歴声庵

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浅見雅男著 「華族誕生」

2007年04月13日 22時09分38秒 | 読書
 西南戦争後の明治史を全然知らない事もあって購読してみました、内容は爵位制度の歴史と基準を判りやすく説明してくれて、説明の間に貰った爵位に対してのそれぞれの家の反応のエピソードを適時投入してくれるなど、非常に読みやすく判りやすい本でした。
 前述の通り爵位に対して無知の私にとって、知らない事ばかりの内容でしたが、特に驚きだったのが、爵位と言うのは基本的には維新より以前までの「その家」に対する評価だった為、徳川家一門が総じて高い爵位を貰っていたのは驚きでした。
 また諸侯に対する爵位の評価基準が、石高の表高でなく実収高で評価した為、同じ表高の諸侯でも爵位に差がついたというは知りませんでした。これを読めば世間で言われる「会津や仙台は戊辰戦争で新政府に敵対したから、与えられた爵位が不当に低かった」と言うのが、会津贔屓の世迷言に過ぎないのを実感しました。
 そう言う意味では一見厳格な基準によって選定されたように見える爵位ですが、皇室と縁のある家には基準より高い爵位が与えられ、それに対し政府がもっともらしい理屈をつけてごまかしているのには苦笑しました。