American Gangster (アメリカン・ギャングスター) ネタばれあり

2007-12-26 | 映画
今回紹介するのは、デンゼル・ワシントンとラッセル・クロウの、2大オスカー俳優が主演する、アメリカン・ギャングスター。




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1968年、ニューヨーク。黒人ギャングのボス、バンピーの右腕として仕えてきたフランク・ルーカス。彼はバンピー亡き後、ボスの座を引き継ぎ、自らの帝国を築き上げようと決意。
そして、東南アジアから純度100パーセントのヘロインを直接仕入れる独自ルートを開拓し、それらを“ブルー・マジック”のブランド名で市場へ売りさばくことに成功したことから、フランクは瞬く間に麻薬王として君臨していく。
一方、ニュージャージーの警察に所属する刑事リッチー・ロバーツ。彼は、警官の汚職がまかり通っていたこの時代に潔癖な仕事を貫いていたため、周囲から疎まれ孤立していた。
また私生活では元妻と養育権で係争する傍ら、司法の道を目指している。そんな彼はある時、検察官からエセックス郡麻薬捜査班のチーフに抜擢される。やがて大衆に蔓延するブルー・マジックの捜査を進めるうち、フランクの存在に辿り着くリッチーだが...(Allcinemaより)


デンゼル・ワシントンとラッセル・クロウという、1人でも大変そうな役者をどうやって料理するか、リドリー・スコット監督の力が試される作品だ。
自分は、もちろん公開直後に観に行きたかったのだが、なにしろ2時間37分という、上映時間のなが~い作品なので、かなり気合を入れて行かないとならなかった。その為、公開されてから、2週間近く心の準備を必要とした。

気合を入れなければならない上映時間の長さには、もうひとつ心配があった。
監督のエゴで無用に長くなったのか、あるいは大物2人への配慮からか、とかいろいろ憶測した。変な中弛みが心配だった。
結果、その心配の必要全くなし。
2時間37分があっという間に終わってしまった。

デンゼル・ワシントン演じる、フランク・ルーカスは1960年代に実存したマフィアのボス。
マフィアの大ファミリーといえば、イタリア系で占められていた時代に自分の才覚と度胸で、ボディーガード兼運転手の身分から、他のファミリーを牛耳るまでにのし上がっていく。
彼は自らに厳しい規律をかし、着実に仕事をこなしていく。家族を愛し、自分の兄弟や従兄弟達には、自分達が育った貧しい生活を決して忘れないように戒める。
こういうところは、デンゼル・ワシントンにピッタリはまっている。
まるで成功したビジネスマン物語。しかし、彼はマフィア。怒ると怖い。
金を返さず、威張り散らしていたマフィアのボスも、道端で簡単に殺してしまう。
この切れた時のデンゼル・ワシントンの表情が怖い。
そして、彼が成功した秘訣も、コストを削減の為、直接製造業者(?)から品質(?)のいい製品を手に入れた事。
ここも、ビジネスマンの成功物語だ。
そんな彼も、母親には頭が上がらない。
終盤で母親にビンタされる。またその表情がいい。

一方のラッセル・クロウは、うだつの上がらない刑事役。
どちらかというと彼のほうが、私生活は暴れん坊だと思うのだが。
あまり好きな役者じゃないけれど、やっぱり力がある。
情けない顔と闘志むき出しの表情と、どの場面でも、いい演技をしている。

この2人の役者が絡むところは、最後の最後までない。
ただし、その最後の絡みは鳥肌が立った。
間違いなく今年の賞レースに加わる作品。

最後に言っておきたい事がある。フランク・ルーカスは、どんなに誠実な男に描かれていようと、デンゼル・ワシントンが演じようと、純度の高いコカインをアメリカに流したギャングである。これは忘れてはならないし、許してもならない。
麻薬にたずさわる者は、全て殺人犯だ。それも大量殺人犯だ。
ある意味、見えないだけに戦争よりたちが悪い。
麻薬は2度人を殺す。
1つは生きた人間を、2つ目は死んだ人間の骨まで。これを忘れてはならない。

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トリビア
2004年にこの作品が企画され、その時の監督は、デンゼル・ワシントンがアカデミー賞主演男優賞をとった「トレーニング デイ」のアントワン・フークアに決まっていた。
そして配役は、デンゼル・ワシントンとベニチオ・デル・トロだったが、撮影が始まる1ヶ月前に、ユニバーサル・ピクチャーが、予算が足りないのを理由にキャンセルした。