物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

私のフランス語修業17

2012-05-10 11:31:07 | 外国語

「私のフランス語修業17」のサブタイトルを

ー不規則動詞と水道方式ー

とする。はじめはこのブログのサブタイトルをタイトルとしたが、「シリーズ」の中に入れた方が人の眼につく、可能性が高いから、タイトルを変えた。

「不規則変化動詞と水道方式とどんな関係があるの?」と聞かれそうだ。ここで不規則変化動詞というのはヨーロッパ語の動詞のつもりである。

水道方式のことを知っていない人もいると思うが、算数の計算の仕方を小学校で教える方式である。

この水道方式は特殊な0とか1を一般の数2~9と区別する。そして、20とか30とか、また400とかは大人の感覚とは違って却って、326というような一般の数と違って難しいのだという。

それで、特殊な数の型の足し算や掛け算は一般の数の足し算や掛け算を教えた後で教えるという方法を水道方式ではとる。標語的に言うと、「一般から特殊へ」というのが水道方式のモットーである。

もちろん、いつでもこの一般から特殊への原則が守られているわけではないだろうが、だが、一般的には「一般から特殊への原則」が支配しているのである。

これは普通の大人の感覚とは違っているが、教育的にはこのことの有効性は実証されている。

それで、私の疑問はつぎのようなことである。たとえば、フランス語では4つの不規則変化動詞avoir,etre, faire, allerがあるが、それらはとても頻繁に使われる動詞であり、これらはそれぞれ英語の「もつ(have)」、「ある(be)」、「する(do)」、「行く(go)」という意味である。

これらの動詞は不規則な変化をする。たとえば、allerをとれば、je vais, tu vas, il va, nous allons, vous allez, ils vontと変化する。

ここで私に理解できないのはje vais, tu vas, il va,ils vontと単数の場合と複数の3人称でvで始まる語で動詞が変化しているのに、突然nous allons, vous allezとaで始まる語形で動詞で変化するのか。

もともとの原形というか不定詞はaller(アレー)であるから、多分nous allons, vous allezの方が不定詞に近く、jeとかtuとかil, ilsとかの方がvで始まる方がむしろ不規則変化たる所以なのであろう。

その理由を知るには言語学の歴史の知識が必要なので、普通に外国語を学ぶ立場からは知る必要はないが、そういうことに疑問を感じ始めるときりがない。

それはともかく、いつもこの不規則動詞は日常生活でよく使うからという理由でこれらの外国語の学習には最初に教えられる。

これは水道方式の考え方のようにこれらの不規則変化動詞を一般の規則動詞から教えて、不規則動詞へと進んで行く方式は考えられないのだろうか。

教え方の一つとして考えるだけではなく、その方が教え方として従来の方法よりも有効ということはないのだろうか。それが私のもっている疑問である。

私などはフランス語にしてもドイツ語にしても初歩ばかり何十年も学んでいるので、こういった疑問もあまりもたないし、不規則動詞が難しいという感覚はもうない。

だが、上のように考えてみるとか、そういう教育法を考える人がフランス語とかドイツ語の専門家にいなかったのだろうか。

もし、いたとすれば、そのような水道方式風の教え方はあまりよくないということを実証されているのだろうか。

できるだけ、不規則変化動詞の数を減らそうという考えは、昨年の後期にラジオとかテレビでフランス語講座を担当しておられた清岡智比古先生(明治大学)の教え方に現れている。

彼はフランス語の動詞を規則動詞、共通変化語尾動詞、不規則変化動詞の3つに分類しており、不規則変化動詞はたった4つだという。彼の考え方にはできるだけ不規則変化動詞を少なくしたいという意思があると思われる。

ちなみにいうと、いま問題にしたのは直説法の現在形の動詞の人称変化であり、フランス語の動詞には時制とか法がたくさんある。法としては直説法の他に条件法や接続法もある。この動詞のいろいろな法と時制がフランス語の難所とされている。