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【心 de 経営】 徒然なるままに日暮パソコンに向かいて 38段1 名利に使われて 名誉や利欲を求めることは? 

2024-06-20 12:03:00 | 【心 de 経営】 徒然なるままに

■【心 de 経営】 徒然なるままに日暮パソコンに向かいて 38段1 名利に使われて 名誉や利欲を求めることは?   

 

 「徒然草(つれづれぐさ)」は、吉田兼好による随筆集の冒頭の文章です。作者は、兼好であるという明確な証拠はないようです。おそらく大半の方が、何らかの形で、この文章に接しているのではないでしょうか。

 徒然草といいますのは、清少納言の『枕草子』、鴨長明の『方丈記』とならび日本三大随筆の一つといわれています。

  高校生時代に戻った気分で、また、社会人として人生を歩み、自分の高校時代には理解できなかったり、誤解していたりすることを発見しながら、独断と偏見に満ちた、我流の解釈を僭越ながらお付けしました。

 徒然なるままに、日暮パソコンに向かいて、よしなしごとを、そこはかとなく書き付けてまいります。

 お届けも、徒然なるままにアップロードしますので、読者の皆様も、日暮パソコンに向かいて、末永く、徒然にご覧下さるよう、お願いします。

 ◆第38段1 名利に使われて 名誉や利欲を求めることは?
 第38段は、徒然草の中でも第109段の「高名の木登り」と同様、私が講演などでしばしば援用するところです。
 名誉や利欲を追う人生というのは愚かなことで、その中でも、最も好ましくないのが利に迷う事であり、高位高官という出世を望むことがその次に良くないことであると兼好は言っています。
 兼好の人生観が最も滲み出ている段で、老子や荘子の影響を受けているとも言えます。
 俗世を離れている、出家者なれば事その発想ですが、それをわれわれ凡人の立場に置き換えると、そこに学ぶべき事が浮かんでくるような気がします。

【原文】 名利に使われて
 名利に使はれて、静かなるいとまなく、一生を苦しむるこそ恐かなれ。
 財多ければ身を守るにまどし。害を買ひ、累を招くなかだちなり。身の後には金をして北斗をささふとも、人のためにぞ煩はるべき。
 愚かなる人の目を喜ばしむる楽しみ、またあぢきなし。大きなる車、肥えたる馬、金玉の飾りも、心あらん人は、うたて愚かなりとぞ見るべき。金は山に捨て、玉は淵に投ぐべし。利に惑ふは、すぐれて愚かなる人なり。

【用語】
 名利: 名誉と利益
 累(わづらひ): 面倒なこと。「害」=危害と対になった表現
 身の後: 死後
 心あらん人: 思慮分別を持つような人
 うたて: 嘆かわしいという意味の副詞

【要旨】 名利に使われて
 名誉と利益に縛られてしまいますと、それだけで汲々としてしまいます。その結果、穏やかな気持ちになるゆとりも出ないでしょう。その様な状態が一生続くということは、一生が厳しく、辛いものとなってしまいます。その様な人生を送るというのは、「実に愚かなこと」と兼好は言っています。

 財産が多く、ゆとりがあるときというのは、そこにだけ視点が集中してしまい、人間らしさを求めることには無関心となってしまいがちです。それは、人間らしい一生を過ごすという観点では、自分の身を守るというよりは、苦しめるといっても過言ではありません。
 多くの財産は、あるべき人生に害を与え、めんどうなことを引き起こす原因となります。死後に、たくさんの黄金を用いて、北斗七星を支えることができたとしても、子孫たちはそれを守ってゆくことが義務となり、それが煩いの元にもなり、厄介がられてしまうでしょう。
 真の生き方を知らない、愚かな人の目を喜ばせることを楽しむことができても、それもまた、つまらないものといえます。
 大きな牛車や、肥えた馬、金銀珠玉の装飾品も、本人は、それを自慢するかも知れません。しかし、心ある、理性ある人からみますと、かえって、それは、見苦しくもあり、愚かなことでもあると見るでしょう。
 ですから、黄金は、たくさん蓄えるのではなく、逆に山に捨てたり、珠玉は、淵に投げ入れたりするのがよいのです。利欲に迷うことは、この上なく愚かな人のすることなのです。

【 コメント 】 名利に使われて
 利欲を振り払って、思い切って、黄金も珠玉も捨て去ることで、新たの世界が広がると兼好は言います。
 出家をするということは、そのくらい思い切ったことをしなければできないほどの困難なことなのでしょう。
 ところが、現世では、生臭坊主と呼ばれるような出家者にあうことがあります。本当に出家のための修行を済ませたのでしょうか、疑りたくなることもあり、さみしいことですね。 
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