6才のボクが、大人になるまで / Boyhood

2014-09-20 | 映画






オフィシャルサイト


作品は最高なのに、なんておバカな邦題。
本当に配給会社(東宝東和かな)の人たちは、この邦題でいいと思ってるのかな。

主役のメイソン君を演じるのは、無名のエラー・コルトレーン。
彼の父親をイーサン・ホーク、母親をパトリシア・アークエット(ニコラス・ケイジの元妻)が演じている。

小学校一年生のメイソン君が、大学に入るまでの12年間を描いた映画。
但し、メイソン君、彼の父親、母親、姉を演じる役者が全て同じ人たちで、丁寧に12年間をかけて創られた珍しい作品。
ストーリーは、アメリカの南部に住む少年が成長する姿をごくごく普通に描いている。
こんなに時間をかけて創った作品を、よくも平凡な少年の成長記にまとめたと感心する。
しかも、観てるものをジワジワと感動させる名作。
両親の離婚、ダメ親父との再会、母親の再婚相手達との確執、アルコール、ガールフレンド、将来への不安、アメリカでは決して珍しくない若者の成長が記録されている。
そして、彼の成長と共に、アメリカの12年間も上手く撮影されている。
あと、いかにもアメリカ南部らしいのが、15歳の誕生日に銃と聖書をプレゼントされること。僕の友人も15歳でライフルをもらったと言っていた。

離婚してしまった両親だが、子供たちには、それぞれの形で愛情を注いでいるのも、すごくいい。
ダメ親父なイーサン・ホークも、子供たちと共に成長している。
男を見る目がない母親も、仕事のキャリアをしっかりとのばしているし。

主演のエラー・コルトレーンと、やはり無名で彼の姉役のローレライ・リンクレイター(監督の娘)の演技がとっても自然でいい。
そして、ダメ親父を演じたイーサン・ホーク、男運のない母親のパトリシア・アークエットも好演していた。
ただ、この中年男女の12年間が、2時間45分の作品の中で進むので、その老いが如実に見えてしまう。
特に、パトリシア・アークエットの体型が立派になっていく。

お金をかけなくても、作り手の才能と情熱で、こんなにもいい作品が出来るというのを証明した、映画史に残したい作品。





トリビア
この作品は、2002年5月から、2013年8月まで、合計45日撮影された。

オリジナルの原題は「12 Years」だったが、アカデミー賞の「12 Years a Slave」と混同されないように、「Boyhood」に変更した。


監督とイーサン・ホーク、エラー・コルトレーンのインタビュー