花耀亭日記

何でもありの気まぐれ日記

「ボローニャ派とグエルチーノ」講演会レポート(1)

2015-03-19 01:42:08 | 講演会
片頭痛でブログご無沙汰してしまったが、土曜日に国立西洋美術館で高橋健一(和歌山大学准教授)講演会 「ボローニャ派とグエルチーノ」を聴講した。

高橋先生も聴講者が多いのに驚いておられたが、私もグエルチーノが日本でこんなに受けるなんて意外でもあった。聴講券入手の列中でカラヴァッジョの名前がちらほら聴こえたので、イタリア・バロックへの興味が広がって来ているのだろうなぁとも思われた。それに、日本における美術文化の成熟を示すものだったら、この勢いでホセ(ジュゼッペ)・デ・リベーラ展なんかもできるんじゃないだろうか?>西美さま

さて、今回の講演では色々と興味深いお話やら勉強になること多々だった。グエルチーノの周辺からグエルチーノを明らかにするというテーマは、まさに当時のカラッチ派を知ることでもあったのだから。でも、先生が早口になるほど(^^;ぎっしりと詰まった内容だったのだが、私のメモ書きに意味不明なところがあり、レポートの方はサクッと飛ばしていきたい(^^;;。間違った勝手な翻訳や寄り道も多々あろうが、文責は花耀亭にある。

講演の内容は、高橋先生のボローニャ派との出会いからグエルチーノ登場前夜のボローニャ派(カラッチ派)の動向に及んだ。

私的に一番面白かったのは、カラッチのアカデミーはモデルのデッサンに基づく自然主義であり、アンニバレはヴァザーリのディッセーニョ批判を行っていること。要するにマニエリスム批判と言うことだね。『美術家列伝』の序文にも書いてあるが、ヴァザーリのディッセーニョとは単なる素描ではなく、観念的なもの、アイデアの造形と言って良いものだ。アンニバレはマニエリスムの造形された人体プロポーションが自然に即したものではないことを批判しているのだ。本に「ヴァザーリの馬鹿!」なんて書き込みしたりしてカワイイ(笑)。

アンニバレは現実を観察し、写し取ることを重視する。この現実重視の指向から風俗画的主題を多く描いている。例えばコロンナ美術館《豆を食べる男》やキンベル美術館《肉屋》など。ヴィンチェンツィオ・カンピ《リコッタチーズを食べる人々》(1580年)の人を見下したような表現とは違い、アンニバレ作品には描かれた対象への共感が見られる。


アンニバレ・カラッチ《豆を食べる男》(1580~90)コロンナ美術館


アンニバレ・カラッチ《肉屋》(1580年ごろ) キンベル美術館


ヴィンチェンツィオ・カンピ《リコッタチーズを食べる人々》(1580年)リヨン美術館

ちなみに、カンピ一族もカラッチ一族も元々はクレモナ出身だし、表現されたものは違っていても、ヴィンチェンツィオの下絵素描(ドレスデン)を見る限り、アンニバレと同じような現実への眼差しが感じられるのだよね。
あ、そう言えば『食べる西洋美術史』を書かれた宮下先生が講演会にご臨席されてましたね。


閑話閉題(あだしごとはさておき)、レポートに戻ろう。カラッチ派はその自然主義を風俗画だけでなく神話画や宗教画の高位ジャンルへと応用して行く。例えばルドヴィコの《受胎告知》、アンニバレの《十字架上のキリストと聖人たち》(1583年)。


ルドヴィコ・カラッチ《受胎告知》(1584)ボローニャ国立絵画館


アンニバレ・カラッチ《十字架上のキリストと聖人たち》(1583年)サンタ・マリア・デッラ・カリタ

ああ、やはり長くなってしまった(^^;;。ということで次回に続くが、展覧会感想文の続きも書きたいし、う~む、悩んでしまうなぁ。


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2 コメント

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Unknown (momo)
2015-03-27 22:47:23
片頭痛、大丈夫ですか?
私も頭痛もちなので・・・ご無理なさらずにブログも続・休日作戦もがんばってください^^ゞ
と、言いながらも、ぜひ全部の講演会に参加していただき、ブログでお教えいただければ・・・
なんちゃってっっ!へへへ~(^◇^)
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momoさん (花耀亭)
2015-03-29 22:33:31
ご心配いただき、ありがとうございました。今回の偏頭痛は薬を飲んでもなかなか良くならずにあせってしまいました、でも、もう大丈夫、元気ついでに東京まで行ってしまいましたしね(^^ゞ
で、私もできれば全講演会を.聴講したいのですがねぇ...。聴講券入手できればの話で...(-_-;)
レポートの続きも、展覧会の感想文も、頑張って書かないといけませんね(^^;;
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