歴声庵

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小田中直樹著「歴史学ってなんだ?」

2007年06月14日 22時41分20秒 | 読書
 夏コミ向けの新刊に私も参加させて頂きました日本史探偵団様のブログが開設されました、大山先生が執筆した記事についての話なども書いてくれるみたいなので、これから楽しみにさせて頂きたいと思います(^^)
 ところでこの夏コミ向けの新刊の原稿も一応一段落したので、最近また色々本を読んでいるのですが、どうもこのブログでの読書感想では良かった本の感想ばかり書いていますが、たまにはハズレと感じた本の感想を書いてみようと思ったので、今年読んだ本の中では一番のハズレと感じた今回紹介する本の感想を書きたいと思います。


 「歴史を学ぶなら歴史哲学を身に付けたほうが良い」とアドバイスを受けて、『歴史とは何か』に引き続いて読んでみた本です。
 筆者は一般の人が歴史を敬遠しがちなのを憂いてこの本を書いたらしいですが、この本を読んでまず感じたのは、本文中やたら横文字が多用されている事です。もしかしたら学会では「アクチュアル」や「コモン・センス」など日本語で言えば良い事をわざわざ横文字で書く事は普通の行為なのかもしれませんが、個人的には却って軽薄と感じてしまいました。また各章のまとめでは、自分では結論を書かずに「それぞれに判断してほしい」など良く言えば「自分の意見を押し付けない」、悪く言えば「自分の発言に責任を持たない」態度が無責任に感じられました。おかげで学術書の形式で引用を一々挙げてくれている本来なら親切と感じる構成も、「他人の意見を挙げるだけで、自分の意見は述べていない」と写ってしまいました。
 またタイトルの「歴史学ってなんだ?」に対する筆者の答えの「コミュニケーショナルに正しい認識」も、何が言いたいのか私にはさっぱり理解出来ませんでした。正式に史学を学んでいる方には受け入れられる内容なのでしょうが、私としては筆者の様な学者さんがこの本の様な曖昧な事ばかり述べるから、一般の人は歴史を敬遠するのではないかと、逆に納得してしまった内容でした。

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