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遠い昔のTV番組を再現しようというムチャな試み

やられた、けど・・・

2014-06-24 09:55:10 | SF
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後半の後半に至って怒涛の展開、今までのムダがウソみたいにテキパキと伏線を回収しまくり、なるほど最初っからこういう予定でナゾを用意してあったのかと大いに感心したのであったが、でも完全に納得したとは言わない、時空を自在に移動できるヒロインの超能力に頼りすぎ、ヒロインの扱いがいかに何でも過酷過ぎ、ついでに言えば主人公(いいヤツだしメチャ強いことも確かだけど)ニブ過ぎ、これがハッピーエンド?なわけないじゃん!!

ツッコミどころはいろいろあるけど私にとっての1番は究極の知性を目指す(らしい)AIが人類のDNA(神経組織とは言ってない)を演算装置だと考えてる(まさに機械だけど「考えてる」のだ)という設定、DNAで計算ができるかってんだ、その2つは全く異質のものだよ
2番はやっぱ生物をナメてるってことかな?生物は乗り物や電気製品じゃない、自由に作り変えが効くものじゃないんだよ、人類は千年後も人類のまま、百万年後ならちょっとは変わってるかも(「ガラパゴスの箱舟」で描かれる程度には)ってなもんだ、いやそれ言い出したらSFはほとんど成立しなくなっちゃうんだがね
3番は(思いっきり希釈されてはいても)血液を「飲んで」感染するウィルス、吸血鬼の国じゃ当たり前に考えつく感染経路なのかもしれないがどうにもグロテスクの感をまぬがれぬ

またカソリック教会を悪役に仕立てながらこれほどキリスト教的なスジ立ても珍しいんじゃないか、これ手短に言えば「神様とヒトとの間に生まれた救世主が悲惨な死を遂げることによって世界を救う」って話だもんね、彼女は感染源になったことで十分世界を救ってる、「悲惨な死」はホントに必要なんだろか?書いてから気がついた、これが一番の(いやゼロ番の)ツッコミどころかも

ともあれ一気読みできて幸いだった、評価が高いのはよくわかる、それと些細なことながら目次のない電子版で「あとがき」を先に読めなかったのもよかった、このネタバラシにはまさしく「あっ!!!!!」と言ったもんなあ

追記-前半では悪鬼にしか見えなかったシュライクだが実は断固としてヒロインを守り続ける守護霊だった、「父と子と精霊の三位一体」ってわけのわからん概念に正統派のキリスト教がどうしてあれほどこだわるのか部外者にはさっぱりわからんけど、でもこれこそかの宗教の骨格なんだろな

もう一つ追記-結局最後まで明かされなかったナゾの一つに本編の主人公エンディミオンとはいったい何者、なぜこいつがヒロインの保護者に選ばれたのか?というのがある、私の解釈によれば彼はイエスの一番弟子聖ペテロじゃなかろうか、彼らといっしょに行動するアンドロイドは弟の聖アンデレ(合ってるよね?)、イエスがなぜこの二人を「人間をすなどる漁師」に選んだか、その説明は原典のどこにもない、だからここにもないのだ、ついでに言えば最初にヒロインの捕獲を命じられ、後で頼れる協力者になった軍人神父は聖パウロでいいんだよね、違うかな、作者殿?

6/25追記-悪乗りついでで続ければ女探偵はもちろん聖母マリア、「依頼人と男女の関係になる」がこれほど重要な伏線だったとはね、酔いどれ詩人は母娘の保護者と来れば聖ヨセフで決まり、時間遡行症の女の子は?Siriの孫に当たる宇宙船と空飛ぶじゅうたんの元持ち主は?この辺になるとちょっとわからない、作者がそこまで福音書のドラマ化を意識してたかどうかも不明だし・・・


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