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パワーポイントの提案書に惑わされてはいけない

2014年10月22日 | コンサルティング

パワーポイントが使えなくなったら、大変なことになってしまう!」

との恐怖心から、私は研修の時にはパソコン本体に入れているデータとは別に、予備のデータの入ったUSBを必ず用意しています。

研修を行う際には、もはやパワーポイントなしでは進めることはできないというくらいに、終始一貫して使用していますので、「研修の時の分身」と言っても過言ではない程に大切な存在になっています。特に、図やグラフを端的にわかりやすく表現できることは、他のソフトにはないパワーポイントの大きな魅力だと思っています。

冒頭の言葉は現在の私の正直な気持ちですが、思えば私が研修業界に入った20数年前は、パワーポイントはもちろんのこと、OHPも使わず身一つで研修を行う講師がほとんどでした。その時のことを考えれば、なければないで何とかなるのでしょうが、最近はパワーポイントばかり使い続けていることで、どっぷりと浸かってしまっている私です。さて、皆さんはパワーポイントをどれくらい使っていらっしゃいますか?

このパワーポイントについては、当ブログでも既にその功罪について10年以上前から度々指摘されていることや、1997年にAppleに復帰したスティーブ・ジョブズ氏が社内でのパワーポイントの使用を禁止したこと、さらに2008年、トヨタ自動車の社長が、パワーポイントを使うことで逆に仕事の効率化を妨げているという理由で使用を自粛するように発言したことなどを取り上げています。それらの指摘がなされてから随分と時間が経っていますが、今やパワーポイントなしでは仕事にならないという方も多いと思います。

さて、私は前述のようにパワーポイントのメリットを大いに享受しているのですが、その一方で、実は「パワーポイントを使って作成した提案書」については考えものだと思っているのです。

なぜかと言うと、最近Pパワーポイントによる企画提案書を見る機会が多かったのですが、その見た目の美しさの一方で中身が伴なっていないものも少なからずあるということを感じたからなのです。

パワーポイントのメリットを十分に生かした企画提案書は色がきれいなこともあり、ぱっと見の印象はとても良いのですが、一方で各ページごとに細かく中身を見ていくと、一面の大きなイラストの横にキャッチコピーのような短い文章があるだけで、説明のための文章としては全く不足しているため全体像がつかめないものや、イラストと文字が所狭しと並んではいるものの、名前を変えるだけで別の企業に同じ提案をすることができるのではないかと思うくらい、中身が薄いと感じるものもありました。

つまり、見た目の立派さとは裏腹に、書かれている内容にはギャップがあるものが多いというのが正直な感想でした。

そのため、顧客の側でも提案書に書かれているテーマや内容に精通していないと、つい見た目の立派さに惑わされて中身の判断を誤ってしまう可能性もあるのではないでしょうか。 

ですから、仮にこのような提案書によって自分の専門分野以外のことを提案されたとしても、中身をきちんと精査し正しい判断ができるように顧客の側でも情報収集や自己研鑚も必要ではないかと思ったのでした。

綺麗な花にはとげがあるではないですが、きれいなだけのパワーポイントにはぜひともご注意を!

(人材育成社)