20階の窓辺から

児童文学作家 加藤純子のblog
毎日更新。児童文学情報・日々の暮らし・超高層からの眺望などニュース満載。

セイタカアワダチソウ

2013年10月31日 | Weblog

           

 セイタカアワダチソウが咲いています。

 お台場が、まだ埋立地として荒れ野だったころ。

 私は日野啓三の『夢の島』(講談社文芸文庫)の世界に惹かれ、大井町からバスにのって東京湾の埋立地を通り抜けたことがあります。

 あのころは、あの場所がこんな近未来都市になるなんて、夢にも思いませんでした。

 

 あたりにはゴミが積み上げられ、カラスがそのまわりを回っています。

 荒廃としたその場所に一本だけ出来ている道を、曇り空の下をバスはひた走ります。

 ふと、遠くをみると黄色いセイタカアワダチソウの群生が・・・。

 無機質な埋め立て地で、はじめて見た色彩でした。

 そのとたん、脳裏をかすめたのがルース・クラウスと、マーク・シーモントの名作絵本『はなをくんくん』(福音館書店)です。

 

 いまでも、セイタカアワダチソウをみるたび、絵本の、冬眠から目覚めた動物たちの顔や、荒涼とした東京湾の埋め立て地の光景を思い出します。

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マスキングテープ

2013年10月30日 | Weblog

            

 近頃、作家の友人たちがご本をご恵贈くださるとき、茶封筒にとってもステキなテープが貼ってあります。

 あるとき、

「あのテープ、とってもおしゃれで、ステキね」

 と、その作家の友人に言ったら、

「あら、ジュンコさん、マスキングテープといって、いま流行っているんですよ」

 さっそく、その友人がマスキングテープをプレゼントしてくれました。

 ムーミンプレミアコレクションで買ってくださったようで、ムーミンの物語世界が展開している、かわいいテープです。

 でも私ときたら、茶封筒にガムテープ代わりにそれを貼るのがもったいなくて・・・。

 大事にしまっていたら、いまやほんとうにマスキングテープブームだということを、銀座ハンズにいって知りました。

 

 花柄や、ストーリー仕立てになっているもの。

 カラフルなマスキングテープが並んでいます。

 どうやら、このテープ、さまざまな遊びに使えるようです。

 

 さっそく私も、そのお友だちにいただいたムーミンのテープで、「マイ・クリアフォルダー」を作ってみました。

 そしてハンズで買ってきたテープでは、空き瓶の小物入れを。

  まさに、にわかガール気分です☆

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『飛ぶ教室』35(光村図書)2013秋

2013年10月29日 | Weblog

          

『飛ぶ教室』(光村図書)2013年秋号が、発売されました。

 今号のテーマは<『飛ぶ教室』の世界>

 ケストナーの名作『飛ぶ教室』の作品が誕生し、今年で80年だそうです。

 それを記念しての特集です。

 その『飛ぶ教室』については、今江祥智さんと、ドイツにご家族が在住されている那須田淳さんが、言及されています。

 短編の執筆者は、↓の方々です。

 魚住直子さん・くぼひできさん・濱野京子さん・東直子さん・最上一平さん。

 

 私は児童書の書評を担当しています。

 今回のメインの書評は

『かさねちゃんにきいてみな』(有沢佳映作・多田玲子画・講談社)

 

 他3編は、以下の作品です。

『ねむの花がさいたよ』(にしがきようこ作・戸田ノブコ絵・小峰書店)

『アサギをよぶ声』(森川成美作・スカイエマ絵・偕成社)

『かあちゃん取扱説明書』(いとうみく作・佐藤真紀子絵・童心社)

 

 どうぞ皆さま、お読みになってください。

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「いま、フランスの子どもの本は?」

2013年10月28日 | Weblog

 一般社団法人日本ペンクラブは、国際子ども図書館との共催で、世界各国の児童書に関するイベントを「シリーズ・いま、世界の子どもの本は?」と題して開催しています。シリーズ第7回は、「いま、フランスの子どもの本は?」として、11月16日(土)にフランスの子どもの本の現在と、その魅力をご紹介する講演会を開催します。

 

 日時 11月16日(土)14時~16時

 主催 一般社団法人日本ペンクラブ、国立国会図書館国際子ども図書館

 場所  国際子ども図書館3Fホール

(〒110-0007 東京都台東区上野公園12-49)

 

 講師:

 コリーヌ・カンタン氏(フランス著作権事務所代表取締役)

 河野万里子氏(翻訳家。上智大学非常勤講師)

 司会:森絵都(日本ペンクラブ「子どもの本」委員会委員長)

 多数の皆さまのご参加をお待ちしております。

  詳細・お申込方法等は国際子ども図書館ホームページ

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満壽屋(ますや)の原稿用紙

2013年10月27日 | Weblog

          

 もうかれこれ40年近く前、作家修業のときに愛用していた原稿が、「満壽屋」の原稿用紙です。

 文章もなにもかもへたくそなくせに、コクヨの原稿用紙では美意識が許さず、伊東屋へいっては、ちょっと横長のオレンジ色のマス目が引いてある、それを買っていました。

 

 当時私は「わっせ」という同人誌をやっていたのですが、その満壽屋の原稿用紙に作品を書いては、合評会で読んでもらうために同人に送付していました。

 ところがある日、同人のひとりに「あんな大ぶりな原稿用紙じゃ次の人に送るのに、お金がかかってしょうがない。コクヨのにして」と言われ、ハッと気づきました。

 悦に入っているのは自分だけ。

 仲間たちに迷惑をかけてしまっていたのです。

 コクヨにして数年が過ぎ、ワープロの時代になっていきました。

 私もひらがな変換で、東芝の「RUPO」を使い始めました。その当時ワープロは感熱紙のため、書いた作品が2~3年すると消えてしまい、まったく読めない状態になってしまいました。

(余談ですが、二十数年前、夫に頼まれてワープロで打ち直した親戚関係の大事な書類があったのですが、1~2年して気づいたら感熱紙の文字がうすくなりはじめていました。大事なものなので、現物と共にあわててそれをコピーして保存し直したことを思い出します)

 ですからそれ以前の満壽屋の原稿用紙に書かれた生原稿だけは、お引っ越ししたあともベッドルームにある古い机の引き出しにつっこんでおいてそのまますっかり忘れていました。

 

 ところが先日、鳩居堂にお懐紙を買いにいって、その満壽屋のお手紙用の小さな原稿用紙を見つけたのです。

 その瞬間若かったあの頃が、走馬燈のように脳裏を駆け巡りました。

 帰宅して、すぐに古い机の引き出しをひっぱりだしてみました。

 そのとたん、恥ずかしくなるような肉筆のなつかしい文章が目に飛び込んできました。

 未完のままのもの、すでに本になったものの原型の作品。

 断捨離の出来ない私は・・なんとその机の引き出しをずっとそのままにしていたのです。

 そこに、原石は眠っていないか。

 今度、時間があるときに整理してみようと、満壽屋の原稿からひょんなことへと思考がひろがっていった午後でした。

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2013年10月26日 | Weblog

         

 その名のとおり、キツネの顔をしたような果実です。

 ナス科の植物らしいですが、実際には果実に毒があるので、食べられないそうです。

 あくまでも観賞用の、キツネの顔。

 

 メルヘンのお話でも生まれそうな、すがたかたちをしています。

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秋の水辺

2013年10月25日 | Weblog

        

 慌ただしくしていたら、萩の季節もおしまい。

 近所の萩寺で可憐でうつくしい萩の花を愛でるのが、秋のお楽しみだったのですが、うっかりしている間に季節をすぎてしまいました。

 折り折りの季節を意識していないと、こういうことになってしまいます。返す返すも残念です。

 

 秋もそろそろ真っ盛り。紅葉までには、まだ時間がかかりそうですが・・・。

 水辺も、夏のそれとは違う静謐さを漂わせています。

 

 また、台風が近づいているようです。

 皆さま、雨にお気をつけてください。

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新刊5冊ご紹介 

2013年10月24日 | Weblog

 今日は都合により、5冊の新刊のご紹介をいたします。

         

『エール』(濱野京子他5名・講談社)

 5人の作家がYA世代に贈る、読むと元気になるアンソロジーです。この本は『ハピネス』と対になって、YA!エンターテインメントの10周年記念として出版されました。

 このなかで『わたしの青』(濱野京子作)をご紹介いたします。『レガッタ!』シリーズのなかの登場人物「三浦琴美」が主人公のお話です。

 主人公の飯塚有里の一年後輩の「琴美」は、『レガッタ!』の中ではそれほど大きく目立つ存在ではありません。

 この琴美が見つめている眼差しや自分自身のすがた、そしてボーイフレンドのことなどが、この物語では綴られていて、角度を変えて人間を見つめたおもしろさがあります。これを読んで『レガッタ!』シリーズのファンが増えそうです。

 いわば『レガッタ!』の外伝というべき、もうひとつのドラマが、ここにはあります。

 

           

『がむしゃら落語』(赤羽じゅんこ作・きむらよしお絵・福音館書店)

  意地悪トリオの策略にはまってしまった、いじめられっ子の「雄馬」は、その場所で落語家と出会います。その落語家はだらしない売れない落語家です。

 でも、やることなすことがおもしろい。

「特技発表会」で落語をやることになってしまった「雄馬」はガールフレンドの「早川」に背中を押されながら、「笑八」に弟子入りすることに・・・。

 そんな「笑八」とのからみがとてもおもしろいです。ぽんぽん飛び出すダジャレ。インスタントラーメンの中にご飯を入れて食べるライスラーメン。

 昇進できない、さえない落語家の「笑八」がとてもいい味を出しています。ラストは思わず「カッコいい!」と。

 また赤羽さんご自身、しっかりと落語を研究されてこのご本を書かれているので、落語そのもののおもしろさも満喫できます。

 ラスト、「特技発表会」で窮地におちいった「雄馬」がとった行動とは!

 

        

『光のうつしえ』(朽木祥作・講談社)

  被爆二世である朽木祥さんが描いた話題作『八月の光』に次ぐ、「ヒロシマ」を描いた作品です。

 この『光のうつしえ』で、主人公の「希未」は、いままで知らなかった「あの日」・・原爆投下された日からの人びとの生きるすがたを、身近な大人たちを通し、確かなものとしてつかみとっていきます。

 この作品は、朽木さんのいわば「ヒロシマ」集大成ともいえる力作です。

 場面はうつくしい燈籠流しのシーンからはじまります。そこで声をかけてきたひとりの老婦人。

 記名のない白い燈籠を流し続ける母親のすがた。お墓参りで出会った美術教師のうしろすがた・・・。

 そういった小さな謎とも思えるシーンを重ねながら、それが大きな波となり、うねりとなって、「今」を生きる少女・少年たちの胸に「あの戦争」を想起させます。

 折り折りに、はさみこまれた手紙と見知らぬ人の新聞に投稿された短歌。

 それらが、「戦争」のむごさ、悲しさを突きつけます。

 祈りにも似た、作者の確かな筆の力に、ラスト、泣きました。

 

          

 『滝の湯へいらっしゃい』(佐々木ひとみ作・jyajya絵・岩崎書店)

 お母さんが骨折し入院してしまったため「かえで」は、古びた温泉街で旅館の「大おかみ」をしているおばあちゃんのところへやってきます。

 そこで出会った、ひと夏のふしぎであたたかな物語です。

 温泉街の下駄の足音や、湯の香り。にぎやかさ。そんな温泉特有の雰囲気が叙情性豊かにたっぷりと描かれています。

 ある日「かえで」は、賑やかな温泉街の外れにある共同浴場にやってきます。ここは「滝の湯」といって、年にいちど、神様が入りにくるとされている温泉なのです。

 この「滝の湯」で「かえで」はひょんなことから、番台を手伝うことになります。はてさて「滝の湯」を守る「糸子ババ」の正体はいかに!

 湯の森温泉で「特別な夏」をすごした「かえで」の成長と、「おみょうにち」という言葉。

 それらが読み終えて胸をほっこりとさせます。

 

 

             

『すすめ!近藤くん』(最上一平作・かつらこ絵・WAVE出版)

 いつも「近藤くん」は騒々しいです。でもひとりで本を読んでいる「北山あいちゃん」のことが気になって仕方ありません。あいちゃんは、目がちょっとだけつりあがっていてオオカミのようなクールなひとみをしている、一匹オオカミ的な女の子です。でも「近藤くん」はその目にシビレているのです。

 そんな「近藤くん」は、なんとしてもあいちゃんの視線をこっちに向けたくて、さまざまな破天荒ぶりを発揮します。

「これでもか、これでもか」という近藤くんの健気なひたむきさは、あまりにもおかしくて大笑いしてしまうくらいバカっぽいです。それなのにちょっとだけカッコいいです。まるでデフォルメされた作者の一平さんのよう・・・。(笑)

 その彼の筆は、中途半端なところでは止まりません。どんどん突き進んでいきます。あいちゃんにつかまえてあげたあまがえるを見せていて、勢い余ってベロに乗せた近藤くんがそれを飲みこんでしまうのです。

 みんなは大騒ぎ。「近藤くんがあまがえるを食べちゃった」と。そこでの近藤くんの表情の描写。ラスト、あいちゃんに救済してもらった近藤くんの表情や言葉にはペーソスさえ漂っています。読者を大笑いさせながら、こうした着地に持っていく最上一平は、やはりただ者ではありません。

  皆さま、この5冊、お読みになってください。

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イヤホン

2013年10月23日 | Weblog

        

 ずいぶん長いこと愛用しているiPod。

 パソコンにインストールしているクラシックからポップスまで、あらゆる音楽がここに入っています。

 

 外出するときは、これを聴きながら地下鉄に乗っています。

 ところがある日、どうもイヤホンの調子がおかしく、音が出たり消えたり・・・。

 そんな話を夫にしたら、「イヤホンなんかいくつも持ってるから、あげるよ」と、先日新しいiPhoneに替えたばかりの、そのイヤホンを私にくれました。

 もらったイヤホンに替えたら、いままでの音が嘘のよう・・。

 きれいな重低音が響きます。

 いままでがなんだったのかしらと思ってしまうくらい。

 

 これでまた、会議などでお出かけする電車の中が楽しくなりました。

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朝の月

2013年10月22日 | Weblog

         

 月は夜にながめるもの・・。なんて、きまっていません。

 朝おきて空をみあげたら、西のかなたにぽっかりと満月が浮かんでいます。

 

 夜の満月とは、印象がまったくちがいます。

 夜の月は、さまざまな魅惑的な表情で私たちを誘います。

 川面に映る月。杯に浮かぶ月・・・。

 満月を待ちながらすごす夜は、時間がとまってしまったようです。

 けれど、朝の月はまったく別な顔を私たちに見せています。

 白日の下に晒される。という言葉がありますが、朝の月がまさにそれです。

 夜のあいだにまみれた檻をひきうけ、闇をくぐり抜け、すべて浄化された朝の月からは、なぜかすがすがしささえ感じます。

 

 お向かいの空には太陽。

 月と太陽が向き合う瞬間です。

 

 今日は夕方から、神楽坂で日本児童文学者協会の理事会です。

 その前に、銀座の兜屋画廊にうかがって、今日からはじまる弥延潤太さんの陶芸展を拝見します。

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