Pのlog ( 大阪と上海のChouChou)

通称P。shushu(照れちゃう)ような稚拙きわまりない文面で、上海や大阪のchouchouを綴ります。よしなに。

検閲!?

2006年02月13日 | 文化って大変だね

 日本のマスコミの中国の評価は依然としてよい評価では
ありません。特に何かあれば言論統制といったような書き方が
よく見受けられます。最近も2本の映画の上映禁止がそういった
論調で紹介されています。
 1本は「memories of Geisha(日本名:さゆり)」。渡辺謙とチャン・
ツイーの主演で日本でも話題ですが、こちらでは「チャン・ツイー
(章子怡)のベッドシーンが従軍慰安婦をはじめとする日本の
悪いイメージを想起させる」との理由で映画館の上映禁止となり
ました。もう一本は「ブロークバック・マウンテン」。台湾出身の
アン・リー(李安)監督で今年のアカデミー賞最有力とも言われて
いますが、同性愛をテーマとしており国民感情を刺激したくないと
の理由で同じく上映禁止となりました。
 ところが、実際には街のDVD店に行くと2本とも普通に購入
できます。春節明けに中方スタッフと他愛もない会話をしました。

 「春節中はDVDをよくみてましたよ」
 「どんなDVD見たの?」
 「そうですねえ。章子怡のでてるのと李安監督の作品ですねー」
 「え?あれって中国人は見たらだめってことになってるでしょ?」
 「??え?そうなんですか。知りませんでしたけど・・」

テレビニュースや新聞を読まない人がニュースに疎くなるように、
確かに政府の決定に興味がない人は禁止されていることを知る
ことはないわけです。そもそも、13億人に「見るな」と徹底するなんて
不可能でしょう。だいたい、街のDVD屋さんはほとんどが海賊版
ですし、それを取り締まることもこれまた不可能です。上海のように
外国人比率が高ければその人たちにまで強要するのは国際的
にも非難されます。
 ということは、上映禁止にする理由は何なのでしょうか?

 それは中国風のガバナンスというものではないかと思います。
個人主義ともいうべき百家争鳴な中国の個性に、統制をおこなう
には「最初にだめと言っておいただろう」という方針の提示が必要
であること、そしてそれは石橋を叩くように「今後対日や国内で問題
となりそうなものは予めふたをしておく」ということなのだと思います。
 そう考えると、日本のマスコミが叩くような人権侵害や言論統制
ということではなく、「国内の円滑統治のための消極策」のようにも
見えます。

ものの見方は実際に現場にいて、中立的な視野で理解しようと
思う積極性がないと、なかなかわからないものです。