業)がいたら、その人(機関や企業)は、「アルツハイマー型認知症」発病のメカニズムを理解していない人(機関や企業)なのです。

 その意味で老婆心ながら提言すると、「仕事一筋」の生き方、「左脳偏重」の生活習慣を疑うこともなく、社会的な規範として抵抗もなく受け入れて第一の人生を送ってきた人達は、特に大きなリスクを抱えていることになるのです。こうした生き方をしてきた(価値観に支えられて第一の人生を送ってきた)人達は、「第二の人生」に入っていくと、「仕事」以外のことには価値を見出し難いのです。第一の人生での体験が少ないことも一因なのですが、「趣味とか遊びとか運動」とかに価値がおけなくて、「熱中」することが出来ないのです。年をとった自分がそうしたことに「熱中」することに評価がおけないし、恥ずかしいことと考える人達も少なくないのです。「若い者が働いているのに、年寄りが遊んでなんかいられない」等と公言するのです。その上、日本人は、相互に家に呼びあうような「密な人づきあい」は余りしないのです。(ここをクリックしてください)。

      

 うした価値観を変えることが出来ない人達は、第二の人生が始まり、生きていく上での「生きがい」や「喜び」や「目標」を与えてくれていた「仕事」がなくなったとき、「仕事以外のテーマ」をどのように設定して、どのように「脳を使う場」を持って、毎日を過ごしたらいいのかが分からないのです。「生き甲斐」や「喜び」や「感動」を与えてくれるものもなく、「目標」となるようなものもなく、あり余る時間をもてあますことになることが多いのです。

 生き甲斐や目標もなく、趣味や遊びや人付きあいもなく、運動もしない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」を送っていると言うことは、脳の機能面から言うと、「前頭葉」の機能の中でも最も基本的で不可欠な機能であり、「認知度」(認知機能を発揮する度合い)を左右し下支えする働きをしている「三本柱」の出番が極端に少ない生活を送っているということになるのです。言い換えると、もともと加齢により機能が衰えていく性質を持っている三本柱の働きが、ナイナイ尽くしの「単調な生活」を送っている中で、脚の筋肉と同じように、廃用性の機能低下」を起こしてくることになるのです。「認知機能」を発揮する上での二重構造(「層構造」)のメカニズムが働く結果として、「三本柱」の機能が廃用性の機能低下」を起こしてくるにつれて、理解、考察、発想、創意、企画、計画、観察、分析、洞察、推理、予見、シミュレーション、抑制、工夫、修正、機転、興味、創造、感動、判断及び決断等の「前頭葉」の認知機能の働き具合も連動して衰えていくのです。ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続するもとで、前頭葉を含む脳の機能が廃用性の機能低下を起こしていくとき、私たちがこれまでに集積してきた「脳機能データ」によると、加速度的に全体としての機能が衰えていくのです。このことについて、前頭葉の「三本柱」以外のそれらの認知機能の衰え方についての直接のデータとしての蓄積がないので、推測(仮説)の域を出ないのですが、そもそもそれらの個々の認知機能自体にも、「加齢に伴う正常な老化」の性質があり、且つ、使われる機会が極端に少ない生活が継続するもとでの、廃用性の機能低下という性質があるのではないかと考えているのです。個々の認知機能がもっている「二面の性質」と上述する「二重構造」との問題が相互に作用することにより、それらの「相乗効果」として、私たちが集積してきたデータが示す「加速度的な機能低下」が起きてきているのではないかと考えているのです。

       

  そこで、いよいよ「脳の使い方」の主題に入りたいと思います。「脳を使う」ということは、意識的に何かの「テーマ」を実行するということなのです。ところで、脳を使うってどういう「テーマ」を実行することだとあなたは思っているのですか。「勉強」することですか?「仕事」をすることですか?「遊ぶ」ことは、どうですか?「趣味や人付き合い」を楽しむことは、どうですか?「散歩」をするのは、どうですか?

 「勉強」するということは、「左脳」を主に使うことになります。「左脳」は、言葉、論理、計算、場合分け等の「デジタルな情報の処理」を担当しているからです。「仕事」をすることが脳を使うことですか?「仕事」も「勉強」と同じく、「左脳」を主に使うことになります。「遊ぶ」ことや「趣味や人付き合い」を楽しむことは、「右脳」を主に使うことになります。「右脳」は、色や形や音や時間や空間、感情等の「アナログな情報の処理」を担当しているからです。「散歩」をすることは、「運動の脳」を使うことになります。「運動の脳」は、身体を動かす働きを担当しているからです。

  ここで忘れてならないことは、脳全体の司令塔の「前頭葉」のことなのです。「左脳」が「デジタルな情報の処理」を実行するときも、「右脳」が「アナログな情報の処理」を実行するときも、「運動の脳」が「身体を動かす」ときも、三頭立ての馬車(左脳、右脳、運動の脳の三頭の馬)の御者の役割をしている「前頭葉」の指示なしには、勝手には動かない仕組みになっているからです。三頭の馬のどれかが動くときには、必ず「前頭葉」からの指示があるのです。言い換えると、「前頭葉」自体(三頭の馬を主導しつつ、同時に協働して)働くというのが、「意識的な行為」下で人間の脳が働くときのメカニズムなのです。三頭立ての馬車のいづれかの「馬」が働く場面があるということは、不可分的に「前頭葉」の働く場面があるということになるのです。

        

 「アルツハイマー型認知症」を予防する方法とは、日常生活のいろんな場面で、「前頭葉」を含む脳全体をしっかり使ってやることなのです。「趣味」や「遊び」や「人づきあい」や「運動」或いは「社会活動」等を自分なりのやり方で「楽しむ」生活「習慣」化することに尽きるのです。自分なりの目標」「喜び」生き甲斐」がある生活を送ることで、「前頭葉」の出番を増やしてやる(しっかり使ってやる)ことしか方法はないと言うのが、データと実践に裏付けられた私達の考えなのです。

 第二の人生を、ボケとは無縁で自分らしくいきいきと生きるために不可欠な「生活習慣」を打ち立てるための「大原則」。「左脳」中心、仕事偏重だった第一の人生とは生き方を変え、第二の人生では、「右脳」重視の生き方への転換を図り、周囲の目を気にせず、自分らしさが前面に出るような生き方をして、自分がイキイキしていると感じられる脳の使い方(「生活習慣」)を毎日の生活の中に打ち立てることが必要不可欠の条件となるのです。(ここを「クリック」してください)。

      

 やることが楽しくて、「意欲」が自然と湧いて来て、熱中できるようなテーマ、「注意を集中」したり「注意を分配」(複数の異なったテーマを同時並行して実行する前頭葉の機能 )したりすることができるだけ多い「テーマ」に取り組む中で、自分らしい「生き方」、自分らしい「生活の楽しみ方」を追及し、そうした暮らし方(「生活の仕方」)が「生活習慣化」するよう、意識的に努力して欲しいのです。

○ 熱中し、夢中になれる趣味や遊びをできるだけたくさん持つ

○ たくさんの友達とできるだけ親しく交わる

○ 自分なりの生き甲斐や喜び、目標となるものを見つける

○ 精神的な張りと適度に緊張感のある毎日を過ごす

○ 散歩程度でも良いから、運動する機会を出来るだけ多く持つ

       

(コーヒー・ブレイク)今日でちょうど60回目となりました。東日本大震災の被災地のお年寄り達に必ず起きてくる「アルツハイマー型認知症」の発病の問題、専門家達もマスコミ関係者も予想さえしなかった割合、且つ大規模な発病を世の中に知らせることが目的で、3月からこのブログを書き始めました。(ここをクリックしてください)。

 これだけ大量の発病者がいながら、世界中の専門家たちの間で「原因不明で治らない」病気とされている「アルツハイマー型認知症」に対する私たちの考えを体系的に示すことと研究者や医師や自治体の保健師さん達に問題提起するために、表現がやや難しくなり、専門的な内容も増えてしまいました。おまけに、文章も長く、読みづらかったことと思います。次回からは、できるだけ優しい表現で、一般の方たちに読みやすい内容と表現とを心がけたいと思っています。

 注)本著作物(このブログA-60に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

  エイジングライフ研究所のHPここをクリックしてください)

  脳機能からみた認知症の初期の見わけ方(IEでないとうまく表示されません)

 

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