山浦清美のお気楽トーク

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自民党の日本国憲法改正草案について(2)-公益及び公の秩序

2013-05-16 | 政治・経済・社会

 自民党の「日本国憲法改正草案」の条文中、第12条、第13条、第21条、第29条に「公益及び公の秩序」という文言があります。

 少々長いのですが「日本国憲法改正草案 Q&A」から引用しますと「従来の「公共の福祉」という表現は、その意味が曖昧で、分かりにくいものです。そのため学説上は「公共の福祉は、人権相互の衝突の場合に限って、その権利行使を制約するものであって、個々の人権を超えた公益による直接的な権利制約を正当化するものではない」などという解釈が主張されています。今回の改正では、このように意味が曖昧である「公共の福祉」という文言を「公益及び公の秩序」と改正することにより、憲法によって保障される基本的人権の制約は、人権相互の衝突の場合に限られるものではないことを明らかにしたものです。なお、「公の秩序」と規定したのは、「反国家的な行動を取り締まる」ことを意図したものではありません。「公の秩序」とは「社会秩序」のことであり、平穏な社会生活のことを意味します。個人が人権を主張する場合に、他人に迷惑を掛けてはいけないのは、当然のことです。そのことをより明示的に規定しただけであり、これにより人権が大きく制約されるものではありません。」となっております。

 「公共の福祉」を巡っては、諸学説あることは指摘の通りですが、だからといって「公益及び公の秩序」とすることで分かり易くなったと言うことができるでしょうか。およそ「公益」だとか「公の秩序」といったことが曖昧模糊とした概念です。似たような言葉に「国益」といったものがあります。国会でも「国益」という言葉が頻繁に飛び交いますが、一体何を指しているのかサッパリ分かりません。用いている人や立場によって大いに異なるように思います。結局は「公共の福祉」と同様に「公益及び公の秩序」も大いなる議論の紛糾を招くことにならざるを得ないと思われます。

 引用文中に「憲法によって保障される基本的人権の制約は、人権相互の衝突の場合に限られるものではないことを明らかにしたものです。」とされているように、基本的人権をより強く制約する方向に持って行きたいものと思われます。特に、第21条に関して言えば、現行憲法には無かった第2項を新設して制限できることとしております。これらのことより、基本的人権をより制限することが狙いであることは明らかなことであろうと思われます。このことに関してQ&Aでは、オウム真理教のことを持ち出しておりますが、先日の国会答弁で現行憲法下でも破防法の適用は可能であったと答弁されておりました。

 更には第102条で、国民に対して憲法尊重義務を課しております。これは本末転倒であるといえるでしょう。そもそも憲法制定や改正の原泉は国民にあります。国民の圧倒的多数に支持されてこその憲法である訳ですから、自ら支持した憲法を遵守せよとは何事かと思います。むしろ憲法を守るのは権力側に求められることです。これが現行憲法第99条の趣旨です。ここにも基本的人権の制約を狙っていることが見えてきます。


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