第32期囲碁名人戦七番勝負第6局は11月1日より甲府市で打たれ、高尾紳路名人(31)が挑戦者の張栩碁聖(27)に白番半目勝ちし、対戦成績を3勝3敗のタイとした。第7局は8、9の両日、静岡県熱海市で打たれる。
<高尾名人の話>
1日目、右辺の攻防は白がほとんどツブレみたいだった。1日目が終わった時点では、形勢は非常に悪いんじゃないかと思っていました。2日目は、ただ夢中で打ちました。
<張挑戦者の話>
1日目打ち掛けの時点では、いい勝負か、もしくは少し打ちやすいかと思っていた。2日目の再開後に、左下隅で白に荒らされたが、こんなに厳しいとは思っていなかった。
<武宮陽光の目>
この碁のポイントはなんと言っても右辺の攻防だったと思います。名人の「捨て石作戦」は予定通りであったのか。注目の感想によると「うっかりでした」とのこと。信じられないようなことですが、名人の雰囲気ですとどうやら本当のようです。
ただ、張挑戦者は「生きてもらう方がありがたかった」との感想でしたので、何とも言いようがない不思議な運命を感じました。
(朝日新聞より抜粋)
<依田紀基九段の目>
第5局もそうでしたが本局は精神力の勝負でした。ここまでこぎつけた高尾さんの根性はハンパではありません。顔から判断すると、張栩さんは「鋭」、高尾さんは「鈍」。鈍のタイプは徐々に力を出すのでしょうね。
それにしてもしんどかったはずです。ちょっとでもしくじればアウトですから。でも第7局はもっときついでしょう。両者ともそうです。泣いても笑ってもあと一局。じっと見守るばかりです。
(週間碁より抜粋)
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高尾名人、絶体絶命のピンチを薄氷を踏む思いでしのぎ切りました。逆境からの復活力は鬼気迫るものが感じられます。
一方の張栩挑戦者、名人を追い詰めながらも一歩一歩の追い上げに苦杯をなめる結果となりました。
今シリーズは主催者、囲碁ファンにとって最高の舞台が整った印象です。
名人側からの星取りは○●●●○○、最後の○がどっちに転ぶか、神のみぞ知るといったところでしょうか。明後日から始まる第7局、熱戦譜を期待しましょう。
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今年の野球日本シリーズ7番勝負はは日本ハムが○●●●●で敗れてしまいました。4戦までは名人戦と同じ星取りでしたが、第5戦で中日の勢いが日本ハムを圧倒した形となりました。中日ファンの小生としては快い一日でした。
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今回の対局地は山梨県甲府市の湯村温泉「常磐ホテル」。囲碁名人戦では7回目を数えるそうです。
甲府といえば武田信玄、NHK大河ドラマ「風林火山」の影響で地元ではいろいろなイベントが繰り広げられているようです。
大河ドラマ「風林火山」、次週は今川と織田が戦った桶狭間が舞台、織田信長が天下取りの第一歩となる奇襲作戦ですね。
このドラマの音楽は千住明、颯爽としたテンポと流麗なメロディーがストーリーを盛り上げます。
「風林火山紀行」での千住真理子(千住明の妹)のバイオリンも澄んだ音色で心洗われる気分です。
武田信玄と上杉謙信、囲碁名人戦でいえば高尾名人が武田信玄、張栩碁聖が上杉謙信のイメージでしょうか。