花耀亭日記

何でもありの気まぐれ日記

ウィーン美術史美術館「ブリューゲル展」感想(1)

2018-12-26 23:27:07 | 展覧会

ウィーン美術史美術館「ブリューゲル展」を観た。「Once in a Lifetime」一生に一度の大回顧展である

https://www.bruegel2018.at/?L=1

ピーテル・ブリューゲル(父)(Pieter Bruegel(Brueghel) de Oude, 1525/30-1569)作品に絞った大回顧展ということで、ボリュームも見応えも十分、久々に満腹感を覚えた展覧会だった。

今回驚いたのは会場が写真撮影可(フラッシュ禁止)だったことで(一部作品は不可)、撮った写真を紹介しながら展覧会を振り返ってみたいと思うが、サクッとレポート&感想ということになりそうだ

 会場入り口は《ブリューゲルの肖像》垂れ幕の奥になる。展覧会場の見取り図は下記↓である。

ちなみに、展覧会を観終わって会場を出ると、そこはルーベンスの大作が居並ぶⅩⅢ室であり、16世紀フランドル(ネーデルラント)絵画(ブリューゲル)から17世紀フランドル絵画へと否応なくワープさせられ、その作風&世界観の違いに一瞬頭がクラっとしてしまった 

さて、「ブリューゲル展」のオープニングは画家の歩みを一望できるパネル展示から始まった。壁に並ぶのはブリューゲル作品のコレクターたちよね。

壁↑手前の肖像画はアントニス・モル《グランヴェル枢機卿の肖像》(1549年)である。枢機卿は当時、ネーデルラント執政パルマ公妃マルグリート(オッターヴィオ・ファルネーゼの妃=アレッサンドロの母)の重臣であり、ブリューゲル作品を収集していた芸術愛好家だ。 右の絵はルドルフ2世の弟の《オーストリア大公エルネストの肖像》だと思う

 

壁↑の肖像画は言わずと知れた世紀の大収集家《ルドルフ2世の肖像》である。で、下のケースに展示されているのはブリューゲル関連本だが、左はカレル・ファン・マンデル『画家の書』(1604年)であり、北方画家列伝の中にブリューゲルが登場するのだ。(一応これは日本語訳で読んでいるのだわ

さて、作品展示は初期1552年からの素描から始まった。若い頃からブリューゲルの自然(風景)への傾倒と優れた観察眼による素描力は素晴らしい。今回の展覧会の前半は素描作品と版画作品から構成されている。

ピーテル・ブリューゲル《画家と鑑識家》(1565年)アルベルティーナ美術館

ブリューゲルの自画像だと流布されている有名な素描だから、私だけでなく観客の多くもこの絵の前で立ち止まり写真を撮っていたが、どうやら自画像ではないらしい。しかし、ブリューゲルの人間観察と皮肉なユーモア(鑑識家のお財布に手が笑わせる)は十分に楽しませてくれるし、画家の髪の毛の線の上手さに目は吸い寄せられるし、素描作品としては一級品だと思えた。



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