中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

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第983話 「貧すれば鈍する」の怖い話

2020年12月20日 | 研修

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

大企業の経営者の皆様にお願いします。会社としてもっとお金を使ってください。日本企業の内部留保は約300兆円以上あると言われています。内部留保は企業の懐にあるお金です。このお金を設備投資や雇用に使ってもらえれば、コロナ禍で倒産する企業や失業者も救われます。

このような発言をすると「300兆円は余剰資金でもないし、まして現金で300兆円もあるわけがない。」という声が聞こえてきそうです。

これに対しては「はい、そうです」とお答えしておきます。私は大学院で20年近く会計学を教えていますので、貸借対照表(バランスシート)は読めます。ROE(自己資本利益率)の話をするときなどは、内部留保とは何かを詳細に説明します。

それはさておき。

まず、大企業のバランスシートを見てください。有名企業なら(ほぼ)どこでも良いです。財務諸表の入手先はEDINETで良いでしょう。「第一部企業の状況」の「第5経理の状況」に載っていますからPDFでダウンロードできます。

多くの日本の大企業(かつ優良企業)は現金をたくさん持っているのに、投資もさほど積極的にしないし、株主への配当もあまりしません。ただ保有しているだけの現金が多すぎます。

たとえば、任天堂の財務諸表を見てみましょう。売上高は1兆3千億円です(2020年3月期)。そして、「現金及び現金同等物」がなんと8千9百億円もあります。しかも有利子負債がゼロ、つまり無借金経営です。

もちろん、ゲーム業界のようにヒット商品のあるなしで大きく利益が変動する企業は「心配だから現金を蓄えておこう」という気持ちはよくわかります。

でも、ここは自社製品のビッグユーザである若年層に対して、思い切って投資をしてみてはいかがでしょう。いま日本中の小中学校でIT教育を推進できる人材や機器が不足しています。ほとんどすべての地方自治体が極度の財政難であることを見れば明らかです。

企業としてはすぐにリターンを得ることはできませんが、若年層がITに関する実力を付けて将来働くようになれば、やがて国全体の経済を押し上げ、次世代の子供たちが有望な顧客層となることは間違いありません。

任天堂に限りません。貸借対照表の資産の部にある「現金び現金同等物」をたくさん持っている大企業はできる限りお金を使いましょう。使わなければ現金そのものの価値が下がっていきます。

そして何よりも怖いのは、内部留保に対して「社会保障費に充てるため、課税すべきだ」という主張です。内部留保は法人税を払った後の価値なので、それに課税することは二重課税となるので正しい考え方とは言えません。

しかし、どんどん景気が悪化して財政が苦しくなってくると「二重だろうが三重だろうが、法律を変えてでも持ってる奴から税金を取れ」といった乱暴な議論が必ず起こってきます。

「貧すれば鈍する」がリアルになりつつあります。

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