花耀亭日記

何でもありの気まぐれ日記

宮城県美術館「リヒテンシュタイン侯爵家の至宝展」の感想(3)

2020-08-01 00:09:51 | 展覧会

今回の展覧会で私的に一番興味深かった作品はモレット《聖母子と洗礼者聖ヨハネ》だった。モレット(Alessandro Bonvicino, il Moretto, 1498年頃 -1554年)はイタリアの画家で、初期のブレシャ・ルネサンスの3大巨匠(モレット、ロマニーノ、サヴォルド)の一人と考えられている。すなわち、ロベルト・ロンギが言及したカラヴァジョに影響を与えたロンバルディアの先駆的画家たちの一人だ。

モレット(アレッサンドロ・ボンヴィチーノ)《聖母子と洗礼者聖ヨハネ》(1550年頃)リヒテンシュタイン・コレクション

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Madonna_with_Child_and_Young_St_John_-_Bonvicino.jpg

実はこの作品を観た時、聖母子や背景の風景にヴェネツィア派的要素が色濃く出ていたものだから、モレット作品にしては少々意外だった。確かに当時ブレシャはヴェネツィアの領土だったから当然と言えばそうなのだが、私的にはモレットにロレンツォ・ロット的傾向を見ていたので、ティツィアーノやジョルジョーネの正統(?)ヴェネツィア派風は新鮮でもあった(;’∀’)。

※ご参考まで:ティツィアーノ《うさぎの聖母》(1525-1530年頃)ルーヴル美術館

で、聖母子の座る緑地に花咲く小さな花々は、図録解説にある「ミルフルール」と言うよりも、私的には中世からの伝統である「閉ざされし園(hortus conclusus)」由来ではないか?と思ってしまったのだが、どうなのだろう?? ロンバルディアは地理的にも北方絵画の影響を受け入れやすい土地柄でもあったのだし...。

※ご参考まで:上部ライン地方の画家《楽園の小庭園》(1410-1420年頃)シュテーデル美術館 

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Meister_des_Frankfurter_Paradiesg%C3%A4rtleins_001.jpg



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