20階の窓辺から

児童文学作家 加藤純子のblog
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カフェと文化

2008年09月05日 | Weblog
 普段私は、あまり、カフェなどで時間つぶしをするタイプではありません。
 せいぜい、お友だちとお茶をするくらい。
 カフェと言えば、近頃は街中のどこを見渡してもちょっとコじゃれた、おいしい珈琲などを飲ませてくれるお店で溢れています。
 スタバなど、私がいつも行くスーパーにも入っているくらいです。
 
 こんなふうに、町中にカフェが氾濫するずっと前。
 もうかれこれ20年くらい前でしょうか。
 当時、パリの文化の香りのするカフェとしてお気に入りだったのが、渋谷のbunkamuraにある「ドゥマゴ」と、銀座の泰明小学校前や、原宿の神宮前にあった「オーバカナル」です。
 いずれも、カフェとおいしいブランジェリーを楽しめるお店です。

「ドゥマゴ」は、パリのサンジェルマン・デュプレ教会近くにあるカフェで、サルトルやヘミングウェイが常連だったとされるお店です。
(パリに行ったとき、その「ドゥマゴ」を見てきました)
 日本に、そのドゥマゴが出店したのは、文化の発信地である「bunkamura」でした。
 東急本店横のエスカレーターを下りていくと、みどりの色調のインテリアの、落ち着いたお店が見えてきます。
 当時私は、友人たちとよく、ここのパティオでパリのエスプリを感じながらお茶を楽しんだものです。
 気鋭の作家、中原昌也などが受賞した「ドゥマゴ文学賞」なる文学賞も、ここから生まれました。
 当時は、「カフェ」という響きには文化的香りが漂っていたものです。
 
 そんなカフェが変革していったきっかけは、アメリカ・シアトルのスターバックスの日本上陸でした。
 スタバは、ドゥマゴ、オーバカナルなどを遙かに凌駕するほどの大衆性で、日本人に気軽においしい珈琲を楽しむきっかけを作ってくれたのです。
 以後、気軽に手軽に入れるカフェが日本中に氾濫していきます。
 そうなるともう、文化的香り云々などは、遙か遠い昔のおはなしになってきました。
 これからは、そして今は、そういった文学やアートの語らいを発信する場所はどこになっていくのでしょうか。
 
 本棚の片隅から、日に焼けて色あせてしまったドゥマゴの包装紙を見つけ出し、眺めながら、ふとそんな、あれこれを考えている、昼下がりの午後です。

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