「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。
サントリーホールディングス・新浪社長の「45歳定年制が必要」という趣旨の発言が話題になっています。この件についてSNS上で交わされている賛否両論の議論を簡単に紹介するならば次のようになります。
まず否定派の言葉です。「社長は会社の利益だけしか考えていない」「人を使い捨てにするつもりか」「だったら社長から辞めろ」。肯定派は「いつまでも会社にしがみつく時代ではない」「無能な社員を雇い続けることは会社にとってリスクだ」「45歳までに実力をつけてどこでも通用する人材になれば良い」。発言の量だけを見れば否定9割、肯定1割といったところでしょうか。
話題としては結構盛り上がっていましたが、私個人としてはそれほど興味が持てませんでした。なぜなら「それは余裕のある大企業の話」だからです。
日本の全労働者のうち、サントリーのような「超大企業」や上場企業で働いている人の比率はせいぜい4%に過ぎません。それ以外の、中小企業法で定めている「大企業」を含めても45歳定年制の話題で盛り上がれる会社は少ないでしょう。
私が普段お付き合いしているのは中小企業の経営者の方々ですが、ほとんが口を揃えて「定年うんぬん」よりも「雇用の維持」、もっと言えば「会社の存続」しか頭にないという感想でした。
ただし、今回の45歳定年制の話題から中小企業が教訓を得るとするならば、社員に「ある程度の年齢になるまでに実力をつけてもらう」ということです。
「いや、そんなことをしたら待遇の良い会社に転職してしまう!」とおっしゃる方も少なからずいらっしゃいます。もちろんそのリスクがないとは言えません。しかし、実力とは現在の仕事をより効率的に進めることであり、新しい考え方で仕事を変えていくことです。それは会社に利益をもたらし、発展させる原動力になります。
新人や若手社員に人材の育成、つまり「実力をつけてもらう」ことをはっきりと伝えていただきたいのです。その際、何歳までに「このレベル」に達するように、具体的にこういうトレーニングを実施するつもりだと言ってください。
若手社員にとって定年とは、はるか先の出来事でしょうから「45歳までにこうなってほしい」というくらいがちょうど良いかもしれません。そうなれば45歳までの年月が「希望の道」になる可能性もあります。
いささか使い古された理論ですが、人間には確かに「返報性の原理」がはたらきます。自分の実力をつけるために、いろいろと手を尽くしてくれた会社をそう簡単に辞めていくはずはありません。
人材育成は必ず会社を発展させます。