長い名前のメニューが増えた。店側は、小手先で変化をつけて、さもたくさんのメニューをそろえているように錯覚させている。
カネを取るならうまいコーヒーを入れろ。それだけでよい。婦女子が合成甘味料や増量剤という酢酸ビニルをほしがる。
ま、無理もない。「苦み」というのは知能がないと非常に嫌悪される。人類の味覚の中で最後に発達するこの感覚は習得しないまま死ぬ人も多い。
この苦みというやつがあるから人生は面白くなるのだ。人生の苦み。一見不要で不可欠。甘いビールを想像できるか。
costをかけてもかけなくてもどうせ同じ味を出せるなら、経営者は安上がりにする。
いちばん手抜きができないのは、ミルクも砂糖もないただの「珈琲」。
バカ高いのに大きな道路沿いで埃を浴びながら不潔なコーヒーを飲むのがはやりのようだ。
僕は週2回必ず午前中の「コメダ」に行く。人がいないし高い壁で隣と遮断されている。午後はいけない。貧乏な大声が子供を連れて大挙してくる。世の中、これ以上の不運な組み合わせがあるだろうか。