花耀亭日記

何でもありの気まぐれ日記

圀府寺司『ユダヤ人と近代美術』を読んだ。

2018-03-09 23:23:34 | 読書

去年か一昨年だったと思うが、圀府寺司著『ユダヤ人と近代美術』(光文社新書)を読んだ。ユダヤ教は偶像崇拝を禁じている。描くことも見ることも禁じてきた民の「美術をめぐる静かな闘争」の物語、と銘打つだけに、なかなかに面白い内容だった。

実は、私的に一番興味深かったのは、序章「緋の十字」である。それによると、ベラスケスは「コンベルソ」(改宗したユダヤ人)だった可能性があるという。「ベラスケスの(サンティアゴ騎士団への)入会審査記録においては彼が貴族の家系であったことも、純粋なキリスト教徒の家系であったことも証明されておらず、結局、国王フェリペ4世の勅命により超法規的な例外措置として入会を許されていたらしいことがわかってきた」とのこと。

※参考↓:『西洋美術研究4』(大高保二郎:「封印された野望-ベラスケス 平民から貴族へ」)

http://www.sangensha.co.jp/allbooks/index/070J.htm 

今回「プラド美術館展-ベラスケスと絵画の栄光」を観て、珍しく図録(ハードカバーが重い!)を買ったのも、その詳細への興味もあったのだが、残念ながら展覧会でも図録でも触れてはいなかった。まぁ、そーゆーものなのでしょうね、きっと



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2 コメント

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BS日テレぶら美 (むろさん)
2018-03-10 23:21:20
BS日テレ3月9日放送のぶらぶら美術博物館「画家の中の画家 ベラスケス一挙来日 プラド美術館展」で、解説者の怖い絵著者中野京子がベラスケス=改宗したユダヤ人説のことをかなり詳しく語っていました。私はベラスケスのことはほとんど知らないので、「へー、そうなのか」と思って聞いていました。ばれるとまずいので、ベラスケスは自分自身のことをほとんど語らなかったとか、そのことが一生コンプレックスになっていたとか、フェリペ4世は本当は知っていたとか、なかなか面白い内容でしたが、どこまでが真実なのでしょうか。
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むろさんさん (花耀亭)
2018-03-10 23:49:13
「ぶら美」を見ていなかったので、私のブログ記事は全くの偶然です(・・;)。なんと、ベラスケス=コンベルソ説をやっていたなんて!!
で、多分ベラスケスはコンベルソだったのではないでしょうか?? フェリペ4世は偽造を知っていたと思いますし、本で「ローマ法王の庇護もとりつけ」とあるように、ローマでイノケンティウス10世の肖像画も描いてますしね💦
ご紹介したように『西洋美術研究4』の大高先生が書かれたものを読めば詳細がわかると思いますが、図録ではプラド側も大高先生もその事に触れていないのですよ(^^;;
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