版画草子 All That Print Work

自作版画作品と日常の写真を日記形式で紹介してゆきます。
(画像の無断使用は固くお断りします。)

ドキュメント10.21 その3「総額160万円」

2013-02-09 10:31:11 | その他 Other


10月21日(日)午後2時半過ぎ

そうこうしている内に我々は上尾駅に着きました。
駅東口すぐそばには ビジネスホテル風の小さな東武ホテルがあって
そこのロビーで作品を見てもらう事になりました。



上尾東武ホテル入り口


さすがに上尾まで来ると人出は少なく 
ホテル内の狭いロビーも閑散として 作品を広げるにはうってつけです。



ホテルのロビー


やっと落ち着いた所で 本間氏と名刺の交換


いただいた名刺




「おやっ」と思う程 古風な名刺です。
私の友人にも何人か外資系企業に勤めている人がいるのですが
彼らから貰う名刺は概してカラフルで小さく スマート もちろん裏には英文入りがほとんどです。
本間氏の名刺は 多分一時的な国内向けとしても 
外資系会社のCEOの名刺としては ちょっと似つかわしくないなと一瞬思いました。
社名もどこかで聞いた事のあるような ないような......
でも そんな事より 
私はまず作品を見てもらうことで頭がいっぱいでしたので 早速作品を広げ始めました。

真っ先に広げて見せたのは自信作でもある「お伽草子シリーズ」
作品を見るなり本間氏は
「おぉーー 素晴らしい!
 色が実にいい! 鮮やかですねぇ!
 これなら 彼らも喜ぶなぁー」

本間氏は次々作品をめくってゆきます。
「これらは おいくらですか?」


「このシリーズ ギャラリー関係には5万で出しています」

本間氏
「えっ そんなに安いんですか
 もっと何十万もするものと思っていました」


「エディションが70部ありますから すべて売れるとそれなりの金額になります」

本間氏
「あぁ 成る程ね」

私は順次「花シリーズ」やら「花火シリーズ」を広げ 本間氏はその度に感心して見ています。
その内お伽草子シリーズを指して
本間氏
「やはり 大きい方がいいなぁ
 このシリーズ 取り混ぜて20点 揃いますか?」


「えっ! 20点..... ええ 何とか揃えます!
 あの..... シートだけですか それとも額裝して?」

本間氏
「そうですね.... 額に入れた方がいいですね 後の手間が省けるので」


「額裝しますと 1点8万位になりますが.....」

本間氏
「えぇ 結構です。 12月の中頃までに揃えて欲しいんですが」


総額160万! 私の頭の中はその金額で 瞬く間にいっぱいになってしまいました。


本間氏
「今週の水曜には全額振り込みますので 口座番号教えてもらえますか」


「そんなに早く! 判りました! 今 家に電話して番号確かめますから」

携帯を取り出す間にも 情けない程160万の数字が頭の中で踊っていました。
それも3・4日後に入るのです!


「もしもし あっ おれ   そう うん そう.....
 それでね 工房ミズヤの普通口座の番号 急いで教えて欲しいんだ うん
 ×××××××××だね 判った
 いや まっ それは帰ってから....... うん じゃ 」

口座番号を聞く事からして 
本間氏との会談は上々の首尾らしいと察した 相方の声は大きく弾んでいました。





私は電話をしながら 向かい側で熱心に作品を見続けている本間氏の手に何気なく目がいきました。
長く金融関係の仕事をしている割には ひどく浅黒い色で 咄嗟にゴルフ焼けか とも思ったのですが
黒いだけでなく 指もかなり節くれ立って 一部皮膚疾患の跡のような荒れもあり
高級事務職とは思えないのが印象的でした。
しかし そんな些末な事など 160万という数字に 直ぐさま掻き消されてしまいましたが.....

本間氏
「先生 どうでしょう 部下達にも先生の作品を見せた方が 金を出しやすいですし 
 いろいろ納得もするので 小さい版画を1点 預からせてもらうというのは」

私はもっともな事だし この際小品1点くらい提供してもかまわないと思いながら
「えぇ もちろん! 結構ですよ どれがいいでしょうか」

本間氏
「この和紙に刷った花火の絵がいいですね  丁度この封筒に入る大きさですので」


「どうぞ どうぞ 
 それと これが口座の番号です」

本間氏
「判りました 消費税を入れると..... 168万ですね
 水曜に振り込むので 木曜には入金されると思います。
 作品はどうしても12月中旬には欲しいので会社へ送って下さい。
 その他の細かい事は また後で打ち合わせしましょう」

私は12月中旬まで2ヶ月近くあるので 作品も額も充分間にあうと算段しながら
「ありがとうございます!
 こんなに沢山買っていただいて......
 いやぁー 本間さんとは本当にいい出会いができまして 感謝いたします」

本間氏
「いやいや お安いもんです。
 こちらこそ 先生とお会いできて良かったです
 これで懸案だったことが今日中に終って ホッとしましたよ」



これが持ち帰った作品「祝祭(2)」

2006年制作 300×210mm ED 70 (未発表作品 価格は¥20,000の予定でした)


つづく 







最新の画像もっと見る

コメントを投稿