[すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。
「後輩を指導したり、ほめたり叱ったりすることは管理・監督職がやることだと思います。中堅社員の私たちがやる必要はないのではないですか?」
これは、弊社が中堅社員を対象とした研修を担当させていただく際に、必ずと言っていいくらい受講者から尋ねられる質問の一つです。
この質問を受けた際に「そのように考えるのはなぜですか?」と尋ねると、「中堅社員は後輩に仕事のやり方を教えることはあっても、指導や育成をする必要はないと思うのです。ましてや、ほめたり叱ったりなんてことを中堅社員の私たちがやらなければならないなんて・・・考えたこともありません」というような答えが返ってきます。
中堅社員の役割をどのように定めているのかは、それぞれの企業の考え方によって異なりますので一概には言えませんが、担当業務に関して後輩を指導したり助言したりすることを求めている企業は数多くあります。
しかし、役割として定められていても上司から具体的に指示をされていなかったり、あるいはたまたま職場に後輩がいなかったりすると、必要性を理解できないままに時が過ぎてしまうということもあるようです。そうなると、いざ研修において後輩の指導や育成について講義を受けたりロールプレイングなどで具体的に取り組む段になったりすると、面食らってしまうということも少なくないと思います。
では、皆さんはこの点についてどのように考えるでしょうか?
確かに、中堅社員のメインの役割として後輩の指導や育成をはっきりと位置づけ、実施を求めている企業はさほど多くはないかもしれません。しかし実際には中堅社員は日常的に後輩に仕事のやり方等を教えるということは行っているわけです。それを指導や育成という言葉が出てきた瞬間に、少々堅苦しいようなイメージを持ってしまうことはあるようです。しかし、後輩に仕事のやり方を教える際に、指導や育成という視点をきちんと持って行うのとそうでないのとでは、大きな違いがあります
指導とは「ある目的に向かって教え導くこと」という意味で、ある分野における知識や技術の向上といった特定の目的に向け、誰かを教えたり導いたりすることを言います。ですから、担当業務のやり方だけをハウツーとして後輩に教えてだけいればよいというものではないのです。指導や育成の最終的な責任を担うのは管理監督職だというのも事実です。しかし、役職に就いたからと言って、すぐに指導や育成ができるようになるものでしょうか?
指導や育成は決して簡単なことではありません。実践を重ねる中で失敗や成功の体験を積むことによって、少しずつ身に着けることができるものなのです。たとえば、筋肉をつけたいと考えたとしても、いきなり筋骨隆々とはなれません。毎日筋トレに励むことによって少しずつ筋肉がつき、やがて隆隆となってくるのです。
それと同様に、後輩の指導や育成も中堅社員の段階から少しずつ実践をして、失敗や成功の経験を積み重ねていくことが大切だということです。失敗したときは自分自身の教え方のどの部分がまずかったのかを振り返り、うまくいったときには、どこがどのように良かったのかをあらためて整理することによって、徐々に身に付いていくものだと思うのです。
最後に、後輩の指導・育成に限ったことではありませんが、いきなり身に付くスキルや知識はありません。何事も少しずつ着実に準備をして取り組んでいくこと、それが大切ということだと思います。