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■■【経営トップ15訓】  第15訓 附章 「自分にとらわれると周りが見えない」

2014-08-16 11:07:04 | 知り得情報

■■【経営トップ15訓】  第15訓 附章 「自分にとらわれると周りが見えない」

 グローバルな視点の経営者・管理職 

経営トップ15訓 ”当たり前”が実行できる




 経営コンサルタント歴25年を経過した時点で、(特)日本経営士協会の理事長を拝命することになりました。その際に、自分自身を戒める意味で「理事長十戒」を作り、それを日々座右におきながら仕事をしてきました。

 私の経営に対する考え方の基本は「当たり前のことが当たり前にできる」「暖かい管理ができる」、その様な企業作りのお手伝いをしています。

 理事長歴も長くなり、そろそろ後任の選定やその人への傾斜引き継ぎを考える時期といえましょう。この十戒に加筆をして、企業や組織のトップ・管理職の方々に向けて焼き直したものを「トップ15訓」としてまとめてみました。経営トップの皆さんだけではなく、私自身にも必要なことなので「社員」という言葉と共に「会員」という言葉も使っています。

 まだまだ内容的には不充分ですが、今後もこれをベースに推敲・改訂を重ねて参りますが、その第一版として茲にご披露させていただきます。トップの方々や管理職で日夜ご奮闘されている方に、少しでもご参考になれば幸いです。


第 15 訓 附章

自分にとらわれると周りが見えない

■ 唯摩経から学ぶ

 三蔵法師の簡約で有名な大乗仏教の経典の一つであります、唯摩経(ゆいまきょう)には、「自分にとらわれると苦悩が生まれる」という言葉があります。

 事象を見たときに、「自分の都合」を起点としてそれを見ますと、自分との違いを見出し、それが苦悩に繋がるということでしょうか。自分自身の考え方に固執するために、相手がいいたいことを充分に咀嚼し、それを理解に繋げようという思考回路が閉ざされてしまうのでしょう。

 唯摩経には「自分にとらわれると、周りが見えない」という関連事項の記述もあります。本シリーズの中で「新幹線理論」について記述してありますが、それにも通ずる面があります。自分自身の殻に閉じこもってしまいますので、周囲の状況を客観的に見ることができないのです。あたかもサングラス(色眼鏡)をかけて周囲を見るがごとくとなり、サングラスの色に染まって見えてしまうのです。

 すなわち、自分だけの知識や経験、思考等がサングラスの色に相当し、その色でしか見られません。そのために自分の考え方やあり方が正しくて、間違えているのは周囲の方であって、なぜ自分の言うことがわかってもらえないのだろうかと益々内向きな思考に陥ってしまうのです。

■ 見る、視る、観る、看る 「観すると心が乱れない」

 唯摩経では、「観すると心が乱れない」、すなわち「観る」という言葉を「第三者の様な目で自分を見つめる」ことであるといっています。自分を客観視することにより、自分にとらわれることのない精神を養うことができると言っています。

 経営コンサルタントの世界では、「観察する」ことから、企業内では気がついていない潜在的な問題・課題を発見することができることが多々あります。このことは、唯摩経でいる「観る」に通じることで、唯摩経では客観的に自分を観るというように記述されていますが、われわれ経営コンサルタントでは、「客観的に事象を捉える」という意味で「観る」という言葉を使います。英語で言いますと「watch」という言葉に相当するのでしょう。

 私たちは、いろいろな物を平素から観ていますが、あまり意識を配しないで目に入ることが大半ではないでしょうか。すなわちこれには「見る」という文字を当てると良いと思います。英語で言いますと「see」となるのでしょうか。

 「視る」という文字もあります。「見る」よりは意識をし、「観る」ほど客観的ではないですが、それに近い見方をする言葉として私は捉えています。英語で言えば「look up」という言葉に近い様に思えます。

 それに対して、われわれ経営コンサルタントは「顧問先の経営をみる」という表現を使うことがあります。この場合には「診る」という字を充て、医師の「診察する」に近い見方をします。

 「患者をみる」という言葉も「みる」ですが、この場合には「看る」という言葉が適しているでしょう。

 同じミルでも、立場や状況により、用いる漢字が異なります。日本語の奥深さでしょうか。それを母国語としている私たちは、言葉の持つニュアンスということを大切にしたいですね。それが失われると日本語の奥深さと共に、日本人が先祖代々受け継いできましたきめ細かな感情も失ってしまう様に思えます。

 

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