中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

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第1,079話 小さなイノベーションのすすめ

2021年12月05日 | 研修

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

イノベーション(innovation)とは、オーストリアの経済学者ヨーゼフ・シュンペーターが著書の中で「新結合」という言葉を用いて示した概念です。その定義は「これまでの常識が一変するような新たな価値を創造すること」だそうです。その種類は次の5つであるとしています。

1.新しい製品やサービス
2.新しい生産方式
3.新しい市場・販路
4.新しい材料・資源
5.新しい組織

こうしてみると、イノベーションとはどう考えてもハードルの高い、ごく一部の大企業や先端技術を扱う大学あたりしか実現できないことのようです。しかし私は、イノベーションは中小企業であっても挑戦してみる価値のあるものだと思っています。

たとえば掃除機のルンバやダイソンは「新しい市場を作った」という意味でイノベーションだと思います。「掃除機というマーケットはすでに存在していたからイノベーションではない」と考えてしまうのは、逆にイノベーションを矮小化してしまうように思えてなりません。

ルンバやダイソンは、日本の大手家電メーカーなら簡単に作り出せたはずです。なぜできなかったかと言えば、多種多様な製品を抱えている大企業だったからです。大企業は多くの分野で他の大企業と競争しているため、掃除機のような「成長が止まってしまった」分野に人的資源を集中することはできません。しかも肥大化した組織はリスクの高い賭けを嫌います。

日本ではバルミューダのトースターが有名ですが「今までにない美味しいパンを焼くトースター」ということで「価格帯2万円以上の高級トースター市場」が生まれたので、これもイノベーションと言っても良いのではないでしょうか。

学術的な定義はこの際無視して、私はこの言葉を「小さく」してみることを提案したいと思います。

1.特に新しくはないが今までなかった製品やサービスを考える
2.普通はあまりやらないような生産方式を試みる
3.既存の市場の上位(高級品)や下位(普及品)を狙う
4.他社が使っていないような材料・資源を使ってみる
5.社長直轄のチームを作って考えさせてみる

いかがでしょうか。このくらいのスケールならば中小企業でも決して無理ではないでしょう。世の中を変えるほどの技術革新や大発明ではなくても、「小さなイノベーション」はどんなに小さな会社でもで挑戦できます。先のバルミューダは、社長の寺尾氏がロックバンドを解散してから、ものつくりを目指して独学でデザインを学び、始めた会社だそうです。

もちろんイノベーションが成功する確率はかなり低いです。おそらく1%未満でしょう。しかし、成功しなくても上記1~5を実行することで、多少なりと今の仕事に良い影響が出るならば決して悪くない試みだと思います。例えば・・・

・・・「新しい製品は作れなかったが、今の製品を改良するヒントを得た」、「生産方式を変えるのは無理があったが、ラインの無駄をいくつか省くことができた」etc

このように会社が少しでも良い方に変わっていくならば、「小さなイノベーション」には大きな価値があります。

「それならわざわざイノベーションなんて言葉を使わなくても良いのでは?」と思われた方もいると思います。でも、私はイノベーションという言葉にこだわりたいと思っています。その理由は2つあります。ひとつは「あえて」新しい考え方やモノの見方で目の前の仕事を見つめ直すことできるからです。

そしてもうひとつは「何となくかっこいいから」です。

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