歴声庵

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星亮一著「幕臣たちの誤算」

2006年04月24日 22時51分50秒 | 読書

 最近迷走気味の星氏ですが、会津が絡まない内容なら感情的にならないだろうと思ったのと、副題の「彼らはなぜ維新を実現できなかったか」に惹かれたので購入したのですが、いざ読んでみたらやはり星氏は星氏でした(涙)
 「幕臣たちの誤算」と言うタイトルなのですから、私は岩瀬忠震や川路聖謨と言った一般の知名度は低いですが、有能な幕臣の姿を描いてくれると思っていたんですよ。しかしいざ読んでみると出てくるのは小栗忠順・勝海舟・榎本武揚・土方歳三と言った誰でも知ってるような有名人ばかり、しかもその内容も私でさえ知ってるような事ばかりな薄い内容でした。正直これなら先日読んだ野口武彦氏の「長州戦争」の方が幕臣達の姿を余程詳しく描いてくれましたね、「幕臣たちの誤算」と大層なタイトルをつけてるわりには、中身は誰でも知ってるような話ばかりと言うのが正直な感想です。
 まあ、つまらないだけなら別に良かったのですが、うんざりしたのがこのタイトルなら感情的にならないだろうと思っていましたが、結局随所随所に、いつもながらの会津の恨み節が出てくるんですよ(汗)
 特にしつこいと思ったのが勝と徳川慶喜に対して度重なる批判です、「奥羽越列藩同盟を支持する立場に立つ身としては、極めて物足りない人間だった」と言う件を読んだ際は、もはやこの人は会津藩を通しての恨みの視点でしか歴史を見れないのだなと哀れに思ってしまいました。また新政府軍を「官軍」とは何が何でも認めたくないらしく、「薩長臨時革命政府」と訳の判らない造語を生み出していました(汗)
 う~んかつての「奥羽越列藩同盟」を書いていた頃の星氏は本当に素晴らしい作家だと思っていたのですが、今の星氏は自分が認めたくない事からひたすら目を逸らして自分の殻に篭ってしまったように見えてしまいます。