事件記者のページ

遠い昔のTV番組を再現しようというムチャな試み

ブルガーコフ

2015-07-05 13:52:44 | 本と雑誌
いつのことであったか週刊朝日の書評欄に「悪魔とマルガリータ」というシッチャカ小説が紹介されてて内容がシッチャカであること以外は何も印象にないんだがいずれ入手可能になったら読みたいと何となく思っていた(こちら、原題は「マスターとマルガリータ」だからこの「巨匠と・・・」がより正しいんだろが私は「悪魔と・・・」も捨てがたいように思う)、今回岩波が文庫化してくれたのを近所の本屋でゲト、無事に読了した

ヒロインがマルガリータで悪魔が出て来るのならファウストと関係ありじゃないかと思われるかもしれないし確かに「ワルプルギスの夜」のバカ騒ぎは描かれてるが、ロシアのブルガーコフはドイツのゲーテほどぶっ飛んでないような気がする、いや、私は手塚富雄訳にたちまち挫折して(ワルブルギスが伏字だらけだったことしか記憶にない)読み終わってない、今回Wikiの紹介を読んだだけだが、何と言うかロシアの方が「小さい」のである、超自然なパワーでイタズラをやりまくる悪魔は確かに近所迷惑もいいところだがやることにどっか愛嬌があって、最初こそあきれるもののそのうちにこんなヤツらスターリン、毛沢東に比べたら善良なもんだという気分になっちゃうのだ(少なくとも私は)

たぶん登場人物で一番凶悪なのは魔女に変身したヒロイン、姿を消して空を飛べるようになったのを幸い恨み重なる(というほどでもないと思うんだが)批評家の家へ乱入して破壊の限りを尽くす、作者が揚げ足鳥をどんなふうに思ってたかよくわかるシーンではあるけど、でもさ小学生のガキじゃあるまいしお宅そんなことして面白い?(ガキならやってもいいのかって?まーね、自分がガキだった頃のことを思えば・・・ただガキには成人ほどの破壊力がないから許されるという一面があるのを忘れんように)

つまりは「美貌の人妻が自分を救うために魂を売って大暴れ」という甲斐性なし男のはかない夢なんじゃあるまいか、この主人公(名前を失った巨匠)、登場人物の中で一番魅力ないよ、姉ちゃん、こいつのどこがよくてホレたわけ?

あ、そうだ、どっかのアホが「キリスト教徒でない人間にはイエスの処刑などどうでもいいのだ」なんてレビを書いてるけどそらないんじゃないかな?後にキリスト教文明を生み出すことになった元の事件がホントはどういうものだったのか(完全な神話ということはないと思う)、これは信者であるなしを問わず、その文明にどっぷり浸かって生きてる現代人なら気にならんハズはないと思う、いや信者であれば福音書を信じるしかないから学問的に研究するという態度にはならんのじゃないか?

で、ブルガーコフ(=作中の名無し作家)描く原イエス(作中のジョシュア)像に納得するヒトいる?私は全っ然、後に一応ながら神の子つまりギリシア的英雄ということにされ信仰の対象になった人間をここまで矮小化するかっての、たぶんこれが「宗教なんていらない」と主張する当時(1930年代)のソ連だったんだろね、そう思えばちょっとだけ納得、信者でない(彼らは信者じゃないつもりだったハズ)からどうでもいいということにはならんのだよ、どっかのアホよ

タハハ、またまた揚げ足鳥全開になっちゃった、魔女に家を破壊されるかもね、だが言い訳すれば私は揚げ足鳥を商売にしてるわけじゃない、金を払った商品をロハでモニターしてるつもりなんだからね

追記-考えてみなくても「ファウスト」は鴎外訳がロハで読めるんだからと読み始めて即わかった、ドイツ人はアイディアぶっ飛んでるかもしれないけど退屈、ロシア人はやること小さいかもしれないけど面白い、小説作者としては文句なしロシア人の勝ち、んなこたハナからわかっとーーーる、ブルガーコフさん、私はお宅をケナしてないよ