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甘い勧誘? しかし、現実は甘くない

2017年11月22日 | コンサルティング

 「学歴不問、自分の努力次第でどんどんラックアップができる、福利厚生もとても充実、各種休暇取得が容易にできる、売店なども充実、栄誉管理がばっちりされた美味しい食事も無料、家賃は不要、・・・」

良いことずくめのこの夢のような待遇の列挙は、一体何の案内だと想像されますか?

答えは「自衛官への道」というタイトルの、防衛省の自衛官募集の冊子の内容です。

先日、自衛隊関係のある催しに参加したときに配られていたものです。内容は高校3年生の女子生徒が自身の卒業後の進路として自衛隊に興味を持ち、自衛隊の募集案内所に出かけて情報収集をしたという設定です。そして、そこで得られた情報が冒頭の待遇です。 

防衛省によると、自衛官の応募者数は連続しで減少しているようです。その理由はいろいろあるかと思いますが、その1つにはやはり労働人口の減少があるのでしょう。

この2年間、民間企業が軒並み採用数を増やしていることから、売り手市場が続いています。この傾向は今後しばらくは変わらないだろうと言われています。

その証拠に、厚生労働省と文部科学省が11月17日に発表した10月時点での大卒の内定率は75.2%とのことです。さらにこの数値は1966年度以降で最高水所運とのこと。

大企業であっても、昨年から採用活動が混迷を極めているという状態ですから、自衛隊が何とか人をとりたいと考えて、おいしい?言葉で一所懸命に勧誘しようとするのも無理のないことでしょう。

しかし、自衛隊はもちろんのこと民間企業であっても、実際に働くとなればそれは決して容易なことではありません。

もしそのような言葉で人を勧誘できたとしても、入隊(入社)後は厳しいことの連続であり、「こんなはずではなかったのに・・」と思う人が出てきてしまわないか、つい心配になってしまいます。

それを考えると、実際の厳しさや大変さは二の次にして、メリットばかりを強調することには少々違和感を覚えざるを得ません。

一般的には、働くことは楽しいことよりも大変なこと、厳しいことの方が多いのが現実のはずです。しかし、同時にその厳しさがあるからこそ、できなかったことができるようになったり、1つのハードルを越えることができたりしたときの喜びもひとしおのはずです。

こうした成長の実感が得られてこそ、楽しみを感じられたり次のやる気も生まれたりします。

メリットを伝えることは良いでしょう。しかし、現実を伝えることもそれ以上に大切なことであることは言うまでもありません。

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