か ら け ん


ずっと走り続けてきました。一休みしてまわりを見ます。
そしてまた走ります。

Acquedotti di Roma

2011年12月29日 | 西洋歴史
ローマの水道橋だ。ギリシャと違い愚にもつかぬものを大理石から掘り出して喜んでいた時代とはことなる。実用的だという言葉で片付けるにはあまりにもそう大過ぎた。

アウグストゥスの時代になると大規模なものがつくられ現在にも残っている。その精密さを想像できますか。イタリア人気質を漫然と見て歌ばかり歌うスケベの集団という印象が定着しているが、じゃあデトマソをみろ、ランボルギーニを見ろ。フェラーリしかり。トリノ、ミラノの工房をのぞいて職人気質と実力の高さに学べ。

とくに水道橋が作られたのは五賢帝の時代だ。五賢帝の一人ネルバは後継者問題に悩みつつも土木工事には精力的に取り組んだ。トラヤヌスはローマ帝国の版図を最大に広げ周辺属国どもの心肝さむからしめた。ハドリアヌスはハドリアヌスの壁で有名である。イギリスの北部まで進出し万里の長城まがいを築いた。

彼らはいずれも水道建設に熱心であった。彼らは危機感をもってこの工事にあたっていた。水が止まればローマは滅びる。彼らの予測は当たった。パックスロマーナは水道によって維持されていた。

建設された水道はイタリアだけで350キロメートルに及んだ。フランスではPont du Gard、50キロメートル。

すべて水の流れ落ちる勢いだけで動いている。1kmあたり34cm。これはなんという精密さだろう。CDにきざむレーザービームの精密さに匹敵する。しかもフランスはその水道橋を19世紀後半まで使った。イタリアにいたっては現在でも使っている。

現代のイタリア人にもその精密さは十分にある。子供のしつけもしないで夜中にファミレスに行く日本人の方が倫理的にはるかに劣る。ちょっと頭を使う問題にぶつかったとき、さっと変わるイタリア人の表情を見たことがあるか。

能天気に紅白や野球の心配ばかりしているあなた方とは違う。

こそこそ改良したエンジンを作ることはしなくても発想を根本から変えた革命を時々起こすからその基礎的素養に感心する。

自動車雑誌を見ていると買うような人のレベルに合わせているのは資本主義だから仕方がない。それにしても本質からそれた話に気分が悪くなる。こんなのは本屋でパラパラすればよい。僕は掃きだめに鶴がいた気がした。

MAZDAでかしたじゃないか。一時景気が悪かったとき、一台買っても二台買っても三台買っても100万と言って売っていたととーちゃんから聞いた。

ロータリーはカビの生えた技術だ。大体いつの発想だと思っている。あとはこそこそ改良していくだけじゃないか。

エンジンの正道をいくレシプロで革命をやるからすごい。 マツダは燃費を従来比で15%も高めることに成功した。同社は「(圧縮比が高く、原理的にガソリンエンジンよりも高効率な)現行のディーゼルエンジン並み」との表現にとどめるが、SKYACTIV-Gの最大熱効率は38~39%程度とみられ、現行の高効率と言われるガソリンエンジンから一気に5~6ポイントも高めたようだ。

圧縮比は14に高められている。ノッキングとの戦いはいかほどであったか。シリンダーヘッドの形状はコンピューターシュミレーションなんかでできるはずない。発想と絶望と再起のカット&トライだったであろう。最大トルクを4000で出しているのにも真面目さを感じる。馬力とトルクを混同しているバカを対象に売る以上高回転高出力のエンジンを作らないわけにはいかなかっただろう。が、よくぞ4000に抑えた。出足のいい運転しやすいねばりのあるエンジンができたはずだ。ロングストロークもよくやった。技術者念願のエンジンができた。日本人はいいクルマに乗ったことがある人が少ない。もう気違いじみたオーバースクエアのエンジンはやめよう。

                                日経ものづくり12月号から一部の数字は引用しました

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