歴声庵

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八幡和郎著 「江戸三〇〇藩最後の殿様~うちの殿様は何をした?~」

2007年05月10日 20時56分13秒 | 読書

 倒幕派にしろ佐幕派にしろ能動的に動いた藩や、大藩については色々伝えられていますが、東海道や戦乱に巻き込まれなかった関東の小藩の同行は殆ど知らないので購入してみました。
 タイトル通り聞いた事も無い小藩まで幕末にどういう動きをしたのかを簡潔に書かれており、中々興味深く読ませてもらいました。単に幕末の諸藩の動向だけでなく、幕末の通史も簡潔に書かれており勉強になります。他にも現代も「恨み節」を通して誤って語られる事が多い維新後の爵位制度や、廃藩置県後の県庁所在地の選定等について史料を通して史実が書かれており、中々読み応えがあります。
 ただ筆者はあくまで史学の視点で本文を書いているので、フィクション上で英雄として描かれる事が多い会津藩や河井継之助や新選組に対して辛辣な意見(史学的には適切な意見)を書いているので、漫画や小説で会津や新選組ファンになった人には耳の痛い事が書かれていますのでご注意下さい。ですので「史実とフィクションの区別がつかない方、つけたくない方」、または「佐幕勢力と自分を同一視してる方」は自尊心が傷つく恐れがありますので読まない方が賢明かと思われます。