歴史と中国

成都市の西南交通大学で教鞭をとっていましたが、帰国。四川省(成都市)を中心に中国紹介記事及び日本歴史関係記事を載せます。

周口店北京猿人遺址(遺跡)―中国雑感〔10〕―

2011年10月09日 13時32分40秒 | 観光(中国)

『歴史と中国』http://kanazawa45.wordpress.com/が当地からアクセス不能状態なので、新記事をこちらに載せます。

 

国慶節の北京行で、2011年10月3日午前、周口店北京猿人遺址(北京市房山区周口店大街1号)を見学しました。周口店遺址は、市内から西南約50kmの周口店龍骨山に位置します。本遺跡は、1921年、発見され、1929年12月、中国の考古学者裴文中が古人類の完全な頭蓋骨化石を発掘しました。その前後の発掘と合わせて、全40体に及ぶ古人類化石と動物化石・石器などが発掘されました。この古人類は約60~20万年前のものと分かり、現在、北京猿人(Homoerectuspekinensis)と命名されました。1987年、世界文化遺産に登録されました。但し、残念なことに、1941年12月、太平洋戦争勃発により、避難の途上で北京猿人化石は行方不明となり、現在でもその所在は謎です。遺跡には「周口店遺址博物館」が併設され、発掘遺物やジオラマが展示され、往時の北京猿人の様が分かるようになっています。入場料は30元、開館時間は8時30分~16時30分(年中無休)です。北京市内からの交通は、天橋長途汽車站始発の917路で周口店路站下車、房38路に乗り継ぎ3つ目の猿人遺址站下車、約200mです。この他、北京西站南広場站発の616路、前門西站発の646路で、良郷西門站で房38路乗り継ぎなどもあります。

写真1は、博物館前にある北京猿人像です。本館は、7つの展示室からなります。序室が周口店遺址全景と紹介文、第1展示室が遺址地形模型など、第2展示室が歴史回顧(発掘過程など)、第3展示室が北京猿人化石(基本はレプリカ)・石器展示、第4展示室が動物化石、第5展示室が山頂洞などの発掘化石(山頂人)、第6展示室が田園洞発掘成果、となっています。


写真2は、第3展示室の北京猿人頭蓋骨化石(レプリカ)です。共に第1地点発掘で、左がⅦ号頭蓋骨(8-9層)、右がⅡ号頭蓋骨(10層)です。この他、左右に何点かの頭蓋骨化石(レプリカ)が展示されています。


写真3は、北京猿人の復元頭蓋骨です。


写真4は、切断用石器です。打製石器、すなわち道具を製作・使用していたことが理解できます。


写真5は、灰かす層です。これにより、北京猿人が火の使用をしていたことが理解できます。以上は、第1地点発掘のものです。


写真6は、第5展示室の山頂洞人の復元頭蓋骨と頭蓋骨化石です。山頂洞(第26地点)から発掘された山頂洞人は、約2万年前の古人類で、新人(ホモサピエンス)に属します。


写真7は、その山頂洞人の発掘された山頂洞です。博物館手前で、左に上り道を取ると道なりに行けます。3個の完全な頭蓋骨化石の他に、これを含め8人分の化石や動物化石・石器が発掘されました。洞口は高さ約4m・幅約5mです。洞は東南から西北に緩やかに傾斜しており、南北約8m・東西約14mです。


最後の写真8は、猿人洞(第1地点)です。遺址入口から博物館への上り道のほぼ中間(トイレの手前)、左手に入る道から行きます(案内板は右側に小さくあります)。写真をご覧のように、エレベーターが設置されて、研究者など許可された人が洞を見ることが出来ます。天然の石灰岩溶洞で、東西140m、南北の最広40m・最狭2mです。全体で13層の堆積層があります。なお、第13層から下の試掘では化石・遺物は発見できていません。


フォトアルバム「北京・周口店と盧溝橋」は、https://1drv.ms/f/s!AruGzfkJTqxngpkS-BAyH-mOAD-vKAです。なお、周口店遺址博物館のURLはhttp://www.zkd.cn/です。

(2011.10.09)

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