ユキヒョウ(折句)

湯けむりと
麒麟のように
日はかけて
夜の向こうを
歌うものたち

(折句)

エオマイア(折句)

A４の
おさまりのない
窓際で
異彩を放つ
アイスコーヒー

(折句)

そこかしこ(折句)

即興の
仔犬を淡く
書き終えて
少年は何
処へ向かうのか

(折句)

鏡石(折句)

借り物の
カートの中で
身の丈を
一切問わぬ
紳士の背中

(折句)

フットメザ(折句)

ふしだらに
通知を待った
豚汁と
目玉焼きとが
冷め合う時間

(折句)

揚げ豆腐(折句)

アモーレの
蹴鞠は高く
堂々と
浮世を離れ
不安一蹴

(折句)

おろし金(折句)

追って新
郎を企む
寝室で
カール認めて
眠る三世

(折句)

かきつばた(折句)

会長の
君をもてなす
続け様
ハラミ、センマイ
タン塩、カルビ

(折句)

倍返し(折句)

針山の
隕石が降る
街道を
Ｍ細胞が
粛々といく

(折句)

お察しします

丸まったその背でわかる200年昔の君はハリネズミだね

おもてなし(折句)

恐ろしく
もやった道を
適当な
ナビの指図に
従って行く

(折句)

かまいたち(折句)

駆け抜ける
迷子のような
一行が
怠惰な日々の
地表を飾る

(折句)

江戸仕草(折句)

笑みもなく
隣にかけて
椎茸を
食えとつぶやく
侍の兄

(折句)

そこかしこ(折句)

そばつゆが
コアラに落ちて
回想の
シーソーがある
公園に犬

(折句)

ハナミズキ(折句)

８月の
９を遠く
みればあつ
すぎたアルプス
気化した９月

(折句)