美濃屋商店〈瓶詰の古本日誌〉

呑んだくれの下郎ながら本を読めるというだけでも、古本に感謝せざるを得ない。

翻案は剽竊に非ず(正岡子規、藤村作)

2022年02月17日 | 瓶詰の古本

 『道端の筍無事に竹になり』『法さまざま蓮の糸も白きより』の二句紙上に見えたり。然れども前者は芭蕉の木槿の句の翻案の如く、後者は蕪村の七夕の句の焼き直しに似たり。此の如きも猶文学上の佳句と称すべきにや。
 答 翻案は剽竊に非ず。翻案固より可なり。況んや翻案の句、原句に勝りたらんには翻案なるがために毫も価値を落すこと無し。木槿の悪句の如き有りとも無きが如し。蓮糸の句は蕪村の『恋さまざま願ひの糸も白きより』の調を其まゝ取りたる処に於て何の手柄も無し。只之を蓮糸の曼陀羅に転用したるがために一点の新趣味を生ぜしのみ。此一点の新趣味あるがために之を捨てず。

(『俳句問答』 正岡子規)

ひョーせつ××ヘウ〕他人の説又は文句などをはぎとり盗むこと。「――文」
ほんあん×翻案〕もとの仕組をしかへること。文章などをつくりかへること。飜案。

(「掌中國語新辭典」 藤村作監修)

 

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