花耀亭日記

何でもありの気まぐれ日記

「西洋絵画の巨匠(11) カラヴァッジョ」

2006-11-22 02:54:55 | 読書
会社の書籍購買に依頼していた宮下規久朗・著「西洋絵画の巨匠 (11)カラヴァッジョ」(小学館)が届いた。





読み始めたばかりだが、2001年に真作披露された「ジャンバティスタ・マリーノの肖像」を初めて知ることができたし、CARAVAGGIOを取り巻く時代や画家たちも取り上げ、CARAVAGGIO作品のある都市をも紹介するという、単なる画集にとどまらない意欲的な内容構成だ。

特に、作品の制作年に西暦と日本暦を併記するなど、日本とCARAVAGGIOの関係にもスポットを当てており、仙台出身者としては支倉常長とパウルス5世やシピオーネ・ボルゲーゼとの関連をも指摘してもらえたのが嬉しい。以前、拙サイトの掲示板でも触れたことがあるが、田中英道・著「支倉六右衛門と西欧使節」(丸善ライブラリー)等を読むにつけ、ボルゲーゼ家のCARAVAGGIO作品を支倉一行が観た可能性は大きいと思うのだ。

そして、なによりもCARAVAGGIO追っかけを自認する者として一番頷いたのは、「カラヴァッジョ芸術はあくまで現地で体験してこそ真価を発揮する」というくだりであった。薄暗い教会の礼拝堂でコインを入れ、照明が点った瞬間の畏怖に似た感動、現役の祭壇画として礼拝の場で観る聖なる輝き、直射日光を板切れで塞いだ窓のこぼれ陽を浴びてそこにある存在感…私のCARAVAGGIO体験もページをめくりながら蘇える。私には旅を思い出す手引きでもあり、これからの旅へ誘う手引きともなりそうだ。

さて、今週はじっくりとこの新しいCARAVAGGIO画集に取り組もうと思っている。


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6 コメント

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カラヴァッジョ本 (いづつや)
2006-11-23 19:34:42
Juneさんのご案内で、カラヴァッジョ画集を執筆したのは宮下氏だったことを思い出しました。忘れてましたので、感謝です。早速、本屋に行きます。

宮下氏とベルニーニやピエロ・デッラ・フランチェスカのモノブラフを書いた石鍋真澄氏は世界的にみてもトップクラスの美術史家ではないかとみています。宮下氏の記述が楽しみです。
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いづつやさん (花耀亭)
2006-11-24 01:59:16
この画集はCARAVAGGIOの「ほとんどの真筆を原色で収録」しているので見応えがあります。でも、私的には、収録外の作品は問題作なのだろうか?と「ほとんど」が気になりました(^^;

で、さすが読書家のいづつやさんですね!私は石鍋氏の「ベルニーニ」は読んでいるのですが、最近の「ピエロ・デッラ・フランチェスカ」はまだでした(^^;
それにしても、おっしゃる通り、石鍋氏も宮下氏も世界的にも優れた美術史家だと思いますね。両氏の著書から学ぶことがたくさんあります。
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Unknown (Cojico)
2006-12-02 19:36:02
花耀亭さんのおかげでこの本の存在を知り、アマゾンで購入しました。ありがとうございます。
綺麗な色ですね。

私がカラバッジョについて持っていた本は、小さめで絵の色も茶褐色が強い(要するに古いのです)英語版の一冊だけでした。

花耀亭さんのお好きな(私の記憶違いならすみません)アメリカ版の「洗礼者ヨハネ」、とても素敵ですね。自分の責務を認識しているようで、キリリッと引き締まった口元が凛々しく、肌が若々しさを引き立てています。

カラバッジョの作品で私が好きなのは、なぜだか、ドーリア・バンフリーの「改悛のマグダラのマリア」です。初めてこの美術館で観たとき、回りに誰もいなくて、ひとり感情移入してしまいました。

ちなみに、私の一番好きな絵は、ルーブルに有るレオナルド・ダ・ヴィンチの「洗礼者聖ヨハネ」です。同じ「ヨハネ」繋がりですね。
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Cojicoさん (花耀亭)
2006-12-03 23:30:49
おお、購入されたのですね!
で、Cojicoさんが以前購入された英語版のCARAVAGGIO本はどんなご本なのでしょう?興味津々です(^^ゞ
最近多くのCARAVAGGIO本が出ていますが、やはり私も聖ポポロ教会で買った最初の1冊が一番愛着があります。でも、新刊本では新しい情報にどんどん更新されていきますし、今回も新たな真作が紹介されていて、結局購入してしまうのですよね(笑)

ところで、Cojicoさん、良くご存知で!本当にアメリカ版の聖ヨハネが観たいのですよぉ~。おっしゃる通り若々しく、静かで強い意志の感じられるヨハネです。あの肌も魅力ですよね(^_-)-☆

それで、Cojicoさんは「改悛のマグダラのマリア」がお好きだったのですね!普通の、どこにでもいるような女性だからこそ感情移入してしまいますよね。ドーリア・パンフィーリ...静けさに満ちた宮殿の回廊を思い出すと、最近の変化の様はちょっと感慨深いです。

ところで、Cojicoさんはレオナルドの「洗礼者聖ヨハネ」だったのですね!!私もあの両性具有のような神秘的な笑みには魅了されてしまいます。モナリザよりも魅力的ですよねっ!
きっと顰蹙を買うかもしれませんが、洗礼者聖ヨハネや聖セバスチアヌスって美青年を描く口実でもあったんじゃないかと思うのですよ(^^;;;
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花耀亭さん (Cojico)
2006-12-04 22:09:43
いえ、たいした本ではありません。TASCHEN の"CARAVAGGIO" です。絵だけ眺めて、文章は読んでいません・・・

私の単純な疑問だったのですが、前から気になっていたのはCARAVAGGIOの発音でした。
本などには、”カラヴァッジョ”と書かれているのですが、私にはどうしてもジョが綺麗な発音には思えなくて受け入れられず、”カラヴァッジオ”と呼んでいました。

習い初めて分かったのですが、イタリア語では、gioは一塊でジョと発音し、子音が2つ重なった場合は促音便になるため、CARAVAGGIOはカラヴァッジョになるのです。

初めこの発音に抵抗があり、クラスで"VIAGGIO"(旅行)を”ヴィアッジオ”と発音していたら、先生に何度も”ヴィアッジョ”と直されてしまいました。

小さなことですが、私にとってはイタリア語を習い始めた事による大きな収穫でした。
すみません、小さなことで・・・

ところで、あのひっそりとしていたドーリア・パンフィーリ宮殿は、今は大勢の観客が押し寄せているのですか?・・・あの静かな美しい回廊を良い思い出として、とっておきましょう。

それと、ポポロ教会に売店があったのですか?私が行ったときは、閉まっていたのでしょうか?
このときも暗くてひっそりとしていて、きょろきょろと絵を探していましたら、もう一人日本人らしき青年も同じように探していまして、同時に同じ絵の前に着きました。彼がコインを入れると、パッと浮き上がるように馬が現れたのを思い出しました。

花耀亭さんもダ・ヴィンチの「洗礼者聖ヨハネ」お好きだったんですね。良かった・・・あれは、本当に魅力的です。
確かに、聖セバスチアヌスも沢山描かれていて、みんな若々しい素敵な青年ですね・・・。花耀亭さんのおっしゃる通りなのかもしれません。修道院などでは、若い修道士はどうも先輩の餌食(すみません、こんな言葉使いまして・・・)になっていたらしいですものね。

だらだらと、書いてしまいました。今日はここまでにします。どうぞ、返事など書かなくていいですので・・お仕事でお疲れでしょうから・・・
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Cojicoさん (花耀亭)
2006-12-06 03:07:12
TASCHENの画集は見やすいし、良くまとまっていますよね。私は日本語版しか持っていませんが、ルーベンスの「キリストの埋葬」模写などとても勉強になりました。

で、Cojicoさんのおっしゃる通りCARAVAGGIOの表記はカラヴァッジョだと思います。私が調べ始めた当時の書籍は殆どカラヴァッジオになっていましたし、好きなように読んでほしいと思い、敢えてCARAVAGGIOと書いています。もう、アバウトな性格なので表記にこだわりがないのです(^^;;

ドーリア・パンフィーリは2回目に行ったら、ショップやベラスケス「イノケンティウス10世」専用の立派な展示室までできて...侯爵家の宮殿拝見といった風情が無くなり、ふつーの美術館になってしまったのが(我儘ですが)凄く寂しかったのですよ~。CARAVAGGIOの絵も特別なスポットライト照明の部屋に移動となり、以前の外光差込む静かな回廊での展示とは違った印象になりました。

で、ポポロ教会の2枚の絵は灯りがともった瞬間、静かな衝撃が走りますですよね!そのポポロでは小さな販売コーナーがあって、係りのおじさんが絵葉書や画集を売っていたのですよ。

>若い修道士はどうも先輩の餌食
なるほど!です(笑)。日本の寺小姓も同じようですし、こーゆーのは世界共通なんでしょうか?(^^;;;

私の方こそ、だらだらとしたレスですみませんでした(^^ゞ
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