物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

1000週は何年か

2012-10-22 12:30:38 | 数学

先日のドイツ語のクラスで1000週はおよそ何年かと聞かれた。私にこのことを尋ねたR氏はすぐに自分で約20年だろうと答えた。

私にはそのことには答えられなかったが、しばらく考えて1年は約50週だから、1000を50で割れば、約20年で正しいですねと答えた。それにしても数分の時間ががかかった。

そういった種類の話の一つであるが、1年は何秒かという話がある。

およそ10^{7}秒であるが、その前につく数字をおよそ円周率のパイと覚えておくという話を宇宙線の研究者だった、Hさんから聞いたことがあった。1年はおよそ3.14*10^{7}secだというのである。

これはおよそなので、正しくは1年は3.155*10^{7}sであると素粒子データ表に出ていた。いまこの数値が素粒子データ表に出ているかどうかは知らないが、覚えておくといいかもしれない。

こういうことは単に棒暗記の問題かもしれないが、優れた科学者はこういう数値もよく覚えている。残念ながら、私はこういう数値にはとても暗い。

(2012.10.25 付記)

1時間は3600秒である。一日は24時間である。したがって、1日は8.64*10^{4}秒である。1年は366日のこともあるが、普通は365日である。したがって、1年は3.15*10^[7}秒となる。

この尺度を変えてみるということを、ときどきは考えて見たいと思っている。


サイエンスナビゲーター

2012-10-22 10:57:39 | 学問

変った職業もあるものだ。サイエンスナビゲーターという。それで食べていけるというのはすごい。

20日の土曜日の朝日新聞にフロントランナーという記事で、桜井進さんという方がサイエンスナビゲーターとして紹介されていた。

いろいろな科学的な講演をされたり、また著書を数十冊書かれており、いまや引っ張りだこで大忙しなのだそうである。結構なことである。その彼の言い分では日本は数学大国なのだそうである。

アルバイトとして予備校で「東大・東工大の数学」という題で講義をしていた頃、「こんな数式はすぐに使わなくなるのにな」と考えていたという。それで、「受験にでない科学教室」という講義を有志の人たちと始めたという。

学校時代に試験のための数学に苦しめられるが、学校時代は人生のまったく一時期で永久に続く訳ではなく、学校時代以後の人生の方が長いので、試験から離れた数学とか物理とかが大事なのだと私も思っている。

桜井さんは物理や数学を学ぶ理由はその感動にあるという。その通りであろう。

ところで、彼の紹介の記事の最初の方にクイズみたいな問題が出ていた。それは数の3から12まで10の連続した数を足したら、いくつになるか、とか8から17までのやはり連続した数を足すときに速算法である。

前の方の問題をとりあげると、3から数えて5番目の数に5を加えて、75とすればよいという。不思議に思えたので、等差数列の公式を導く考えで答えを求めてみると、確かにあっている。しかし、そのときはどうしてだかわからなかった。

昨日の日曜日に大江健三郎氏の講演「今、希望を語る」を聞きに行き、帰って夜の10時過ぎにこの便法がどうして成り立つのかもう一度考えてみたら、ようやくわかった。

数列の初項をaとすれば10項の和は5(2a+9)=10a+45であるが、これを10(a+4)+5として答えを求めたということがわかった。a=3を代入すれば、答えが正しいことがわかる。

もっとも私の考えでは、この連続した10個の数の和を求める便法は小学生を驚かせるためにはいいが、そのことのみが頭に残って後の等差数列の和をどうやって導くかが頭に残らないとすれば、どれくらい効果があるのだろうと思う。

実は私もこういった手法を大学の物理の授業で使って来たので、私には桜井さんのやり方を非難したりする、資格はまったくない。

しかし、彼がとてもポピュラーに世間でもてはやされていることは日本社会の希望を示していると思う。

ちなみに、等差数列の公式を私も覚えている訳ではなく、その公式を導く方法を覚えているだけである。それで十分だと思う。

もちろん記憶力が抜群の人がその公式を死ぬまで覚えていることを非難するつもりはない。ただ、私はもう覚えていないということである。