昔、広島県は吉田川の釜淵に棲んでいた妖怪。
家畜ばかりか人間にまで危害を加える百人力のバカ力の持ち主で、どうするコトも出来ずに困っていたが、毛利氏の家臣で井上元重、通称・荒源三郎という七十人力の武士が、その腕っぷしの強さを見込まれ、退治を頼まれた。
しかし、相手は百人力の化け物、まともにぶつかっては勝ち目がないと、淵猿の泣きドコロはないかと考え、頭の真ん中の皿に水が入っていたコトを思い出した。
源三郎は、淵猿の首をつかんで左右に振り回したトコロ、その勢いで皿の水が吹き飛び、たちまち力を失い、これを生け捕りにしたという・・。
名前に「猿」という字があるが、こうした特徴から、淵猿は河童の一種と思われる。
「広島」、「淵に棲む”猿”」、「河童」・・といえば、思い出される妖怪が・・。
このブログでも何度か紹介している、猿猴(えんこう)という、全身、茶色い毛で覆われているという猿のような河童である。
(カテゴリー/広島のオススメ!:「猿猴 ~広島の妖怪①~」参照http://blog.goo.ne.jp/kinto1or8/e/b50779fec0e3cf69814e869ad78e86b6)
前回、水木しげるが主張する「妖怪千体説」というのを紹介したが、もともと河童は、各地でさまざまな名前で呼ばれており、バリエーションが多い妖怪である。
(カテゴリー/広島のオススメ!:「おいがかり ~広島の妖怪⑧~」参照http://blog.goo.ne.jp/kinto1or8/e/dfda9b500e27222e2d9aeabaf9a6a831)
「ガラッパ」、「ひょうすべ」、「岸涯小僧」、「一目入道」、「ミンツチ」・・など、さまざまに呼ばれているが、全部、河童の一種。
(カテゴリー/歴史・民俗:「河童起源譚」参照http://blog.goo.ne.jp/kinto1or8/e/5ab3b821a83e719c6d64fc9e9fabbfeb)
「猿猴」も「淵猿」もそのバリエーション・・とゆーワケだが、ほのぼのとした心温まるエピソードが伝わる猿猴に比べ、淵猿は本物の化け物って感じだ・・。
その外見的な特徴や生息地から、同一種と思われるが、個体差があるってコトなのかなー・・?
人間も妖怪も、やさしいのもいれば、悪いのもいるのね・・。