版画草子 All That Print Work

自作版画作品と日常の写真を日記形式で紹介してゆきます。
(画像の無断使用は固くお断りします。)

新作紹介 その1

2013-11-24 11:22:32 | 作品 Works



旬の札幌秋景色を優先し 前回は胃が破けたお話をして
自作紹介がすっかり遅くなりました。

私の場合 作品を完成させてしまうと 急にその作品への興味が薄れてしまう事もあって
自作を語るのもつい億劫になってしまいます。
常に関心があるのは 出来上がった絵ではなく 次に作る作品群の事ばかりなものですから。

とは言いながら 今回は久し振りに版画草子らしいお話をいたします。



まず最新作「羽衣伝説 天女2013」です。


2013年制作 SIZE 540×443mm ED 70部 26色31刷 赤貝箔・虹彩箔使用


「羽衣伝説」はご存知の方も多いと思いますが 
1200年前の 滋賀県長浜市の余呉湖を舞台した伝説が最も古いようです。
その話が日本各地に伝播して 最近話題の三保の松原にも似た様な物語が伝えられています。

ざぁっと解説しますと
「白鳥の化身の天女が 羽衣を脱いで水辺で水浴する様子を男が見ていて
あまりの美しさに羽衣を隠し 天に帰れず困っている天女を妻にしてしまう。
子までもうけた天女は しかしその後漸く羽衣を見つけて天に帰ってゆく」

(諸説・変形話が各地域に存在するようです)

言ってみれば 覗き見 下着ドロ 拉致・略奪結婚 というとんでもないお話なんですね。
現代ならば当然犯罪として扱われますが
昔話のおおらかさというか いい加減さというか 
夢と憧れを身勝手に詰め込んだところが 私は気に入りました。




版画の持つ大きな特質・魅力として「軽み」と云うのがあります。
荘厳なOPERAではなく 砕けた可笑しみや艶もあるOPERETTAの世界
あるいは 俳句に対する川柳表現 の様なものでしょうか。 

今回の作品はこの軽みに重点を置いて制作してみました。




羽衣を取られた天女は「ちっ」と舌打ちしながら 
有頂天になっている男に 指鉄砲を向けていますが
その天女もあの羽衣では 天に帰れそうにない程 太ってしまっています。


思わずニヤッと笑って この絵を楽しんでいただければ 私の思惑は大成功です。 


つづく





最新の画像もっと見る

コメントを投稿