版画草子 All That Print Work

自作版画作品と日常の写真を日記形式で紹介してゆきます。
(画像の無断使用は固くお断りします。)

版画家 渋谷栄一さんを偲んで

2011-08-22 10:30:20 | その他 Other

2~3日前から急に涼しくなりました。
温度差10℃以上はちょっと身体にこたえますな。
でも38℃よりは よっぽどいいですが。

今回は 先日8月12日にお亡くなりになりました
版画家渋谷栄一さんを偲んで少しお話いたします。

渋谷さんは 春陽会・日本版画協会・全道展の各会員を長い間されておりまして
特に北海道では戦後まだ銅版画が珍しく 道具もそんなに無い時代に
先駆的な作家として多くの人に影響を与えた方であります。

華麗でリズム感のある 踊る様な曲線が特徴の数多くの色彩銅版画を発表されました。

まず その作品から


1998年第75回春陽会展に出された作品(その画集より拝借)

北海道の方なら見覚えのある作風ではないでしょうか。

渋谷さんとは 私が全道展の会員になる前後にお会いして
いろいろ版画家としてのアドバイスを沢山いただきました。

「水落君 エディションは多くつけておいた方がいいよ 将来必ず売れるから」
(何と魅力的で魔術的な励ましの言葉だったことか)

「銅版のアクアチィントは潰れやすいからメッキして保存した方がいいよ」
「メッキした方がカラーインクが濁らなくていいから」
(当時私もアクアチィント技法主体の銅版を制作していました)

またかつて 相方がお会いしたときも
「もう少しの辛抱だからね」 と言って下さったとか.....
(今だに辛抱していますが.....)

(もう少しってどのくらいなのかなーとその時思いました。
そして、もう少しのままうん十年経ちました。
”芸術は 永し”と言う言葉をかみしめています・・・・相方)

創作者としては作る楽しさ 鑑賞者としては観る愉しさの重要性も教えていただいたように想います。


以来30年以上 毎年年賀状をいただいてきました。



左が1983年 右が今年いただいた年賀状
(この2~3年前位の年賀状以外 すべて 若き日巴里で学んだ頃の情景と思われるスケッチが描かれていました)


この数年 体調がすぐれないようだと伝え聞いておりまして 
どの会にも出品されていなかったので 気になっていましが.....


享年82歳 心からご冥福をお祈りいたします。