今回は、ピクサーの心温まる作品「Up / カールじいさんの空飛ぶ家」
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ピクサーの10作目の作品。
毎回、美しいCGとハートフルなストーリーを楽しませてくれる、自分が大好きな製作会社だ。
「レミーのおいしいレストラン」だけ、見逃してしまったが、あとの作品はすべて観ている。
先ず、いつものように邦題への不満。
何で「カールじいさんの空飛ぶ家」なんて、子供向けだけのアニメ作品の題名にしてしまったのか?
原題の「Up」って、この作品のメッセージが込められた深い意味の題名なのに。
何でお菓子の宣伝みたいな題名にしてしまうのか。しかも、語呂もよくない。
子供向けの作品が邦画の大きなマーケットだというのは、少しは理解できるのだが、ここまで題名の質を落とさなくてもいいのでは。
物語のはじめで、カール少年が自分より少し大人びたエリーと出会い、結婚し、2人で伝説の滝へ行く夢をもち、子宝には恵まれないがつつましく幸せに時を重ね年をとり、病に倒れたエリーを失うまでがつづられる。
そして、エリーを失ったカールじいさんは、やることもなく、ただ思い出だけで生きている。
自分は、もうここでジーンときてしまっている。たぶん観ている大半の人がそうだろう。
大人のストーリーだよ、ここまでは。
そして、誰とも共有できないその思い出にしがみつくあまり、工事の人を傷つけてしまい、老人ホーム行きを余儀なくされる。
思い出の家を失いたくないカールじいさんは、エリーと行くはずだった伝説の滝にエリーの思い出が染み込む家と一緒に旅にでる。
ただし、予期していなかった小さな訪問者、小太りのラッセル少年もいっしょに。
この辺から、子供にも向けた冒険ストーリーになっていくが、逆にここからしばらく自分には少し退屈な時間になる。
そんな中で、ラッセル少年が、いい味出してる。
こういう、小太りで、正直で、要領の悪い子が必ずいる。いる気がする。
そして、また大人のストーリーに戻ってくるのは、ラッセル少年を助けるために、思い出の品を捨てるシーン。新しい冒険のために。
ここで、カールじいさんは、はじめてエリーの死を受け入れ、彼女との思い出を「物」ではなく、記憶として、彼女の意思として自分の中に取り込む。
エリーにとっては、カールとの生活そのものが冒険で、それを思う存分に楽しみ、悔いのない人生だったのだから。
ここも感動させるクライマックスのシーンだ。
この作品も今までのピクサー作品同様、個性的で魅力的なキャラクターと、美しいCG(しかも3D)、そして子供も大人も楽しめる冒険を入れながら、しっかりとしたメッセージ(「Up」というメッセージ)が込められた秀作になっている。
まだ、しばらくピクサー作品が楽しめそうだ。
カールじいさんの空飛ぶ家 3D - goo 映画
トリビア
ラッセル少年はピクサーで、はじめて日系アメリカ人のキャラクターで、吹き替えは永井君という子供がやっている。
カールじいさんの風貌と無愛想な性格の元になったのは、俳優のスペンサートレイシーとウォルター・マッソー。
2009年6月、カリフォルニアでコルビー・カーチンという少女が白血病のために最後の時を迎えていた。彼女の最後の願いは「Up」を観たいというものだったが、とても上映の時期まで彼女の命がもつ可能性はなかった。
彼女の友人がピクサーに、そのことを伝えた。
ピクサーは、上映前の作品をDVDに落とし、社員を彼女の家に送った。
しかし、彼女は目を開けていることが出来なくてDVDを見れなかった、が、母親がそばにいて作品の全ての状況を説明しながら無事DVDを見終えた。
コルビーは、その7時間後に亡くなった。