20階の窓辺から

児童文学作家 加藤純子のblog
毎日更新。児童文学情報・日々の暮らし・超高層からの眺望などニュース満載。

こんな日には。

2008年09月20日 | Weblog
 ベランダのコスモスの花が傾いでいます。
 空は晴れてきましたが、まだ台風の名残りの強い風がふいています。
 雨に洗い流された空は青く高く、どこまでも澄み渡っています。

 こんな日には、村上春樹が「精神的な借りがあり」、どこかで「個人的なケリをつけなくちゃならない」と書いている、ヴォネガットのことを、私も思い出します。
 とてもシニカルで、けれど比喩の上手な作家として。
 ヴォネガットは『猫のゆりかご』などで知られるアメリカの作家です。
 私は春樹のように、「精神的な借り」があるわけでも、すごい影響を受けたわけでもないので、ふいに天井からシャワーの水が落ちてきたくらいの気まぐれさで、思い出すだけですが。
 強い風にふかれながら。

 それにしても、ソフィストケートされた比喩というのは、どんなふうに鍛えたら生み出せるものなのでしょうか。
 まるで、空気を吸って吐き出すようにごくあたりまえに、あんなステキな比喩が、空から落ちてくるものなのでしょうか。
 読みながらつい、赤ペンで線でも引きたくなるような比喩を書く作家の作品を読んでいると「これはもう、資質の問題なのかもしれない」と、絶望的な気持ちになることがあります。
 それでも、本を読み、意識的に、気になる言葉やセンテンスを拾いあげ、感性を鍛え上げ・・・。

 そんなことを考えているのは、心が落ち着かないからです。
 朝早くから、娘が病院に検診に行っているのです。
 
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北句会

2008年09月19日 | Weblog
 昨晩は3ヶ月ぶりに北句会にお邪魔してきました。
 久しぶりの句会はとても楽しかったです。今月の兼題は「風」でした。
 出席者は9名でしたが、欠席のため投句された方々の分をあわせると12名分(12×3=36句)の俳句が集まり、それぞれについて丁寧で楽しい選評が繰り広げられ、作り手の思惑と実際の評価の違いに爆笑したり、とても楽しい時間でした。
 それでは昨晩の天・地・人をご紹介します。

・天(一等賞)
 かや原に銀の一刷(ひとはけ)風(かぜ)一陣   茶々

・地(二等賞)
 幼児(おさなご)の足には軽し秋あかね  海恋

・人(三等賞)
 目の前の一瞬の風秋あかね        悠久

・人(三等賞)
 逆風(ぎゃくふう)もあるが人生稲の花  高笑
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階段のぼり

2008年09月18日 | Weblog
 昨晩の「Beー子どもと本」の例会の折り、「階段をのぼりおりをさせたり、動かせないと、なかなか産まれませんよ」と皆さんに言われ、早々に帰ってくるやいなや、昨晩は帰宅の早かった娘の夫と娘に、「早く産まれるように、ふたりでのぼってらっしゃい」と、階段のぼりをけしかけました。
 ふたりは、キツネにつままれたような顔をして、それでもマンションのなかにある非常階段を28階までのぼって帰ってきました。
「やっぱり20階より28階の方が夜景がきれいだった。それに久しぶりに階段をのぼったので、足ががくがくしちゃった」と、うっすらとひたいに汗をかいた娘が、のんびりした声で言いました。
「運動するって、気持ちいいでしょ?」
 私の言葉に、娘はうなずくと
「明日、検診で入院させられなかったら、またやるわ」
 出産予定日である今日のことを考えながら、ちょっと清々した顔で言いました。
 そして今朝も朝食前にふたりで、階段のぼりを実践してきたようです。
 そんな娘たちをみながら、もっと早く「階段のぼり」に気づいていればと悔やみました。
 病院の検診では近いようではありますがまだということで帰されてしまったようです。
 でも先生に
「今日が予定日だから早く産まれるように、おまじないをしておいたよ」
と、おまじないをしていただいたそうです。
 入院できず帰されて、娘は、よほどがっかりした顔をしていたのでしょう。
 
 その階段のぼりと言えば、私も一時、ダイエットのためにやったことがあります。エレベーターで1階まで下りて、20階までのぼってくるのです。
 慣れれば、20階までの階段のぼりなんて、軽いものです。
 わずか、5~6分でのぼれてしまうのですから。
 思い起こせば、毎日の階段のぼりが4ヶ月くらい続いたでしょうか。あのときは2キロくらいは痩せたかもしれません。
「そうだ!階段のぼりだ!」
 娘の出産にむけての階段のぼりの発想から、私は思いがけず五年ほど前にやっていた階段のぼりを思い出していました。
「暇になったら、またダイエットのために、階段のぼりを始めよう!」
 これぞまさに、「ひょうたんから駒」の思いつきでした。

 そんなわけで、娘が「いつも通りにしてて」というので、お夕食のしたくをしたら、夜は久しぶりに句会にお邪魔しようと思っています。
 これから俳句作りです。
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なつかしい仲間たち

2008年09月17日 | Weblog
 昨日の会議には、すごくなつかしい面々が顔を揃えていました。
 日ごろから仲よしのKTさんやOKさんMSさん。会議にはご都合で出席できず、次の会からお顔をみせてくれた仲よしのKSさんなど。そして極めつけがMIとTH。
 部長のKRさんが「小学校の同窓会みたいだな」と、笑っていたように、MI、TH、私、三人が顔をあわせて一緒の会議にのぞむなんて、いったい何十年ぶりでしょう。
 30年来の友人であるおふたりは、それぞれがまだすごく若かった頃からのお仲間です。
 そのころは、毎年秋になると本郷にある、むかし修学旅行生たちが宿泊した古めかしい旅館に集まって、「季節風」の大会をやっていたのです。
 お互いの名前を、フルネームで呼び捨てあって。

 もうあれから二十数年たつというのに、私たちはいまだ、「TH」、「MI」と呼び捨てにしています。彼らも私のことを「カトウジュンコ」と呼び捨てにして。
 お互い、それなりに年を取ったし、髪も薄くなり、体型だって変わってきています。でも心の中はあのころのまま。
 また、あのころのノリと盛り上がりで、なつかしい仲間たちとわいわいやることになりそうです。 


 今夜は6時から神楽坂の事務局で、「Beー子どもと本」の定例会です。
 隔月にやっているこの研究会の、今月のテクストは『体育座りで、見上げて』(椰月美智子著 幻冬舎)です。
 事務局のカギを預かってきたので、娘の様子をみながら、ちょっとだけ出席しようかと思っています。
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正しくない夏休みのすごし方

2008年09月16日 | Weblog
 娘がまだ出産の気配がないので、今日は朝からお夕食の支度をして会議に出かけようと思っています。
 午後2時からは児文協の出版企画部の部会へ。その後、夕方5時からは同じく児文協の運営委員会です。
 
 夏のあいだは、さほど会議もなく静かな日々でした。しかし夏もおわり、いろいろが稼働しはじめてくると、とたんにせわしない気分になります。
 町は、夏も秋もなく変わらず動いているというのに、この年になってもなお、私にとっての夏は、いつだって特別な時間です。
 
 日常はいつでも、どこか強迫観念のようなものに追いつめられながら格闘しているというのに、夏になるとなぜか、「夏休みなんだもん」と言い訳みたいに時間を無為に過ごす習性があります。
 夏休みの、ゆったりとした空気感のなかを漂っている自分がいます。
 やらなくてはならない宿題が、ふたつもあるというのに。
 そうしては、秋の今頃になると、無性に焦った気持ちになります。
『ライ麦畑でつかまえて』の、ホールデン少年のように。
 おちこぼれみたいな心境で。

 そんな愚かしいことのくり返しをしながら、私はいったい何回、夏を見送ったというのでしょう。
 
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「子どもの本・九条の会広島 設立総会準備会」からのお知らせ

2008年09月15日 | Weblog
 昨日、「子どもの本・九条の会 広島」設立準備会から、東京の「子どもの本・九条の会」宛てにメールをいただきました。
 メールをくださったのは、広島在住の児童文学者のMさん。
 Mさんは、4月20日の渋谷で行われた「子どもの本・九条の会」設立のつどいへ、わざわざ広島からお越し下さり「ぜひ、広島でも!」と会場から発言なさっていました。
 そしてとうとう、一歩を踏み出すことになったようです。
 ここで「子どもの本・九条の会広島」に代わり、宣伝告知させていただきたいと思います。

・2008年11月2日(日)広島国際会議場にて、
 日本一ユニークで面白い宮沢賢治論を語られる、東大教授で九条の会事務局長の小森陽一さんに、「宮沢賢治と憲法のこころ」(仮題)と題して講演していただくそうです。
 お問い合わせは、「子どもの本・九条の会広島」まで
  ℡ 082-221-0435 (先着120名まで)

 また関連した催しものとして、
・「図書館から世界が見える」
 2008年9月20日(土)13:30~
 広島市立図書館・広島大学図書館提携記念講演会
 講演1 図書館からの贈り物ー文化人類学の立場から
        講師  高谷紀夫氏(広島大学副理事)
 講演2 『ハックルベリー・フィンの冒険』から見えるアメリカ
        講師  田中久男氏(広島大学図書館長)
 申し込み広島中央図書館 080-222-5542

 またさらに、子どもの本・九条の会広島では、いま設立総会の準備をしていますが、その設立の会のメインである講演の講師が決まったそうです。
 井上ひさしさんです。井上さんはご存じ、九条の会の立ち上げ人のお一人です。また『井上ひさしの子どもにつたえる日本国憲法』(講談社刊)などで、ひろく九条の大切さを訴えている作家です。

 余談ですが、先日の朝日新聞「ひと」の欄に、歌手の沢田研二さんが還暦に九条を歌うとして取り上げられていました。いまの日本の状況を「窮状」となぞりながら。
 様々な人たちが、問題意識を共有しあい、九条を守る運動をこつこつと積み上げています。
 広島のお近くにお住いの方、ぜひ、ご参加ください。
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ピーマン

2008年09月14日 | Weblog
 星の形をした白い花が咲いたと喜んでいたベランダのピーマンが、まるでアニメーションフィルムを見るようなスピードで、実をつけました。
 数えただけで10個もの青々としたみどりの実を見つけました。
 さぁて、これでなにを作りましょうか。
 生で食べられそうな柔らかさです。
 焼いたり、炒めたりするのはもったいないので、ピクルスにでもしましょうか。
 大葉(紫蘇)も,食べても食べても、次々と新しい葉っぱを繁らせています。青みの散らし用にと、いろいろと便利に使っています。
 昨晩もあさりとタマネギの酒蒸しガーリックバター炒めの仕上げに、千切りにした大葉を散らしましたし。
 また、独特な香りと甘みのある、細くて小さなポロ葱もだいぶ大きくなってきたので、今夜は焼き肉で、ポロ葱にお肉を巻いて、たっぷりレモンを絞ったお醤油で食べましょうかと話しているところです。

 植物たちは折々に、私たちにこんなにたくさんの喜びをプレゼントしてくれています。
 こんなささやかなベランダガーデニングと言えども、捨てたものではありません。
 
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H&M

2008年09月13日 | Weblog
 今日は三越本店に買い物があって出かけたついでに、ミーハー根性での物見遊山で本日オープンの銀座「H&M」に立ち寄ってきました。そう、ここ数日マスメディアで話題の、あのお店です。
 ところが、なんとお店に入店するのに4~5時間待ちとか。なんと行列が2キロにわたってできているらしいです。思わず笑ってしまいました。
 
 近頃銀座は、世界の超有名ブランドの、まばゆいばかりの路面店が建設されていると思いきや、こうしたリーズナブルなお店も台頭してきています。
 ユニクロも4丁目に路面店を構えていますし、「H&M」と同じくリーズナブルさとファッション性をコンセプトにして世界中で人気の「ZARA」も、すぐ近くに路面店を構えています。
「H&M」はスウェーデンのお店。「ZARA」はスペインのお店です。
 ニューヨークでもパリでもない、いわばいままでのファッションの流れから見たら異端な国で生まれたファッションが、そのリーズナブルさで世界中を席巻しているようです。

 ユニクロは、私もパジャマや下着など愛用していますし年齢層に関係なく、その品質のよさからファンが多いです。
 けれど、H&MやZARAは、いわゆる「アラフォー世代」や「アラウンド30世代」限定のカジュアルファッションのお店なのかもしれないと、並んでいる人たちを横目で見ながらそう思いました。
 世界経済のグローバル化の影響か、近頃はファッションも多用性を帯びてきました。安いだけでなくファッション性も高いというのは、買う側からすれば、ウェルカム以外のなにものでもありません。
 ファッションというのは楽しくもあり、また難しくもあるものです。
 いままでお気に入りだったお店が、急に遠く感じられるようになったり、敷居の高かったお店が突然、身近に感じられたり・・・。
 突然いまのファッションがひどく陳腐に思え、途方に暮れる瞬間が10年に一度くらいは必ず訪れます。
 ここ数年の私自身の贔屓はと言えば、もっぱら神宮前にある「HIROKO KOSHINO」です。いまの年齢を輝かせるファッションをと考えていて、このお店のデザイン性にハマってしまい、それ以来ずっとです。
 またいつか「どうしよう。似合わない・・・」と途方に暮れる瞬間を向かえる日までは、もうしばらくは続きそうです。
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絵本 きらめく

2008年09月12日 | Weblog
 朝日新聞の夕刊で、すでに12回(今夜で13回目)にわたり、「ニッポン人脈記」の(絵本 きらめく)がシリーズで掲載されています。
 
 これがとてもおもしろい。
 私は毎日、夕方になるとこのシリーズを楽しみに、新聞受けをのぞく習慣がついてしまっているくらいです。
 日ごろ存じ上げている絵本画家の皆さんのご紹介かしらと思いきや、さにあらず。このシリーズの基本テーマは「人脈」です。ですから、単なる紹介にとどまることなく、とても幅広い視野からの「絵本」についてのあれこれが語られているのです。絵本の裏側や歴史などを知ることができ、とてもおもしろいシリーズになっています。
 しかし読んでいて思うのは、同じ児童書である「児童文学・読み物」は、なぜ、こういった形できらびやかに登場させてもらえないのだろうかということです。
 
 2000年、子ども読書年に発足した「子ども読書推進会議」(野間佐和子代表・他に運営委員は松居直氏、猪熊葉子氏、笠原良郎氏、小峰紀夫氏など)というのがあります。私は発足当初から、そこに企画委員として参加していました。(ここ二年は、K理事代表が出席してくださっています)
「子ども読書推進会議」は子どもの読書環境の整備ということで生まれた、児童書に関わるあらゆる団体で組織されたものです。
 具体的な取り組みのメインになっているのが、全国規模で展開される「絵本ワールド」です。
 この「子ども読書推進会議」には、電通や博報堂といった大手の広告代理店なども企画委員として会議に加わっていらっしゃるので、「絵本ワールド」もその人たちが中心に参画しています。
 いつだったか、児文芸の元理事長のOさんと、その会議の席で、「児童文学、読み物についても、そういった企画をいつか取り組んでいただけないでしょうか」という提案をしたことがありました。
 しかし、児童文学といった読み物より、絵本の方が、ある意味子どもたちへの吸引力があるようで、返答はあいまいなまま立ち消えになってしまいました。

 同じ児童書の世界の人間として、こうして絵本の世界が、その人脈もふくめて取り上げられることは、大変喜ばしいことです。うれしいことです。
 しかしあらゆる場面に絵本は入っても、「児童文学」という文字だけは概して、ひとカケラも入ってこないことに、一抹の寂しさを感じるのは、私だけでしょうか?
 
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Swingle Singers

2008年09月11日 | Weblog
 日ごろ私は、ほとんどのお気に入りの曲をパソコンにインストールして、仕事をしながら聴いています。
 
 窓から流れてくるすっかり秋めいた風に吹かれながら、パソコンから流れてきたのは「Swingle Singers」のバッハでした。
 春先に、息子からプレゼントしてもらったものです。

「Swingle Singers」というのは、ずいぶん古いむかしフランスで生まれた、モダンジャズにクラシックの手法を取り入れたスキャットコーラスのグループです。
 洗練されたハーモニーの「Swingle Singers」の歌声は、秋のさわやかな風を思わせてくれる心地よさがあります。美しいコーラスは、秋のもの悲しささえ感じさせてくれます。
 そして彼女たちの代表作であるバッハの「平均律クラヴィーア曲集」は、バッハをとても軽やかに、親しみやすく聴かせてくれます。
 
 それを聴きながら、ふと、もう40年近く前の古いレコードを思い出しました。「Swingle Singers」と「モダン・ジャズ・カルテット」(MJQ)がコラボレーションしている『VENDOME』というレコードです。 
 そのレコードを取り出すと、私は久しぶりに聴いてみることにしました。
 MJQのヴィブラフォンと、Swingle Singersが奏でるバッハの、ジャズ風「アリア」は、切なく、美しく、力強く、それでいて現代音楽のおしゃれなエスプリを身にまとっていてステキでした。

 やっぱり本物というのは、長い年月を経てもなお、人びとの胸に生き続けるものなのだと、すっかり色あせてしまった古いレコードジャケットを眺めながら、あらためてそんなことを考えていました。 
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