ボリー(原題) / Bully(いじめ)

2012-05-05 | 映画






ここアリゾナでは、あまりドクメンタリー作品は上映されないし、僕自身もあまり観ないが、この「Bully」という作品は、前宣伝もなく静かに上映された。

テーマは「いじめ」

アメリカでは、年間1300万人の子供がいじめの被害にあっている。
いくつもの「いじめ」の被害にあった家族、またいじめられてる本人が登場する。
いじめる側も登場するが、それはほんの少しだけ。
いじめられて自殺した子供の両親達、今現在いじめにあっているフィッシュフェイスというあだ名を付けられた子とその両親、ゲイを理由に学校をドロップアウトした子、いじめっ子たちを怖がらせるためにスクールバスの中に銃を持ち込んだ子とその母親。



子供を首吊り自殺で亡くした父親


生前のビデオから


フィッシュフェイスとあだ名され、多くの少年からいじめを受ける少年


彼の高校生の子供も自ら命を絶った


アメリカのいじめの実態がたんたんと語られる。
そして、学校側のいじめに対する無策を問いかける。
被害者の親から見たら、学校は本当に何にもしてないようだ。

アメリカの学校では、勉強、スポーツに長けている子が目立つ学校のシステムになっている。
中学校から自分のクラスがなくなる。毎時間、自分が受ける学科の教室を移動する。
学級というクラス単位での移動ではなく、自分という個人単位の移動になる。
クラスという仕組みがないので、友人を作るときに、共通の趣味や、価値観を持つ人になっていく。
その為に、自然にスポーツ組、ガリ勉組、オタク組等々に分かれていく。
また、小さい時から議論をうながす教育をされるので、おとなしい子や優しい子は、おそらく肩身の狭い思いをするだろう。



子供の墓に佇む両親


ゲイのためにいじめを受けた少年


特にスクールバスで、いじめが横行する


最初はいい先生かと思ったが、いじめに対して諦めきっているダメ教師


学校のクラブ活動が差別の元にもなっていると思う。
放課後のクラブ活動は、基本的にセレクションによって選ばれた子たちだけしか入れない。
スポーツで優れていれば、アメフトも野球もバスケも掛け持ちで出来る。
監督は先生ではなく、専門職として雇われ、彼らの業績は勝つことで評価される。
女の子ではチアリーダーが、差別する側になり、彼女たちはガリ勉で容姿の劣る女の子達とはほどんど仲良くなることがない。

この作品に登場する、子供を失った親たちのその勇気には感動した。
自分の子だけだ沢山だ、もう2度と自分の子と同じような被害者を出したくない、その思いで出演されたのだろう。
亡くなった子も、フィッシュフェイスの男の子も全て実名だ。
日本でいじめの統計をインターネットで見てみたが、2007年度で10ー11万件だそうだ。
1300万対10万、多分日本の統計が低すぎるのだろう。
日本からも、こういう勇気のあるドキュメンタリーが出てきて欲しいな。 星 /5 



学校、教育委員会と対峙する。みんなが勇気をふりしぼって発言する感動的なシーン


被害者たちが、いじめに対して地域、社会に呼びかける


小さいがいじめ防止の声が広がる


もう自分たちのような被害者を出して欲しくないと呼びかける


Stand for the Silent - I am somebody


亡くなったTy少年の父親が、少年の自殺した時の状況、彼が知るいじめの実態を語る



  


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