4月は新入社員研修のハイシーズンです。オフィス街では「昨日まで学生、今日から社会人」となった若者たちの集団をよく見かけます。当社も研修会社として、「学生から社会人へ」というとても大きな転換の場に立ち合う日々が続いています。
新入社員研修のスタートは、社会人としての自覚を持つことから始めます。そして、組織で働くために必要なマナー、知識、スキルを身につけていきます。しかし、新入社員を受け入れる一連のイベントのうち、当社のような研修会社が立ち会うことができない「場」があります。それは入社式です。
毎年、多くの企業のホームページに「今年の入社式での社長挨拶」が公開されます。そこにはあたかも「テンプレート」を使ったかのようなメッセージが書かれています・・・
皆さん、入社おめでとうございます。本日、ここに○○名の新入社員の皆さんを新しい仲間として迎えることが出来、大変うれしく思っております。また、皆さんにとってはかけがえのない仲間を得ることとなった記念すべき日でもあります。全社員を代表して、心より皆さんを歓迎します。
・・・こうした冒頭のあいさつに続き、(1)自社を取り巻く社会・経済の現状、(2)新入社員への期待、(3)新人が覚えておくべき言葉・教訓など、で終わりとなります。
「毎年同じような話で聞き飽きた」と思われたかもしれません。しかし、私はこのテンプレートのようなメッセージはとても良いものだと思っています。社長という会社のトップが、新入社員という一番の下っ端に向かって「心から歓迎します」という言葉を直接投げかけるのは、とても大事なことだからです。
そう、大事だからこそ、社長は本当に心の底から「歓迎します」と言わなければなりません。
日本人同士なら、いや、そうではなくても、その言葉に心がこもっているかいないかは誰にでもわかります。新入社員が社長の言葉を耳にして本当に心を動かされるならば、それに続く研修も職場実習も、配属後の仕事さえも上手くいきます。
研修講師として歯がゆいのは、社長がしっかりと心のこもった言葉を入社式で発したかどうかを確認できないことです。社長挨拶はテンプレートでも構いませんが、言葉には心と熱を込めてほしい、そう願わずにいられません。
経営者の皆さん、人事部門のご担当者の方々、今年の入社式の社長挨拶は成功したでしょうか?