20階の窓辺から

児童文学作家 加藤純子のblog
毎日更新。児童文学情報・日々の暮らし・超高層からの眺望などニュース満載。

挽き肉の作り方

2008年09月10日 | Weblog
 ここ数年、挽き肉を使ったお料理を、どうも敬遠する傾向にありました。牛肉偽装問題などで、挽き肉にはなんのお肉が入っているかわからないという不安感があったからです。
 餃子にも、豚の赤身と書いてある挽き肉をほんの気持ち分しか入れませんし、あとはお野菜たっぷりの餃子です。
 ですから肉団子やシュウマイやハンバーグといった、まるまる挽き肉料理なんて、私の中では言語道断でした。
 ところが昨晩、娘が「今夜は肉団子の春雨中華スープが食べたい」と言い出しました。そういえば、昔、揚げ団子を作って入れていたそのスープを、ときどき作っていたことがあります。でも挽き肉です。いまはもう・・・。
「挽き肉がねぇ」
 私が嫌そうな顔をすると、娘が涼しい顔で言いました。
「豚肉をフードプロセッサーで引けばいいのよ」
 フードプロセッサー?
 キッチンに置いてあるだけの、日ごろあまり使わない調理器具です。
「シューマイだって、ロールキャベツだって、自分でフードプロセッサーで挽き肉にしたお肉なら安心でしょ?私は全部そうしてるわよ」
 そうか・・・。
 私の生活習慣になかった料理法だったので、目から鱗の気分でした。
 さっそく私は豚肉を買ってきてそれをフードプロセッサーにかけました。ねっとりとしたきれいな色の挽き肉があっという間に出来上がりました。挽き肉ってこんな色だったんだって思うくらい、きれいなピンク色をしています。
 タマネギも他のお野菜も、フードプロセッサーで粉砕するとあっという間です。かくして肉団子は瞬時に出来上がりました。
 
 厚手のお鍋にごま油をひいて生姜とニンニクと葱のみじん切りを炒め、そこに白菜、エリンギ、青梗菜をいれた中華スープを作り、スープが沸騰してきたら手のひらでまるめた肉団子を落としていきます。(さすがに今は、揚げ団子を作る勇気、というか、食べる勇気はありません)
 仕上げに、お湯で戻した春雨をいれ、そこにお醤油とラー油をちょっと垂らし出来上がりです。
 こうして作った手作り挽き肉の肉団子は、市販の挽き肉で作った肉団子と違い、舌触りもなめらかでとてもおいしく、胃もたれもまったくしませんでした。
 
 久しぶりに若い人たちと一緒に暮らしていると、そのしなやかな発想から意外なことを教えてもらえます。
 そんなわけで、思いがけないところで手作り挽き肉の作り方を教えてもらえて、昨日はちょっと得した気分でした。
 
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『夏のトビラ』(ひぃふぅみ)

2008年09月09日 | Weblog
(社)日本児童文学者協会で主催している、「23期児童文学学校」の卒業生の有志の皆さんで作られた同人誌『ひぃふぅみ』が、このたび終刊を迎えられました。
 13年にわたられた「ひぃふぅみ」の実績は児童文学の世界で、存在感を放っていました。
 終刊号は『夏のトビラ』
 麦わら帽子をかぶったうしろすがたの少女が、湖畔のコテージに佇んでいる写真の表紙です。
 表紙タイトルにぴったりの、初々しく夏らしい写真の表紙です。
 同人誌というより、おしゃれな雑誌の表紙みたいです。

 私はその同人誌に、二度ほどお邪魔しています。代表のUさんからお送りいただいたお手紙によると、1996年4月と2006年9月だったそうです。
 
 力のある方たちの揃っていらした同人で、毎回、ずっしりと読み応えのある作品群と出会えるのを、とても楽しみにしていました。
 いまでも覚えているのが、その1996年、港区の図書館での合評会にお邪魔したときのことです。合評を始めようと原稿を取り出した瞬間、皆さんの作品についてあれこれを講評として書いてきたノートがどこにも見あたらないことに気づきました。
 どうやら不覚にも、自宅の机の上に忘れてきてしまったようでした。
 あのときの焦りまくった気持ちを、私は今でもしっかりと覚えています。
 そんな青ざめた私の顔を、心配そうにのぞき込まれていた皆さんのお顔と共に。

 最後の同人誌『夏のトビラ』を、私はいま、皆さんの新たな旅立ちのしるしとして受け止めています。
 夏のトビラを開けた瞬間、そこに挟まれてあった同人の皆さんのお写真に写ったまっすぐな眼差しと、ひかり輝いている笑顔を見つめながら。

 2008年8月23日。
 この日は、終刊の日であると同時に「ひぃふぅみ」の皆さんの次のステージへの旅立ちの日でもあります。
 次のステージでのご活躍をわくわくしながら見守らせていただきたいと思っております。
 代表のUさん、そして皆さん。この『夏のトビラ』を、ぜひくさんの人たちにお読みいただきたいですね。
 
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『ミラクル★キッチン1』(そうえん社)

2008年09月08日 | Weblog
 そうえん社が、新しいシリーズとして立ち上げた小学校中学年向け作品「ホップステップキッズ」の二冊目です。 
 作者は、先日このblogで、『ピンポンはねる』(ポプラ社)をご紹介した工藤純子さん。
『ピンポンはねる』に続いてのご出版になります。
 工藤さん、おめでとう!
 
 彼女がいかに楽しみながら、この物語をお書きになられたかが、読んでいて伝わってくるようです。
 特にお料理の展開シーンが、とてもステキです。さりげないお料理なのに、とても奥深く、お料理の本質をさりげなく教えてくれているような気がします。
 お料理好きの私としては、「やられた!」という感じです!
 工藤純子さんはどうやら実生活でも、なかなかのお料理の達人とお見受けしました。それもハートのこもった。
 
 ですから展開されるお料理は、いわゆる児童書のお子さま向けのお料理物語とは完全に一線を画しています。 
 この本をお作りになった担当編集者のKさんもおっしゃっていましたが、読んでいると、おいしい匂いが立ち上がってくるようで、おなかがぐうぐうしてきます。
 私が特に気にいったのは、孫である依頼人からの、食欲のまったくなくなってしまったおばあさんになにか食べさせたいと依頼されて作った「春の野菜と桜のハーモニー。そこに黄色い卵の黄身」の入ったお雑炊です。
 お鍋で炊いた昆布とかつお節のお出汁の効いたおいしいご飯。そこに庭の菜園に咲いた春菊、三つ葉、セリなどの春の香り。
 隠し味は、桜の花びらの塩漬け。その上に菜の花のような半熟卵。
 う~ん、おいしそう・・・。

 どうやらこの物語は、雁屋哲のマンガ『美味しんぼ』の、児童文学版になりそうな予感がしています。

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暑さ寒さも彼岸まで

2008年09月07日 | Weblog
 今日は慌ただしく、お墓のお掃除とお墓参りに行ってきました。
 お彼岸にはまだちょっと日にちがありますが、都合により早めにすませてきたのです。

「暑さ寒さも彼岸まで」という諺(ことわざ)があります。
 あれはもしかして、人間の「そうあって欲しい」という願い、願望なのかもしれないと、いつまでも続く暑さに辟易しながら,ちょっと拗ねた気分で空を見上げています。
 厳しい寒さは、春のお彼岸までには終わってほしい・・・。
 へたってしまうくらいの酷暑は、秋のお彼岸までには終わってほしい・・・。
 
 それにしても、そういっただれもが感じる思いを、的確かつ端的な「諺」という表現にして言い換えた、むかしの人の言葉の感性の豊かさには唸らされます。
 すっかり高くなった空を見上げ、ほんとに諺どおりにならないかしらと、大きなおなかの娘を眺めては、この言葉を呪文のように唱えている今日この頃です。
 早くエアコン漬けの日々から解放されますように、と。・・・
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ユーカリ

2008年09月06日 | Weblog
 今朝は、このあと11時から、新宿の昔ながらの名曲喫茶「らんぷる」で「子どもの本・九条の会」の会報部会です。
 会報発行にむけて、依頼した原稿が着々と集まっているそうです。

 そして午後1時半からは、池袋で運営委員会です。私は他に予定が入っているので、会報部会が終わったら失礼するつもりです。
 
 写真は、ベランダに咲いているハーブのユーカリ。
 花粉症ではありませんが、花粉症に効果があるといわれている「ユーカリ グニー」というハーブの葉っぱは、夏の暑さにも負けず葉をぐんぐん茂らせています。
 ベランダの花たちも、みんな、みんな、今日もとても元気です。
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カフェと文化

2008年09月05日 | Weblog
 普段私は、あまり、カフェなどで時間つぶしをするタイプではありません。
 せいぜい、お友だちとお茶をするくらい。
 カフェと言えば、近頃は街中のどこを見渡してもちょっとコじゃれた、おいしい珈琲などを飲ませてくれるお店で溢れています。
 スタバなど、私がいつも行くスーパーにも入っているくらいです。
 
 こんなふうに、町中にカフェが氾濫するずっと前。
 もうかれこれ20年くらい前でしょうか。
 当時、パリの文化の香りのするカフェとしてお気に入りだったのが、渋谷のbunkamuraにある「ドゥマゴ」と、銀座の泰明小学校前や、原宿の神宮前にあった「オーバカナル」です。
 いずれも、カフェとおいしいブランジェリーを楽しめるお店です。

「ドゥマゴ」は、パリのサンジェルマン・デュプレ教会近くにあるカフェで、サルトルやヘミングウェイが常連だったとされるお店です。
(パリに行ったとき、その「ドゥマゴ」を見てきました)
 日本に、そのドゥマゴが出店したのは、文化の発信地である「bunkamura」でした。
 東急本店横のエスカレーターを下りていくと、みどりの色調のインテリアの、落ち着いたお店が見えてきます。
 当時私は、友人たちとよく、ここのパティオでパリのエスプリを感じながらお茶を楽しんだものです。
 気鋭の作家、中原昌也などが受賞した「ドゥマゴ文学賞」なる文学賞も、ここから生まれました。
 当時は、「カフェ」という響きには文化的香りが漂っていたものです。
 
 そんなカフェが変革していったきっかけは、アメリカ・シアトルのスターバックスの日本上陸でした。
 スタバは、ドゥマゴ、オーバカナルなどを遙かに凌駕するほどの大衆性で、日本人に気軽においしい珈琲を楽しむきっかけを作ってくれたのです。
 以後、気軽に手軽に入れるカフェが日本中に氾濫していきます。
 そうなるともう、文化的香り云々などは、遙か遠い昔のおはなしになってきました。
 これからは、そして今は、そういった文学やアートの語らいを発信する場所はどこになっていくのでしょうか。
 
 本棚の片隅から、日に焼けて色あせてしまったドゥマゴの包装紙を見つけ出し、眺めながら、ふとそんな、あれこれを考えている、昼下がりの午後です。

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「子どもと大人を楽しくつなぐ─絵本読み聞かせ講座」のお知らせ

2008年09月04日 | Weblog
 9月11日(木)から毎週木曜日に、10回の絵本読み聞かせ講座が始まります。
 主催及び開催場所は、中央区にある「区立日本橋図書館」です。
 講師は、
 ・ 小松崎進さん(この本だいすきの会代表) 
 ・ かさいまりさん(絵本画家)
 ・ 野坂悦子さん(翻訳家・紙芝居文化の会会員)
 
 ・ コーディネーター兼講師は、後路好章さん(アリス館元編集長・大学講師・作家)
 
 中央区の区民以外の応募枠がでたので、まだ少し余裕があるそうです。
 詳細は中央区のホームページ「新着・更新情報」の区民カレッジ再募集」および「まなびのコース講座」を閲覧してください。

 講師の小松崎進さん、後路好章さん、かさいまりさんは、ご存じ、読みがたりの名手です。
 この10回の講座で、子どもたちにどんなふうに読み聞かせをしたらいいか、またどのような絵本をテキストとして使ったらいいかなど。きめ細やかなご指導と、楽しい実践を受けられること間違いなしです!
 また、オランダにお住いになっていらしたこともある翻訳家の野坂悦子さんからは、海外の子どもたちの絵本の状況や翻訳絵本の動向、「紙芝居文化の会」でご活躍されているスタンスからの、海外で人気の「紙芝居」についてなどのお話も伺えるかも知れません。
 
 人気の講座です。
 ぜひ多数の皆さまのご参加をお待ちしております。

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『O型 自分の説明書』(jamais jamais 文芸社)         

2008年09月03日 | Weblog
  お買い物にいった近所のスーパーの3階にある本屋さんで立ち読みをしていて買ってしまった本です。
 ご存じ、ただいまベストセラーばく進中の本です。

 しばらく前に『B型 自分の説明書』という本が本屋さんに平積みされていて、ずっと週刊ベストセラーの一位をとっていたのは知っていました。
 けれど本を手に取る気もなく、いつも素通りしていました。
 それをなぜ、買ってしまったか・・・。
 まずはそのことから、お話しなければなりません。
 
 まずベストセラーになった『B型 自分の説明書』は最初、500部の自費出版の本だったそうです。作者である「jamais jamais」なる人物も、そういったたぐいの専門家ではなく建築設計を生業としている人らしいです。
 それが出版してじきにベストセラー。そして次々と、A型、AB型と出版され、そのどれもがベストセラーです。
 そんなマイナースタートの本がなぜ?と、その裏側を知ってしまった私は、俄然、興味を抱いてしまったのです。
「いったい、この本にはなにが書いてあるのかしら?」と。
 そんな裏事情を知ったころ、ちょうどO型の本がでました。
 リサーチのつもりで、自分の血液型である『O型 自分の説明書』を立ち読みしていくうちに、なんだかホッペのあたりがにたにたとゆるんでいくのがわかりました。声を出して笑いそうにもなりました。
 となりで立ち読みしている人の怪訝そうな視線をビミョーに感じながら。
 そんなこんなで、私はとうとうこの本を買ってしまいました。
 この本はさまざまな O型人間から取材をして、おもしろおかしくまとめた本です。ある意味、統計学的に。
 他の血液型の本は読んでいませんが、同じO型人間である私は、読んでいてまるで「自分を分析」してもらっているようでした。
 
『自分の説明書」
 実に見事な、タイトルです。
 今という時代を生きている私たちは、いつもだれかに他者という視点から自分を分析してもらいながら自己確認して前へ進んでいくという風潮が強いような気がします。
 そうでないと、「KY(空気が読めない)」といって嘲笑されそうで。
 そんなとき、この本が「自分の説明」を客観的にしてくれるのです。
 なるほど、ヒットの理由がわかるような気がしました。

 ちなみに、O型人間は、「会話の50%擬音。話のサイズは1,5倍デカイ。縁の上の力持ち。人の顔と名前は「スゴイ覚える」か「全然覚えない」の両極端。酔ったヤツの介抱係。その場にいる一人一人の色々なものを読み取る。「心」とか「考え」とか「行動」とか。おまけに余計なものまで読み取っちゃう。「思惑」とか「本音」とか。それで疲れちゃったぁぁぁぁってなる。あいづちを打つのがうまい。駆け引きは苦手」
 そして、
「自分が得意なこと、よーく知っていること、とにかく人に教えたくて教えたくて仕方がない・・・」
 
 これを書きながら、いま私は、ひどく自嘲的な笑いを浮かべています。
 
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夏のおわりのピーマン

2008年09月02日 | Weblog
 夏のはじめに種を撒いたピーマンが、夏のおわりの今ごろ、やっと花を咲かせました。
 ピーマンの花は、白い星の形をしていて、とても可憐です。
 
 けれど、今ごろ花が咲くということは、肝心のピーマンができるのはいったいいつのことやらと、気の遠くなるようなおはなしです。
 とにもかくにも花が咲いたということは、いつかは実がなるということです。
 気長に待つことにいたしましょう。
 なにかが実をつけるというのは、たとえどんなものでもうれしいものです。
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降るような虫の音

2008年09月01日 | Weblog
 今日から9月です。
 日が落ちると、草むらから虫の音が聞こえてくるようになりました。
 数年前、テレビ局がやってきて超高層マンションの住み心地などをインタビューされたことがあります。
 そのとき、「音というのは上にあがる習性があって、秋になると隣の公園から聞こえてくる虫の音が、まるで空から降ってくるように聞こえることがあります」と、いささか大げさな物言いで、身振り手振り説明したことがあります。
 すると、スタジオにいた人たちが、「虫の音が降ってくる」という私の言葉に興味をしめし、「虫の音が降るって、どういうイメージだろう」と大騒ぎになったことがありました。
 
 虫の音が聞こえるころになると、いまでもときどきあの時のことを思い出すことがあります。
 降るような「虫の音」
 虫の音は、草むらから上にあがってくるのがほんとうです。
 でも耳をすますと、虫の音は下からではなく、天から降ってくるように聞こえるから不思議です。
 
「虫時雨」(むししぐれ)という言葉があります。
 この言葉も「時雨」ですから、やはり空から落ちてくる時雨と虫の音を重ね合わせ、イメージして生まれた言葉かも知れません。
 
 それにしても、秋の夜長に虫の音を楽しむ・・・。
 昔からの、日本人ならではの、風流な楽しみ方ですね。
 
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